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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/26号
2006/12/12更新
≪一卵性双生児≫のアコーディアと
PGグループ広報戦略の似て非なるところ

 11月1日をもって、ゴルフ場運営の2大巨頭、アコーディア・ゴルフとパシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス(PGGIH)が、同じ東証一部上場会社になった。11月末時点のコース数は、アコーディアが109コース(保有94コース、運営受託、コンサルティング契約等15コース)、PGGIHが106コース(保有98コース、運営受託8コース)。まさに一卵性双生児の様相なのだが、実はこの両社、大きな相違点があった。

 直近の売上高予想もアコーディアが平成19年3月期予想で677億円、PGGIHが平成18年12月期予想で667億円と拮抗している。

 よく似た両社だが、最大の違いはアコーディア・ゴルフが統一ブランド≪アコーディア≫を全面に押し出す戦略をとっているのに対し、PGGIHはブランド戦略とはほぼ無縁である点。

 そして、実は業界内、特にメディアの間で指摘されていた両社の違いは広報戦略だった。

 アコーディア・ゴルフと言えば、リビエラCC、ターンベリーGCなど、欧米の名門ゴルフ場での勤務経験を持つ竹生道臣氏が社長を務め、名実ともに≪会社の顔≫として機能してきた。アコーディアは社長も含めてブランド戦略を徹底してきたと言える。

 これに対し、PGGIHは過去、戦略的なPRとはほぼ無縁だった。世界最大のゴルフ場運営会社、アメリカンゴルフ出身で、平成13年6月から代表を務めていたレニハン・ジョセフ・エドワード氏は、それなりにPGGIHの顔として認知されていたとは言うものの、戦略的に売出していたかというと決してそうではなかった。

しかもそのレニハン氏、昨年暮れの上場から3か月後の今年3月突然辞任、米国に帰国してしまった。

 PGGIHは、傘下に運営専門のPGMと、取得専門のPGPがぶら下がる組織構成になっており、PGMの代表はレニハン氏と同じアメリカンゴルフ出身のデビット・サイダル氏、PGPの代表は住友銀行OBで、M&Aの専門家にして米国ベブルビーチゴルフリゾートへの出向経験もある深草多計志氏。

にもかかわらず、「レニハン氏が辞めたあと、PGGIHって誰が代表なんだっけ?」(ゴルフ場業界関係者)などと言われるほどの認知度の低さもあった。

 積極的なPR活動どころか、上場会社として必要な最低限度の投資家対応ですら、プレスリリースに書かれた電話番号に電話をかけてもつながらないなど、とても合格点とは言い難い状況だった。

 根本的に取材対応の窓口の整備がずさんだったことは否定出来ない。

 アコーディアもPGGIHも、買収に買収を繰り返して大きくなった会社とはいえ、アコーディアが各旧経営会社間の垣根を払拭すべく、クロス人事を積極的に実施したのに対し、PGGIHではセクショナリズムも足かせになったようで、過去の人脈に頼る、一貫性のない対応だったと言われる。

 それが一変したのが今年秋。それまでは決算発表と業績予想の修正しか発表していなかったものが、リニューアルや大会といったPR情報が随時HPに掲載されるようになった

 投資家向けの広報担当者とは別に、PRの担当者もスカウトし、「交通整理には多少の摩擦も伴ったらしい」(ゴルフ場業界関係者)

「過去、PRの体制がまったくずさんだったことは大いに反省している。ようやく体制が整いつつあるので、今後は積極的にPR活動を展開していく」(PGGIH広報担当)という。

 大手広告代理店、PR会社と契約を結び、早速経済誌で大特集を組む戦略に打って出たPGGIH。いい意味でのアコーディアとの競争は会員にとっても、ゴルフ界全体にとってもウエルカムと言えるだろう。

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