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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/2号
2008/8/21更新
年末の公益法人改革法施行を前に
初めて社団法人ゴルフ場が売却

 1952年開場、社団法人の山口CC(山口)の事業譲渡が決まった。今後の経営にあたって資金確保が困難になったことと今年12月に施行される公益法人改革関連法により存続が困難と判断されたため。同法施行による社団法人ゴルフ場の事業譲渡は全国初。譲渡先は、地元や四国で学校法人を経営するタカガワグループとなった。


資金難で身売りした名門山口CC

 同CCは山口県で初、全国でも26番目のゴルフ場で、井上誠一が設計し旧毛利家の敷地が使われた歴史あるコース。886人のメンバーが在籍していた。

 今回の譲渡はコースメンテナンスや設備投資などの資金調達が難しくなったことも確かだが、公益法人改革をにらんでのこと。この改革により現在の公益社団制のゴルフ場は、2013年までに「公益社団」か「一般社団」、「株式会社」への移行が義務付けられる。

 山口CCの新コース名は「タカガワ新山口CC」。今後はタカガワグループが、8月末に㈱タカガワアソシエイツを設立しパートを含む従業員27人を継続雇用して運営に当たる。

 同コースではクラブハウスも全面リニューアルし10月1日完成予定だ。同グループでは安定経営のためメンバーの200~300人増員を目指すという。また旧会員はプレー会員権を継承する。譲渡を受けた同コースの中岡俊也支配人は、次のように話す。

「旧山口CC時代は、集客には苦労していたと聞いています。資金面でも短期的には賄えても、長期的には厳しいとの見込みで今回の措置になったのでしょう。今後は、メンバーを増やす努力とビジターも来場しやすいようにしたい」

 山口県内には、あと2つの社団ゴルフ場がある。今回の山口CCの事業譲渡について聞いてみた。周南CCの森永進支配人によると、

「県内でもアップダウンがきつく厳しいコースということで、集客には苦労していたと思う。コースメンテナンスのことを思うと今回の措置は、メンバーにとってはよかったとも思う。公益法人改革の絡みでいえば渡りに船だったかも知れない」

 下関GCの秋本和正支配人は、「県内一古いゴルフ場がこのようになったことは寂しい。社団ということもあり、敷居が高いぶん来場者が減少気味で資金難であったと思う」という。

 公益法人改革については、関東でも代表的なゴルフ場の関係者はこう強調する。

「社団法人のゴルフ場といっても、その内容・形態はそれぞれだいぶ違うので、ひとくくりにされてもそれは困る。公益性についても有識者の厳正な判断に期待したい」

 これに対して、評論家の大宅映子氏は、

「公益法人改革は大山鳴動して何もならないのでは。公益の見定めにしても何の基準でやるのか。ギリギリまで様子見だろうと思う。排他的な社団ゴルフ場のどこが公益なのか。一握りの人たちのものになっていることからしても、存続は本当なら厳しいはずだが……」と看破する。

 12月を前に社団法人のゴルフ場はその存続を目指し、過酷な戦いが待ち受ける。

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