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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/6号
2005/8/31更新
「18H観戦できない」とギャラリーが苦情
ステップアップツアーの運営に「疑問の声」

 お客様に見せてナンボ、というのがプロの世界。ところが、国内女子の下部ツアー、ステップアップツアーで、来場者から「なぜ18ホール全部見られないんだ?」というクレームがついたという出来事が発生した。秋には諸見里しのぶの参戦も予測され、人気の出そうなツアーなのに、一体なぜ?


諸見里しのぶも来場するかも

 通常、テレビで放映され、ファンが注目するレギュラーツアーとは別に、男子では年間13試合のチャレンジ、女子では年間12試合のステップアップ(試合数はいずれも現状)と呼ばれる下部ツアーがある。

 この女子の大会で「事件」は起きた。関係者によると、舞台はホウライCC(栃木)で行われたPAR72カップ。クラブハウス周辺でしか観戦できないことに一部ギャラリーが怒り、帰ってしまったというものだ。

 主催する日本女子プロゴルフ協会に確認すると、事実関係そのものはハッキリしないものの、確かにその試合はコース奥まで立ち入ることができず、苦情メールも届いているという。なぜ、こういう事態が起きたのか?

「ステップアップツアーもプロの試合ですから、協会としてはお客様に見ていただきたい。けれどもスポンサーさんとの共催でもあり、その意向や予算によって現実的にすべてを見ていただけない試合があるのも事実です」と語るのは同ツアー担当の協会事務局、渡辺仁氏。

 とくにPAR72カップでの件は、安全上の理由があったと説明する。

「結果的に今年は大丈夫だったのですが、あの時期(7月21~22日)のホウライCCは雷の名所。そのため、係員がいないコース内で、ギャラリーの方に万一のことがあったら対応できないという理由から、ギャラリー観戦は安全が確保できるハウス周辺に限らせていただきました」。

 補足説明すると、ギャラリーを入れるためには基本的にそれなりの運営を強いられる。ステップアップは入場無料だが、食事やトイレ、安全対策などに予算が取られる。

 そのためギャラリーが少ない同ツアーではあまり対応がなされておらず、コース内全部を見られないことも多いのが現実だ。

 とくに女子ツアーは『安全第一』という考え方があるため、観戦できる試合でも「基本的にカート道を歩いていただく」(渡辺氏)のが大前提となっている。

 もちろんヴァーナルカップや穴吹工務店レディースカップなどのように、スポンサーがギャラリーを歓迎し、それなりの予算や人員を割いて対応している場合を除いて、この形態が一般的になっている。

 また、これまでは選手の家族、関係者以外のギャラリーは少なく、大した問題にならずにやって来られた。

 ところが昨年、横峯さくらがステップアップツアーで優勝し、レギュラーツアー出場権を確保。さらに活躍してシード権を取ったことなどが話題となり、今年はステップアップにも注目が集まっている。

「(ギャラリー問題は)これから考えなくてはいけないのですが、予算と安全確保を考えると……」協会側はあまり動く気配がない。

 ちなみに男子のチャレンジツアーは、最近になってHPなどでも「無料」を強調し、ギャラリー集客に務めている。

「入場無料で、コース内はもちろん、クラブハウスにも入れます。エリアは限られていても、プロと同じ場所で食事も取れます(食事代は有料)。サインももらい放題!」と、日本ゴルフツアー機構(JGTO)広報担当の田中謙二ディレクターがアピールするように、全面的にファン層の掘り起こしにかかっている。

「スポンサーもレギュラーツアーほどの予算を出すつもりはない。ギャラリー対応を強いられ、もっとお金がかかるということなら撤退すると言いかねないところもあり、対応を無理強いできない事情がある」と運営関係者は説明するが、確かにこれがネック。

 しかし下部ツアーにまで足を運ぶ熱心なファンや地域ゴルファーへの対応策を真剣に考える時期に来ているようだ。

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