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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/18号
2003年更新
「ゴルフ場売却額なんと5万円!」との見出しで
小田急ゴルフ場が報道されたが……その真相は?
 「ゴルフ場の売却額がなんと5万円!」。こんな驚きの見出しが、一部の夕刊紙に躍った。長引く不況でゴルフ場倒産が相次ぐ中、ゴルフ場の価値もそこまで下落したかと思われたが……。

 噂のゴルフ場は、大分市内にある小田急大分GC。本業の鉄道事業と経営資源を沿線に集中させる経営方針から、首都圏から遠い事業からの撤退や、資産の処分を進めている。その一環として2月24日、小田急大分GCを大分市内にある梅林建設に事業譲渡することになったわけだが、その売却額が“5万円”との報道について、憤慨するのは小田急本社だ。

「まず売却ではなく事業譲渡で、基本的な誤解があります。当社から資産を譲渡し、同時に負債のうち預託金債務を引き継いで頂きました。たまたま資産、負債の額が同額レベルで、その差額が5万円だったということです」(広報部・岩崎佳之氏)

 つまり、小田急の説明によると、売却額というならゴルフ場資産を売った値段であり、この売買価格は7億4005万円。これに対し事業譲渡で梅林建設が引き継ぐ、会員630名の預託金が「偶然にも」7億4000万円。資産と負債を相殺し事業譲渡を行なった結果、その差額が5万円になった、ということだそうだ。

「事業譲渡はメンバーの継承、従業員の再雇用を前提に、優秀な地元企業を選ばせて頂いてます。地元に愛されてきたコースですし、売却額5万円などといった報道がなされますと、小田急が無責任に切り捨て、閉鎖するかのような不安をメンバーに与えますし、また今後の事業継続にも支障を来たしかねません」(前出・岩崎氏)

 契約では、小田急は梅林建設がゴルフ場運営会社として設立した信和サンスポーツに事業譲渡。その条件として、会員の継承と希望者については従業員の再雇用が明記されている。

 この点について、事業を継承した梅林建設も、「県内で3番目の入場者のある人気コース。ゴルフ場の経営は初めてですが、小田急さんのやってきた経営手法を踏襲していけば十分にやっていける自信はある。もちろん会員様の権利も継承しますし、小田急さん同様、預託金についても、今後も返還していく方針です」(同社本社)

 ちなみに昭和50年開場とあって、もっとも多い会員権の額面で80万円。最高のものでも150万円。人気コースということもあり、返還請求も小田急時代、年に数件程度だったという。コース名は新しく「大分竹中CC」となるが、会員にも通知を出しており、現時点では会員からの反対の声もほとんどないという。

 さて、今回は小田急の新経営方針による譲渡だが、大企業にとってゴルフ場事業が重荷になっていることも事実だ。時価会計、連結決算導入という会計制度の変更もあり、多額の預託金を抱え、また施設が簿価(購入価格)割れしていることの多いゴルフ場は、それだけで親会社の負債を帳簿上、大きくしてしまうからだ。

 実際、小田急大分GCについて平成13年度の決算は、営業利益で5000万円程度の赤字で、親会社の足を引っ張るレベルにはない。預託金債務は梅林建設に引き継がれたが、今回の事業譲渡で小田急は約12億5100万円の特別損失を計上している。それだけに今後、大手企業のゴルフ場事業からの撤退も予想される。もっとも、親会社に体力がなく、またゴルフ場資産に対し預託金額の割合が異常に高いようなケースでは、今回のような事業譲渡は成り立たず、不良債権として処理される方向に進まざるを得ないだろうが……。

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