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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 1/31号
2006/1/19更新
セベの提唱で新設されたアジア欧州対抗戦
「第2のライダーカップ」に育てられるか

 新年早々の1月7~8日、タイ、バンコクのアマタ・スプリングCCを舞台に行われたザ・ロイヤル・トロフィー。今年新設されたこの欧州VSアジアの団体戦は、メジャー5勝のスペインの星、セベ・バレステロスの提唱によって始まったが、将来のゴルフツアー勢力図を思わせる新しい大会だった。

 持病の腰痛のため、すでに現役を半ば退いているバレステロスは、欧米が対戦するライダーカップのヒーローとしても知られている。闘志あふれるプレースタイルが、マッチプレー形式の団体戦で見事に生きて『ミスターライダーカップ』の異名を持つほど。

 2年に1度のライダーカップイヤーには、ビッグネームたちが口を揃えて「今年の目標はライダーカップ出場。そして勝つこと」と、口にするような大会に育った裏には、バレステロスの活躍が大いに貢献している。

 全盛期にそれだけライダーカップのスターとしての地位を確立し、大会に愛情を注いだバレステロスは、ライダーカップのない年に、欧州VS英国&アイルランド連合の団体戦であるセベ・トロフィーを主宰。さらにメジャーの舞台で活躍する以前、腕を磨いたアジアンツアーや日本ツアーのことも忘れていなかった。

 そんな背景の中、ここ数年、アジアンツアーと欧州ツアーが共催する試合が多く行われていることもあり、今大会の開催を提案。日本ツアーには昨年7月の全英オープンの際に打診があったという。

「セベは若い頃のことを忘れていませんでした。できれば日本も含めたアジアとやりたい。第1回はぜひ、日本のベテランにキャプテンをやって欲しい、と言っていました」と、日本ツアー機構(JGTO)の山中博史ディレクターが説明する。

 77、78年に日本オープンで連覇を果たし、バレステロスが世界に羽ばたくきっかけを作った日本ツアー。ビッグネームになった後も招待選手として何度も来日し、コース設計などでもなじみのある日本。バレステロスはこの大会開催にあたって、日本への思いを口にした。

 第1回目は8名ずつの戦士を率いる両チーム主将に、欧州が48歳のバレステロス。アジアは国際親善の手腕と行動力を買われて、海外経験も豊富な倉本昌弘が選ばれた。

 舞台となったタイは、ちょうど国王在位60周年という記念の年だったこともあり、タイ政府観光協会からのお墨付きをもらって、コースを始めとするいくつかのスポンサーを得て開催にこぎつけた。 

 フォーサム、フォアボールの2形式で行われた初日は、欧州が6対2と大きくリード。ワンサイドゲームになるかと思われたが、2日目のシングルス8試合で今野康晴、深堀圭一郎の日本勢を筆頭にしたアジアチームがこれを猛追したが、9対7と僅差で欧州が勝利を収めた。

 残念ながら日本では大きく報じられなかった同大会だったが、現地では1万人近いギャラリーを集めて盛況のうちに幕を下ろした。

 次回開催の詳細は現在検討中だが、こうしたイベントは継続してこそ花が開く。

 現在大きく育ったライダーカップやザ・プレジデンツカップも、最初の注目度はそれほどでもなかったが、それを育てたのはビッグネームたちと関係者、それにファンの力に負うところが大きい。

 タイのギャラリーは公平でマナーもよかったことから、今後も舞台となる可能性が高いが、いずれにしても日本ツアーは今年の大会を機会に、今まで以上に存在感を示すことが大切だろう。

 世界のゴルフ地図は、米国、欧州(アフリカも含む)、アジア太平洋の3つの地域でまとまる方向で動いているが、その中で日本ツアーが果たす役割は大きい。これからは実力をつけてきたアジア諸国としっかりタッグを組み、それを通じて米国だけでなく、欧州との絆も深めることが求められているようだ。

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