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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/17号
2006/10/4更新
豪雨と夏の猛暑で西日本のコースが大被害。
芝の手当てでてんてこ舞い

 10月になって秋も本格化。ゴルフには最適なシーズンとなったが、振り返ってみると今夏は6~7月の全国的な長雨・日照不足と局地的な集中豪雨。一転して8月は、西日本を中心に記録的な猛暑に見舞われるという、目まぐるしい夏だった。ゴルファーには厳しい季節だったが、それ以上に厳しかったのがゴルフ場の芝、なかでもグリーンのベント芝だった。

 この夏は、まず梅雨が長引いた。しかも、終盤の7月には全国あちこちで記録的豪雨が発生。

 そのため、7月の降雨量は全国1300余りのアメダスのうち、171地点で観測史上最多を記録した。ところが、8月になると今度は西日本を中心に猛暑が続いた。こうした気象状況は人間だけでなく、ゴルフ場の芝、特にベント芝には辛かった。

「うちのグリーンキーパーも、これまで経験したことのない夏だと言っています。特に熱帯夜が続いたのが響いて、一部グリーンを張替えました。現在はトーナメント開催(ABCチャンピオンシップ)に向け、万全な状態に戻っています」(ABCゴルフ倶楽部・小森成樹支配人)

「8月は猛暑に加え、雨がほとんど降りませんでしたから……。うちもそうですが、関西のゴルフ場はどこも大変な夏だったと思います」(六甲国際GC)

 あまりの雨不足に、夕立などでひと雨降ったときには、あるコースで「これで100万円助かった」と小躍りしていたそうだ。

≪ひと雨100万円≫はオーバーにしても、コースの隅々まで散水する作業には、相当なコストがかかる。そのひと雨で枯れかかった芝が息を吹き返すということにでもなれば、その恩恵は多額なものとなる。

 ところで、関西のゴルフ場では、芝に問題があれば助けを求められる団体がある。関西ゴルフ連盟の芝管理の研究機関として設立された(財)関西グリーン研究所である。

 同研究所に今夏の状況を聞いたところ、この10年で最も多くの相談(芝が枯れたり、病気が発生するなど)があったという。そして、その多くがもともと寒地型で、暑さに弱いベント芝に関する相談だった。

「特に、8月初旬に相談が殺到しました。この時期は、例年なら気温が高くても雨は少ないので、病気は発生しにくいのですが、今年は梅雨の降雨量が多かったため、地中に大量の水分が残っていたところに猛暑が襲ったので、いわゆる芝がゆだった状態になり、病気になったケースが多かったようです」(同研究員)

 ベント芝は本来、床が水はけの良い砂地のサンドグリーンの上に設置されるのだが、改造には多大な経費がかかる。そのため予算に余裕のないゴルフ場では、昔のまま、土の上にベント芝が貼られている。

 そうしたところでは、水はけが悪く、今年のような夏には病気になる危険性が高まってしまうのだ。そして、そうした土のままベント芝を貼ったゴルフ場が関西にはまだ2割程度あるという。

 グリーンの芝が枯れた場合、自社にナーセリー(芝の育成地)のあるゴルフ場はいいが、それがないコースは業者から切り芝を購入するしかない。

 西日本にあるその一社、鳥取県芝生生産組合に聞いたところ、「今年の夏は、ベント芝のソッド(切り芝)が売り切れ状態になりました。その後も、西日本の各地、これまで取引のなかったゴルフ場や問屋さんからも、問い合わせがあります。芝がやられたゴルフ場が例年以上にあったことは確かでしょう」(営業課長・石川浩二氏)

 関係業者によれば、切り芝はもちろん、ベント芝の種まで品薄状態なったそうだ。

 先の関西グリーン研究所の研究員は、「年々、芝の管理技術は進歩していますが……」と断ったうえで、夏の間だけは、ゴルファーもベントグリーンに速さを求めないほうがいいという。

 なぜなら、グリーンを速くするには、芝を短く刈らなければならず、その結果、芝の体力は落ちるからだ。夏の暑さは終わったとはいえ、その暑さは色々なところで影響を与えている。

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