週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　このところ休日には混雑の目立つゴルフ場が多くなった。そうした賑わいを裏付けるデータが先日、（社）日本ゴルフ場事業協会から発表された。同協会はゴルフ場利用税に基づく昨年度（05年3月～06年2月）の全国ゴルフ場の利用者数を先ごろ発表した。それによれば、昨年度の延べ利用者数は8604万5943人で、前年度に比べ73万8854人、率にして0.87パーセントの増加となった。

　同利用者数がプラスになったのは、2001年度以来、4年ぶりのことだ。ゴルフの場合、天候要因による利用者数の増減は少なくない。

　実際、東北と北陸地方では、昨年は1～3月の多雪、春先の天候不順、そして梅雨明けの遅れと前半は天候に恵まれず、ほとんどの県で利用者数を減少させた。

　しかし、全国的にみればやはり景気回復の恩恵が大きかったのだろう、47都道府県のうち28都府県で利用者が増加している。

　また、全国のゴルフ場の数は、前年から7コース減って2446コース（ショートコースが含まれる他、都道府県にまたがる県境のゴルフ場は重複計上されるので、実際のゴルフ場数より多くなっている）なのだが、これにより1ゴルフ場当たりの利用者数は3万5178人で、前年度比402人、率にして1.2パーセントの増加となった。

　こちらは2年ぶりの増加だが、2年前は前年度比でわずか30人、率にして0.1パーセントの微増だった。　今回のような1パーセントを超える上昇となったのは、1989年以来、実に16年ぶり。業界関係者は、ようやく回復を実感し始めたのかも知れない。

　都道府県別の延べ利用者数をみると、増加が最も大きかったのは山梨県で前年度比10万人余、7.60パーセントもの増加。1ゴルフ場当たりの利用者数は3万6527人で、同1710人、4.91パーセントの増加（前年から1コース増えたため）となった。

「ゴルフ場が協力して首都圏のゴルファーの目を山梨県に向ける努力をしてきた成果じゃないでしょうか」と語るのは、同県ゴルフ場支配人会の山田守郎会長（ダイワヴィンテージ総支配人）

　山梨県では、かねてから県内の複数のゴルフ場でプレーすれば特典がもらえる「スタンプラリー」や、支配人会によるジュニア教室開催など、地域を挙げての広報・営業活動や普及活動を次々と立ち上げてきた。

「さらにこの春からは『ゴルフやまなし』というフリーペーパーを発行し、都内を中心に配布した結果、予約サイトへのアクセス数が増えるなど、予想以上の反響をいただきました」（山田氏）という。ゴルフ場単独ではなく、地域を挙げての集客活動のほうが効果的なのだろう。

　宮崎県は、延べ利用者数が4万8796人増、1ゴルフ場当たりでは1627人の増加で、増加率はともに4.51パーセントのアップ。この増加率は九州でトップ、全国でも3番目に高い。

　その大きな推進力になっているのが、韓国からの積極的な誘致、そして宮崎市と周辺17のゴルフ場などが協力して毎年秋に実施している「みやざきゴルフマンス」キャンペーンだ。

　これは11月に同市内で開催される男女のビッグトーナメント、ダンロップフェニックスとLPGAツアー選手権リコーカップに合わせて数々のイベントを企画し、同市へのゴルファーの誘致を図ろうというもの。

「今年で3年目になりますが、お客さんには好評ですし、ゴルフ場からも冬のお客さんの増加に役立っているという声をいただいております」（宮崎市観光協会）

　一方、延べ利用者数で2パーセントを超える増加となったある県のゴルフ場協会関係者は、「増加分の多くは、県内に増えた外資系のゴルフ場の積極的な営業によるものかも知れません」と語る。

　そうしたコースでは、グループによる全国的な広報活動や営業戦略で、大規模にゴルファーを呼び込んでいる。そのかたわら、メンバー中心の営業や地元を対象にした普及活動といった地道な活動をしているゴルフ場もある。

　そのため、利用者数が増加したといっても、まだら模様で、回復が一様でないといった問題があるという。

目を転じて、今年は大きな天候異常もなく、景気も回復基調にあり、そういう意味では昨年よりもっとゴルファー数の増が見込まれる。さらに、来年にかけても全国的に力強い賑わいが戻ってくることを期待したい。