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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/7
2004年更新
外資2社の争奪戦が奏功? 会員へは
異例の高配当となった日本ゴルフ振興
 スポンサーの座を巡って、外資の2大勢力であるローンスター(以下、LS)とゴールドマンサックス(以下、GS)がしのぎを削った、日本ゴルフ振興の更生計画案が、このほど債権者に公表されたが、弁済率は11.5パーセントと、ここ数年で破綻した大手専業グループの中では高額な高配当となった。

 まず、これまでの経緯を簡単におさらいしておこう。国内28コースを有する業界大手の日本ゴルフ振興グループは、昨年2月にRCC(整理回収機構)と共同で民事再生を申請したが、二度にわたる再生計画案の提出期限延長の末に、会社側が出した答えは、九州沖縄、四国、その他という3ブロックに別々のスポンサーを付けるというもの。

 大口債権者でもあり、再生法申立当初から有力なスポンサー候補と言われたLSは、単独でのスポンサー就任を希望していたためこの案に反発、昨年10月に会社更生申立で対抗した。12月には更生手続きの開始決定が下り、民事再生は棄却、LSのペースでコトが進むかに見えたが、今年2月に管財人から発表されたスポンサーは、なんとLSではなくGSだった。

 ところが、7月2日にはさらにこの決定が覆って、LSとモルガン・スタンレー証券がスポンサーに。スポンサー変更の経緯については、LS、GS、管財人の木内道祥弁護士など関係者がいずれも語らないため真相は不明だが、「LSが300億円だった提示額を一挙に500億円に引き上げてGSが追いつけなかった。LSはRCCからも債権を買い取り、100億円以上の筆頭債権者になっていたから、裁判所も無視できなかった」とする説が、業界関係者の間では囁かれていた。

 今回公表された弁済率は、会員以外の一般債権者と退会会員は11.5パーセントで、継続会員は12.3パーセント。負債の内訳は、預託金債権1118億円、一般債権2620億円、更生担保権(カットなし)が170億円。このうち、更生計画の認可決定確定から3カ月以内に一括で支払わなければならない更生担保権と一般債権の分だけで、470億円のキャッシュが要る計算になる。退会会員の分も含めると、500億円といわれる提示価格に限りなく近づく。

 日本ゴルフ振興では「どんな再建計画も、複数のオファーを比較して決めるのだから、その意味では競わせたことになるのかもしれないが、LSとGSを競わせたから7月にスポンサーが変更になったわけではない。変更の経緯は公表しないが、いったん決定したスポンサーを、金額を理由に変更するということは、際限なく後出しジャンケンを認めることになってしまうためそういうことはない」(同社管財人室)と言うが、意図的に競わせていなくても、結果的にスポンサーの座を射止めたい両社の競合環境が、高い配当率を実現したと見るのが自然だろう。ただ、弁済率は高ければ高いほど無条件でよいのかというとそうでもないようだ。

「500億円という提示金額がもし事実だとすれば、かなりの高値。この値段で買っても、ゴルフ場運営の収入から収益を出せるという目論見なのだろうが、ファンドという投資家から集めた資金で買収代金を賄う以上、数年以内に投資家にいったん資金を利益を付けて返さなくてはならない。順当に儲かっていれば、新たなファンドを組み直すこともできるだろうし、あるいは株式公開(上場)するという道もあるだろうが、もし予定通りの利益が出せなかったら、結局コースを売却するしか投資家に返還する資金を捻出できなくなってしまうのでは。いい値段で売れる優良コースから売却してしまうこともあり得なくはない」(ゴルフ場の再生に詳しい弁護士)と指摘する。

 一般に、この外資によるコース・バラ売り説については、「転売、転売というが、努力しても採算向上が見られないような、売りたくなるコースに、そもそも簡単に買い手がつくはずもないし、当面転売の予定はない」とし、LS、GSともに基本的に否定し続けている。

 とはいえ、GSが日東興業を傘下に収めて早2年半。2~3年先にはファンドが“出口”の時期を迎える。もはや闇雲な外資アレルギーはナンセンスだが、会員としては、今後もコース経営会社の動きには十分注目していくべきだろう。

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