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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/1
2005/2/23更新
これまで「曖昧だった」クラブの保証期限に
「2年間保証」を打ち出したメーカーの事情
 従来、ほとんどのクラブメーカーは通常使用で生じたクラブの不具合に対して1年間の無料保証を規約していた。ところが、ブリヂストンスポーツ(BS)が今年からその期間を2年に延長。すると、他メーカーに追随する動きがある一方、態度を留保するところも。どうやら背景には、簡単には割り切れない事情があるようだ。

 キャロウェイとプロギアが2年保証を実施している他は、これまでどのメーカーも通常使用で生じた不具合に対しては、購入日より1年間に限り無償で修理、交換すると規約した保証書を付けていた。ただし、リシャフトを含む、正規ではない修理・改造されたクラブは保証をいたしかねる場合があるとも断ってある。


ソールの重りを変えるだけ
 しかし、多くのユーザーは保証書がなくても、あるいは1年を過ぎても、不具合が出れば購入したショップに持参して「直してよ」と依頼、相談するのが実態のようだ。

 それに対してどのように対応するかは、ケースバイケースなのだが、あるメーカーの担当者は「やはり得意先のショップから持ち込まれたものは、ムゲには断れません。明らかに通常の使用でできた故障じゃない限り、できるだけ無償にしていますね」と実情を語る。

 つまり、保証書の規定内容とは異なり、案外曖昧に対処されているのだ。

 そうした事態にメーカー側の憂慮は募っていた。

 というのも、このところのリシャフトの普及、中古ショップでの購入で数年前のクラブが再度頻繁に使用されるようになる。さらには、「十分な耐久テストは行っていますが、今後クラブはますます複雑な構造になる可能性があります。シャフトも含め、いくつもの新素材で複雑に組立てられたクラブの場合、長期使用でどのように劣化するのか予想できないことも……」(某メーカー)といった不具合増加の要因があるからだ。

 それに対して、従来どおり曖昧なまま無料保証に応じていては、大きなコスト増につながりかねない。

 そうした不安定な状態に一石を投じたのが、BSが今年から実施した「2年間保証」だ。保証期間を1年延ばすと同時に、「例えば家電製品と同じように、保証内容を明確にすることによって、ユーザーには安心して使ってもらおうということです。あわせて、お店にとっても対応が楽になると思います」(広報部・嶋崎平人氏)

 2年間は無償、それ以降は有償であることを明確に、すっきりと対応していきたいとのことだ。

 これに追随するように、ミズノも目下、BSと同様の内容での「2年保証」を検討中。「今年中には、実施したいと思います」(広報室・西田維作氏)

 また、SRIスポーツもこうした動きを注視しており、「今後は良く検討のうえ、無料保証の最良の仕組みと運用を考えたいと思います」(広報部・藤田英明氏)と、改訂を視野に入れていることを認める。

 だが、一方で「その件に関してはノーコメント」と返答するメーカーも少なくない。ノーコメントの真意を、ある業界関係者はこう解説する。

「それはつまり、今までどおり保証期間を過ぎたクラブでも、ケースバイケースで対応するということです。でも、それをコメントすれば保証書の意味がなくなり、混乱を招きかねないから」と語ったうえで、さらにそうしたメーカーは無料保証のコストがまだ予算内だからと推測する。

 それでも、無償の件数が増加すれば、保証内容を明確にして運用せざるを得なくなる。だから、「そうなる前に、業界が一致して無料保証の共通規約を制定してもらいたいというのが本心なのでは……」と語る。

 今回のBSの制度導入は、そうした動きへの布石になるのかも知れない。

 いずれは、クラブも家電と同じように、ある一定の期限を過ぎた不具合は「有償」が当たり前という時代がくるのだろうか。

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