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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 7/25号
2006/7/11更新
全米女子オープンプレーオフ優勝
今季不調のアニカが大復活した秘密

 全米女子オープンはアニカ・ソレンスタムがパット・ハーストをプレーオフで破り、10年ぶり、大会3勝目をあげた。今年のアニカは、これまで勝ったのはわずか1勝のみ、フェアウェイキープ率も悪ければパーオン率も悪い。調子の悪さを自ら認めていたが、そんなアニカに何が起こったのか。


運も味方してアニカ、10年振りV

 これまで、USGAが主催する競技というと、深いラフに狭いフェアウェイ、それに速いグリーンというコースセッティングで知られ、フェアウェイをキープすることが優勝の絶対条件だった。ある意味、ロングヒッターのアニカには最も不向きなメジャーといわれてきた。

 ところが、今回会場になったニューポートCCは米国でも珍しいリンクスタイプのゴルフ場であり、距離が長く常に南西の風が吹くとあってUSGAではいつものようにフェアウェイを狭く設定することができなかった。

 しかも、試合前に雨が大量に降ってフェアウェイでもボールのランが出なかったことで、当初発表していたヤーデージを修正。使用予定のティグラウンドやティマーカーの位置を変えて距離を短くすることまでやっていた。

 こうした状況の中、試合前に寝違えたのか首を痛めていたアニカは、月曜日の練習ラウンドを休み、火曜日は18ホール回ったものの水曜日は途中から激しくなった雨、風のため11ホールしか回れず、コースを十分に知りつくして本選に臨む態勢がとれなかった。

 また、スウィング面で不調をかこっていたアニカは、母国スウェーデンからコーチを呼び寄せ、スウィングの微調整を行っていた。

「左手グリップの握りが弱くなっていたので、トップがおかしく、クラブがインサイドに入って来ていた。にもかかわらず、スクェアにボールを当てようとして、毎回、違ったインパクトになっていた。いろんなところにボールが飛んでいったし、飛距離も落ちていた。細かいところだけど、それによって様々な影響が出ていた」(アニカ)

 実際のところ練習ラウンドよりもスウィングの微調整に躍起だった。気持ちの上でも今年のアニカは違っていた。

 昨年の全米女子オープンはグランドスラムがかかった試合で「自分自身にプレッシャーをかけすぎた」(アニカ)ために勝てなかったことを反省し、今大会を「できれば勝ちたい普通の試合として臨む」作戦をたてた。

 それで女子オープンという先入観、難しいコースセッティングに囚われずにプレーできたという。

 こうして始まった全米女子オープンだったが、アニカには運も味方した。

 大会前に2週間の休みを取り、リフレッシュして、試合に臨めた上に、初日の第11ラウンドが、濃霧のために、翌日に順延されたからだ。この1日の休みのおかげで、スウィングの微調整がいい仕上がりを見せ、首の痛みも消失した。

 しかも初日は、午後のスタートで、コースでイライラながら、待機をする必要もなかったし、土曜日の第2ラウンドでは、午前のスタートで、体力のいる日曜日の36ホールプレーに、エネルギーをセーブすることが出来た。

 一方、金曜日は午前、土曜日は午後のスタートだった37歳のハーストにとっては、タフなコースでの90ホールのプレーを、ほとんど休養することなくプレーを強いられたわけだ。

 試合終了後に、毎日電話やメールがあったというタイガー・ウッズに、Eメールを返送し、メジャー10勝でウッズと並んだことを報告したというアニカ。

 このメジャー10勝というのが、アニカの目標であったのだが、目標が間じかに見えるにつれて貪欲さがなくなっていたのも事実だった。

 それが、カリー・ウェッブやパク・セリのメジャーでの復活に刺激を受け「私はまだプレーヤーとして峠に差し掛かっていない(ピークはこれから)。まだまだ、勝てるし、達成できることがある。最終日の最終ホールで、誰と戦っていようと、自分に勝てるチャンスがあるのなら、ベストを尽くす」(アニカ)と、やる気を復活させているのだ。今後も、アニカの活躍から目が離せない。

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