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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 3/20号
2007/3/8更新
フェース用の≪軽比重≫チタンがドライバーに採用。
各社が新素材に走る背景は

 08年1月のSLEルール導入を前にして、高反発フェースにかわる新しい飛びのキーワードとしてクラブメーカー各社が打ち出しているのは「高慣性モーメント」だ。そこで注目されている素材が軽比重チタンだ。神戸製鋼、新日鉄、JFEスチールなどから新素材チタンが新開発、新たにフェース材として採り入れられている。


やっぱりこだわるのはフェース。MPクラフト425

 キャロウェイやナイキの四角いヘッドは見た目にも非常に分かりやすいアイデアだが、慣性モーメントを大きくする工夫は目に見えない部分でも進んでいる。なかでも多くのメーカーが着目しているのが、フェースの軽量化だ。

 といってもただフェースを薄く造るだけでは、ルールに抵触してしまう。そこで各社が採用し始めたのが軽比重チタン合金だ。

 軽比重チタン合金のメリットは、同じ厚さや強度でフェースを作っても重量が軽くできること。フェース重量を軽く抑えることができれば、ヘッドの重心は後ろに下がるので、慣性モーメントを大きくできる。

 軽比重チタンで代表的な素材は、神戸製鋼の『KS Ti-9(タイタン)』だ。『Ti-9』は、航空機用として開発されたα+βチタン合金で、比重が4.5と従来のβチタン合金(比重4.8)に比べて小さい。

 また、剛性を表すヤング率もβチタン合金の80GPaに対して140GPaと高く、つまりチタン合金の中でも変形しにくい素材のため、SLEルールを超えない範囲でフェースをより薄く作ることが可能だ。

 ちなみに『Ti-9』のネーミングは、チタン以外の素材が9パーセントの比重で組成されていることに由来し、このうち軽いアルミを4.5パーセント含んでいることが軽比重化につながっている。

『Ti-9』の特性にいち早く目をつけたのは、SRIスポーツとセイコーエスヤードで、それぞれ『スリクソンZR-600』と『エグゼライト』のフェースにこの素材を採用している。ヘッドの大きさもルールの限界まで達した現在、

重心深度を深くするためには軽比重素材が有利」(SRIスポーツ・山田照郷氏)なのは間違いない。『Ti-9』のほかにも同社では、新日本製鉄と共同開発した軽比重チタン『スーパーTIX51AF forゼクシオ』を『ゼクシオ460』と『ゼクシオ・プライム』に採用している。

 目に見えない素材の違いに分かりやすい付加価値をつけて売り出しているのがミズノだ。「生チタン」のサブネームで『JPX E300』を大ヒットさせた同社が、今回『Ti-9』を採用した『MPクラフト425』につけたサブネームは「鍛流チタン」。

「これからはドライバーにも打感が求められる時代。一定方向に圧延して作られる『Ti-9』の結晶構造が鍛造アイアンと似ているため、結果的に打感のよいドライバーができました」(ミズノ・西田維作氏)

 実際、『Ti-9』の打感の軟らかさは他メーカーでも認めている。SRIスポーツが、『ZR-600』と『ゼクシオ』と2種類の軽比重チタンを使い分けているのは、打感にこだわるプロのニーズに応えるためだ。

「同じように作っても見せ方によって売れるか売れないかが決まる時代。キャッチコピーを先に付けたもの勝ち」(前出・西田氏)と「生チタン」ブームの再現をねらうミズノの目論見は当たるのだろうか。

 同じフェース素材を採用しながら「鍛流」を謳わない『JPX E500』と合わせて、ユーザーのジャッジが注目されるところだ。

 反発性能と加工性の高さで数多くのクラブに使われてきたのはJFEのSP700チタン合金だが、同社ではSLEルール導入に合わせて改良型の『SP700HM』を開発した。

『SP700HM』の最大の特徴はヤング率の高さで、フェースに加工した場合に12パーセントの剛性アップを実現している。つまり、同じ強度でフェースの厚さ(重さ)を減らすことができるというわけだ。

『SP700HM』を採用したヨネックス『ニューナノブイ』では、従来品よりもフェースを0.2ミリ薄肉化、4グラムの軽量化を達成している。各社の新趣向、果たしてユーザーにどう映るか、気になるところだ。

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