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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/26号
2007/6/14更新
石川遼くんフィーバーでテレビが大暴走。
ルール逸脱報道の顛末

「石川遼騒動」が止まらない。史上最年少15歳でプロツアーに優勝した石川が、その後、初めて出場した関東アマでは、総ギャラリー数1万1900人、メディア75社200人が石川遼1人に群がった。その過熱人気の裏側で、15歳の少年を巡る大人たちのモラルが問われる反則技が飛び交っていた。


遼くんはひたすらさわやかだったが……

 早大野球部の≪ハンカチ王子≫斉藤祐樹に対抗する形で≪ハニカミ王子≫とたとえられ、連日スポーツ紙はもちろん、テレビのスポーツニュース、ワイドショーを賑わす石川遼。

 そのさわやかな笑顔は大人から子供まで広い範囲に支持され、メディアは、あの手この手で独自の取材を試みる。ここまではごく当たり前の流れだ。

 だが、その手法には、ルールを守るという大前提がある。法令順守はもちろん、そのイベントの中での取材ルールを守るの当たり前。今回のように相手が15歳という≪子ども≫なら、これを大人が守るというのは当然だろう。

 それなのに今回は、大人たちの暴挙が数多く発覚した。

 最も目立ったのはTBSだ。ラウンドする石川の生の声を放送しようと、初日、2日目と石川と同組でプレーする同伴競技者に、マイクをつけることを要請。さらに謝礼を提示し、質問まで依頼した事が発覚したのだ。

 同伴競技者のうち接触できたのはA氏ひとりだったが、当然、これは拒否された。さらに、同じ大会に出ている選手に対しての失礼な行為にA氏は激怒して、大会を主催する関東ゴルフ連盟(KGA)に申告。石川遼本人にもその事実を伝えた。

 開催コース上空にヘリを飛ばし、大会側の抗議にもかかわらず翌日はさらに低空飛行で上空から撮影をしていたことも発覚。大会側は抗議の姿勢を見せた。これでTBSは、スポーツ紙や他局に姿勢を問われることになった。

 結果的に、当該番組の福澤朗キャスターが、番組で2日にわたって涙の謝罪。ところが、番組制作側は当初、同伴競技者へのマイク装着依頼こそ認めたものの、謝礼の提示については「確認する」と言ったきり。社長の定例会見も誠意あるものとは言えず、ひんしゅくを買った。

 この問題、TBSに最終的にどんな処分が下されようと、テレビ局サイドに反論の余地はないだろう。

 一方、大会の注目の大きさに、日本ゴルフ協会(JGA)と日本プロゴルフツアー機構(JGTO)が、急遽、広報担当者を派遣して大会をサポート。当事者の石川遼はあまりの注目に連日、約1時間に及ぶ会見に、これ以上はないほどていねいに対応した。

 個別取材や呼びかけ取材はなし、というのが、大会、石川遼サイドと取材陣の申し合わせ事項だったが、一部雑誌取材陣でも、石川遼本人の撮影ではないものの、クラブ撮影などでトラブルが勃発。こちらも尾を引きそうな気配が濃厚だ。

 いずれにしても、大人気ない行為が目立つが、それだけではすまされない側面もある。言うまでもないが石川遼はアマチュア、謝礼を提示された選手も当然アマ。アマ規定など知るよしもない取材陣がエスカレートしていけば、とんでもない事態が起こりかねない。

 JGAでは、ナショナルチームのユース版とでも言うべき石川遼を守ろうと、プロツアーのマンシングウエアKSBカップ優勝後、改めてアマ規定の詳細を渡したと言うが、金の卵を囲む大人側にも、これをしっかりと勉強する必要があるだろう。

 もちろん、水面下ではメーカーやマネジメント会社が激しい争奪戦を繰り広げており、こちらからも目が離せない。

 スーパースターが公人として試練にさらされるのは仕方ないが、それで15歳の若い芽を摘んでしまっては元も子もない。長い目で本物を育てる必要があると思われるのだが。

 石川遼が出場する、7月3~7日に愛知CCで開催される日本アマには、史上初めて地上波のテレビ局が放映する話も浮上しているが、今回のようなルール逸脱の取材合戦が起こらないよう願うばかりだ。

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