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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/2号
2002年更新
2年前の交通事故による後遺症乗り越え
我妻こずえ、プロ9年目で初優勝の秘話
 先のリゾートトラストレディスで、プレーオフで大場美智恵を破り、プロ入り9年目で念願の初優勝を飾った我妻こずえ(32)。2年前に交通事故に遭い、一時は選手生命さえ危ぶまれた中での復活優勝。その秘話をお伝えしよう。

------優勝後の周りの反響は?

「家に電話したら母親が出て、泣いてはいたんですけど『おめでとう』と言う前に『ありがとう』って言われました」

------なぜ『ありがとう』?

「練習ラウンドのとき、最多バーディ賞に100万円のリゾート利用権贈呈の看板を見つけ『今週はこれを目標に頑張ろう』って決めてました。それで初日に4個バーディが取れて波に乗り、結果的に優勝ができてリゾート利用券ももらえたんです。事前に親にプレゼントすると言っていたので、いきなり『ありがとう』って(笑)」

------優勝できた一番の要因は?

「今年はパーオン率は良い(6月9日現在17位)のに、平均パット数が悪かったんです(同66位)。それでパットのインパクトを強めにいこうと決め、手で打つ意識を消して、背中に意識をもっていったら、緩まないストロークができたんです。何か目標がないとしっかり打てないと思ったので、リゾート券を“ニンジン”にして(笑)」

------資格をたくさん持ちとか

「就職するのに何か資格を取っておいたほうが有利だとうと思って、簿記は日商と工業の2つ。あと秘書検定やパソコン検定など10個ほど持っています」

------2年前の交通事故の後、その中のどれかの職業に鞍替えは考えなかった?

「それはなかったです。リハビリ中は所属先のコース(飯能グリーンCC)で、お客さんのレッスンもやりましたけど、やはり私は教えるより、プレーを見てもらいたい思いが強くて」

------当時の事故の状況は?

「2年前の夏、会場に向かう途中、対抗車が突然Uターンして正面衝突。肋骨2本骨折と右足の半月板の損傷でした。その秋の予選会の一週間前には、手と背中がほとんど動かなくなり注射を打って臨み、何とか上位で通れました。でも翌年の開幕戦で、痛みで手が動かず棄権。その後もほとんど練習ができないまま試合に臨み、試合結果を新聞で見るたびに嫌な気持ちになってました」

------嫌な気持ちとは?

「何もやれずに臨んだ試合の結果を見ることに納得がいかなかったんです。研修生のときから、練習を積んで結果を出してきたタイプだったので、練習ができないと自信が持てず、もう私は勝てないまま終わってしまうのかなと思ってしまって」

------試合に出ないで長期休養したほうがよかったのでは?

「せっかく痛みを我慢して得た出場権を、棄権して誰かに渡してしまうのが口惜しくて。でも、出る試合では納得のいくプレーができないというジレンマがあって。そんな状態が続き、今大会の2週間前の中京テレビ・ブリヂストンでは棄権、次の廣済堂レディスでは痛みを怖がって予選落ちしてしまったんです。この中途半端なプレーでの予選落ちが口惜しくて、師匠の市川幹雄プロに相談したら、『そんな状態で試合に臨んでも仕方がない。思い切り振っていこう。それで壊れたら、そのときはまた考えればいいじゃないか』と言われたんです」

------本当に“壊れてもいい”と思った?

「ええ、このまま中途半端にやっていても、上位にはいけないし、そんな状態で試合に出ることの申し訳なさもあって、とにかくリゾートトラストでは何があっても怖がらずにやっていこうと決めてたんです」

------その気持ちは最終日まで続いたわけですね。

「それが、最終18番で2メートルのバーディパットを、ラインを決め切らないままに打ちインパクトが緩んで外してしまったんです。一番やってはいけないことを肝心のときにやってしまった。それが口惜しくてプレーオフでは絶対に中途半端なことはやらないと決めて、最後の3.5メートルのバーディパットもインパクトを緩めず、しっかり打ち切れたんです。ケガで思うようにゴルフができず、ゴルフが嫌いになりかけていましたが、今回、中途半端なプレーをしないことを心がけ、それが結果につながったのは自信になりました」

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