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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/18・25号
2009/8/8更新
米ツアーでワトソン、ペリーなど45歳超の
ベテラン世代が大活躍できるわけ

 先の全英オープンの初日、45歳のミゲル・A・ヒメネスがトップに躍り出たかと思ったら、59歳のトム・ワトソンが最終日敗れたもののプレーオフにまで進み、2位に。翌週のRBCカナディアンオープンでは49歳のマーク・カルカベッキアが、2日目に9連続バーディというツアーの新記録を樹立。45歳を過ぎていまなおレギュラーツアーで大活躍する選手続出の背景に迫った。


まだまだ若手には負けない! 上からワトソン、ペリー、カルカベッキア

 以前には50歳になってシニア入りするまでは、“フォーティサムシング”(黄昏40代)といわれた40代、50代のプレーヤーがやけに威勢が良い。

 中年、熟年プレーヤーが今でも活躍できる第一の理由は、なんといってもギアの進歩があげられるだろう。「新しいギア、ボールやドライバーの技術革新によって、飛距離を落としているプレーヤーもいるが、私の場合は今でも距離が伸びている」と語っていたのは、今季2勝し、マスターズで惜しくもプレーオフで敗れた48歳(8月10日に49歳となる)のケニー・ペリーだ。

 年齢を重ねると飛距離が落ちる一方で、パッティングのタッチが悪くなるといわれている。しかし、この飛距離がギアの進歩で、逆に伸びているケースが少なからずあるのだ。ペリーの昨年1年間のドライバーの平均飛距離は296ヤードだったが、10年前は280ヤード強だった。

 ワトソンにしても全英オープンでは4日間平均295ヤードも飛ばしている。ちなみに、タイガー・ウッズは、予選落ちした全英オープンでは2日間平均283.5ヤードだった。

 今や時代はパワーゴルフ全盛で、高い弾道で飛距離を稼げるだけ稼ぎ、ラフに外しても150ヤード前後ならそのままピンを狙っていくというプレーヤーが主流になっている。それに伴い、最近のドライバーは曲がりづらく、まっすぐに飛距離が出るように作られている。

 しかし、雨風が強かったり、ラフが深かったりと、厳しいコンディションの試合では、それに対応できる技術を持っているプレーヤーが少なくなっているのも事実だろう。40代以上のプレーヤーというと、パーシモンドライバーでゴルフを覚えてプロになった世代。

 つまり、40代以上のプレーヤーは若いチタン世代と違い、球を上下左右に、状況に応じて打ち分けられる技術を持ったプレーヤーが多いということはいえる。技術的な引き出しが多いのだ。これが今日の45歳超のゴルファーの健闘の原点になっているのだろう。

 全英オープンのテレビ解説で、戸帳捷氏が「トム・ワトソンのスウィングは以前とまったく変わらない」と語っていたが、完成されたスウィングは指紋のようなもので、そう変わるものではない。

 そうしたなかで、飛距離が伸びて技術的にも優れているとしたら、上位にくるのも当然といえるだろう。

 もっとも、問題がないわけではない。シニアのチャンピオンズツアーの多くが3日間の試合なのは、歳を重ねると体力、集中力を持続させるのが難しくなるからだ。全英オープンのヒメネスのように、初日、2日目と好成績をあげる中年プレーヤーは多いが、最終日などに崩れるのは、そのためで、だからこそ活躍の割には優勝回数が少ないのだろう。

 ただ、「ターンベリーは自分にとって特別なコース。どのようにプレーするかを熟知している」と全英オープンでワトソンが、また、「このコースとは相性が抜群、自分はこのコースで戦うのは23回目」とFBRオープン(TPCスコッツデール)で優勝したペリーが語ったように、相性の良いコースでは神経を使うことも少なく、集中力も持続する。

 経験がものをいうようになることもある。今や黄昏れるだけではなくなったフォーティサムシングのプレーヤーたちの活躍から目が離せない。




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