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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/5・12合併号
2010/12/25更新
遼くんってどんなやつ?
もっとも身近で支えるキャディに素顔を聞いた

 09年は日本のプロゴルフ史上特筆すべき年になった。18歳の石川遼がベテランたちに付け入る隙さえも与えることなく史上最年少賞金王の座に就いたのだから。その女房役であるキャディの“ヒロくん”こと加藤大幸さんを直撃インタビュー。つねに側に寄り添うキャディから見た石川遼の素顔とは――。


携帯カメラのシャッター音で水をさされた場面が何度もあったが、同伴競技者の邪魔にならないよう石川自身がギャラリーの静止を促す促すシーンも見られた

09年は仕切りなおししてもミスをしなかった

 07年の日本シリーズJTカップからキャディバッグを担ぐことになって以来、加藤大幸さんが石川遼とコンビを組んで丸2年が経過した。予選落ちが続いた08年の開幕当初の苦しいときから、プロ初優勝を飾るなどいいときも、ずっと見てきたのが加藤さんだ。もっとも近い立場にいた加藤さんは、石川のプロ1年目をはるかに上回る驚異的成績を残した要因をどう見ていたのだろうか。

 「一番の違いは集中力の向上ですね。プロ1年目のときも、携帯のシャッター音で仕切りなおしすることは度々ありましたけど、そのあとのショットはほとんどミスしていました」
と08年までは雑音でペースを乱す場面があったという。しかし09年は変化が見られた。

 日本オープン最終日やダンロップフェニックスのときに、携帯カメラで撮影され、水をさされた場面があった。特に日本オープンではシャッター音の影響を受けて悔しがる姿が印象に残っているが、
「プレーの妨げになるようなシャッター音があっても、アドレスを仕切りなおしてからの集中力がすごかった。ほとんどミスらしいミスをしていません。日本オープンのようなミスは09年はほとんどありませんでしたね。そういう意味で、遼は気持ちの切り替えがすごく上手くなったといえます」
と、雑音で崩されるようなことはなくなったと説明してくれた。

 練習に対しても、プロ1年目とは変化があったという加藤さん。以前は飛距離を追求してドライバー中心だった練習が、マスターズ以後はバンカーにも時間を割くなど、スコアに直結する取り組みもあった。

 さらにメンタル面での成長もあったことが加藤さんの証言からうかがえる。


素顔の石川にいちばん接してきたのがキャディの加藤さん。石川にとっては頼れる兄だ

遼はけっこうギャラリーのこと見ていますよ

 では、ラウンド中はゴルフにばかり集中しているのだろうか。プレー中の会話について聞いてみた。

「ゴルフ以外のことも、例えばテレビ番組の話とかもしますけど、結構多いのはギャラリーについての会話です。『あの人、先週も来てたよね』とか、『さっき斜面でコケてた人、大丈夫かなぁ』とか、意外かもしれませんが、よくギャラリーを観察しています」

 あれほど多くのギャラリーを引き連れながらも、ちゃんと応援してくれる人がわかっているのもすごいが、だからこそ応援しがいがあるというものだろう。

 しかし、心無いギャラリーのカメラにイラついた場面も記憶にある。
「たまたま日本オープンで腿を叩いたシーンはテレビに映りましたけど、ずっと前からテレビで放送されないところで、ああいうのことはありました。もしも、完全に携帯やカメラの持込が禁止されていたら、遼は少なくてもあと3勝はできていたと僕は思っています」

 加藤さんの言う通りだとすれば、01年に伊澤利光が記録した2億1,793万円を上回る史上最高の獲得賞金の可能性もあったのだ。


プレーに入れば石川も加藤さんも真剣だが、雑談も楽しんでいる

本当に遼って悪いところが見当たらないんです

 17週連続試合出場について、石川本人は、「僕よりも加藤さんの方が疲れているみたいに見えます」と言っていたが、加藤さんは、「やっぱりプレーヤーのほうが、しんどいはず」と言う。

 「僕も、年に数回ですけどゴルフをやります。そういうとき、プレーヤーの目線になるんですが、すごく体力は使うし、集中力も必要だし、ほかにいろいろなスポーツをやっていたからわかるんですけど、ゴルフは体力的にも精神的にも過酷なスポーツです。キャディをやっていたほうが楽だなと思います」

 さて、スポーツ界きっての好感度ナンバーワンの石川。果たして素顔は?

 トーナメントの合間には、一緒にフットサルやテニスなどを楽しんでいるが、
「よく聞かれるんですが、もう丸2年一緒にいるし、小学校3年から知っているんですけど、本当に悪い面ってまったくないんです」

 最高の1年を送った次の年はどんな1年になるのか。
「体の調子もあるので、もしかしたら1勝しかできない可能性もあるでしょう。それでも、僕らにとって満足できるシーズンにしたいですね」
頂点を目指した2人の戦いはまだ始まったばかりだ。

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