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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/10号
2009/11/29更新
カメラに写メのシャッター音
ギャラリーのマナー違反にどう対処する?

今年の日本オープンはゴルフ中継の視聴率で歴代5位の平均16.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録するほどの好ゲームだった。が、大会の盛り上がりとは別に、テレビ中継開始直後に起こったカメラ付き携帯電話のシャッター音による石川遼に対するプレー妨害は、ファンには衝撃的なシーンだった。この事態を受け、一部ではさっそく対策を講じる動きも。各ツアーの対応のほか、ギャラリーのマナー問題を追った。


石川遼目当てのギャラリーで埋まった日本オープン。皆、自覚を持ってくれればいいのだが…

 ショッキングだったのは、シャッター音にスウィングを止めた石川が怒りもあらわに、自らの太ももを叩いたことだ。普段は見せない怒りの態度に、受けた妨害の大きさがわかった。

 この事態を受け、さっそく反応したのが日本ゴルフツアー機構(JGTO)。2日後には選手会に対し、カメラ撮影の問題も含めた観戦マナーの啓蒙ビデオを制作し、それを会場等でギャラリーに見てもらうという対策を提案。
「そのほかにもできることはないか、今後検討したいと考えています」(JGTO)。

 10月29日~11月1日開催のマイナビABCチャンピオンシップでは、ギャラリー入口で携帯電話の有無を尋ね、あれば改めて注意。あわせて、警備員を増員する予定だ。

 もちろん、この程度の対策ではカメラや携帯電話のマナー違反を完全に防ぐことはできない。実際、先週のブリヂストンオープンの初日にも、石川が18番でウォーターショットをする際に「カメラ、止めてください」と、自らギャラリーに向かって注意するシーンがあった。

 「マスターズではカメラ・携帯のほか、大きなバッグの持ち込みも禁止され、持参したパトロン(ギャラリー)は入場時に預けなければなりません。さらに、空港にあるような金属探知機のゲートを通るチェックを受け、小さなバッグは警備員によって中身を調べられます。万が一、カメラ・携帯をコースに持ち込んだのがわかった場合は、強制退場となります」(海外ツアーに詳しいゴルフジャーナリストの吉川英三郎氏)

 その他のメジャーでは01年に起きた“9.11”以降、バッグチェックは当たり前に行われているそうだ。しかし、カメラ・携帯については、メジャー観戦歴の長い弁護士の西村國彦氏によれば、
「全米オープンでも、全英オープンでも、ギャラリースタンドでは、ギャラリーが普通にカメラ撮影していますが、選手の近くでは控えていますね」とのこと。選手のプレーに迷惑をかけないことが、当然のマナーになっておりわけだ。




 先ごろ『脱俗のゴルフ』(小社刊)を出版したゴルフマナー研究家の鈴木康之氏は、
「観戦ビギナーの行為でしょうから、本来は同伴者や周囲のギャラリーが教えてあげるべきなのでしょうが、知らない人に注意するのは難しい。それでも、選手にきちんとした競技環境を提供し、素晴らしいプレーしてもらいたいというのなら、ツアー側がマスターズの徹底した規制を参考にすべきでしょう」
と厳しく対処することを提言する。

 まったく別の観点からマナーの向上を期待するのが横田真一プロだ。横田プロは98年に、米ツアーのワールドシリーズ(現・ブリヂストン招待)で、ホールを取り囲む大ギャラリーの嵐のような声援に乗せられて、素晴らしいプレーができたという。
「応援にメリハリがあって、例えばパッティングはちょっとでもショートするとブーイングをするかわりに、2メートルもオーバーする強気のパットには外しても大声援で讃えてくれるので、選手は自然とチャージします。コンサート会場みたいな、そんな観戦をすれば写真なんか撮ってる余裕ありません。今回の日本オープンのギャラリーの盛り上がりを見ると、日本ツアーももう少しで米ツアーのようなムードになるんじゃないですか」

 いいプレー、いいゲームを楽しむにはギャラリー自身がいいムードを作ること。そうなれば、マナー違反は自然と淘汰されるのかも。まずは、ギャラリーの一人一人が自覚し、その実現に少しでも協力することが大事ではなかろうか。

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