週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

　岡山、広島、富山、香川、徳島など中・四国8県をまたにかけ、駐車中の車からゴルフクラブばかりを盗んでいた36歳の無職の男が、先日窃盗の疑いで岡山県警に逮捕された。盗ったクラブはネットで販売していたというが、これが警察のネット専門の捜査で逮捕につながった。

　同県警によると、男は高速道路を利用して犯行を重ね、岡山県内だけで3月から7月までの5カ月間で約130件にも及ぶというから、8県での余罪はかなりの数になると思われている。

　手口はマンションの駐車場や路上に駐車中の車のドアノブを工具で壊し、こじ開けるというもの。メーカーやクラブの種類は問わず、ゴルフバッグごとそっくり盗んでいったという。

　今回、男が逮捕されるきっかけとなったのは、男が盗んだクラブをインターネットのオークションを使って売りさばいていたことからだ。

「最近増えているインターネットを利用した犯罪を防ぐため、専門の担当者が毎日交代で、インターネットをチェックしています。そのなかで大量のゴルフクラブを売っていた男の存在が浮かび上がり、マークしていたところ、男が犯行を重ねていたことが明らかになったことから、今回の逮捕に至りました」（岡山県警広報担当者）

　一方、盗品を中古ゴルフショップに持ち込んでくるケースもある。これには当然、ショップ側もそれなりの対策を講じている。

「スペックがバラバラのクラブを大量に持ち込んでくる人、新品のクラブなのにヘッドカバーがついていないクラブを持ってくる人、帽子やサングラスなどで顔を隠している人、査定をせかす人などが来店したら注意するよう、各店舗に指示しています」（ゴルフパートナー広報課・白石雅男課長）

　車上荒らしの被害は、平成19年で16万8129件（警察庁のデータ）と、ここ数年減少傾向にあるとはいえ、年間で16万件もおきている。それも以前は車内に放置してあったバッグやカーナビがターゲットになるケースが多かったようだが、最近はゴルフクラブが狙われることも少なくない。実際、件の事件はクラブだけを専門に狙っていた。

　もちろん、被害はアマチュアばかりではなく、プロのなかにも見られる。今年、バナH杯KBCオーガスタでツアー初優勝を飾った甲斐慎太郎もそのひとり。

　甲斐は2005年、自宅のある狭山市（埼玉県）の駐車場で、車のリアガラスを割られ、愛用のクラブと予備のクラブ一式を盗まれた。

　では、こうした被害に遭わないためには、どうしたらいいのか？前出の岡山県警広報担当者はいう。

「最近の車には盗難防止のための対策が講じられていますが、窃盗常習者の手口も、年々かなり巧妙になっています。それだけに車内にゴルフクラブを放置せず、面倒でも必ずクラブを車から降ろすこと。被害を未然に防ぐには、それに尽きますね」。

　車にクラブを置かない、大事なものは自分で守る、ということだろう。