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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/27号
2005/12/15更新
あなたの「グリップスピード」はいくつですか?
PRGRがクラブフィッティングで新理論を展開

 ヘッドスピードならぬグリップスピード。この耳慣れない用語がクラブフィッティングには欠かせないものとなるかもしれない。

 インパクト時のヘッドのスピードとグリップエンドのスピードを同時に測定するグリップスピードテスターを開発したのは横浜ゴム。1984年にPRGRブランドでゴルフクラブ事業に新規参入した同社は、ヘッドスピードを軸にした当時としては画期的な商品展開を行ってきた。

 それ以前には、スウィングが速い遅い、力があるないといった大まかなタイプ分けはあっても、ヘッドスピードを数値化するという概念は一般化していなかった。そこで、同社は簡易にヘッドスピードを測定する器械も同時に発売して、目新しいコンセプトの普及を始めた。

 そして今では、どのメーカーのカタログにも推奨ヘッドスピードが明記され、ゴルファーが自分のヘッドスピードを目安にクラブやシャフトを選ぶようになった。

 そのPRGRが新たに提唱するグリップスピード理論は、従来のヘッドスピード理論をさらに押し進めたもので、フィッティングの精度をより向上させるものと期待されている。

「たとえば同じヘッドスピード46m/sの人でも、グリップスピードは3m/sとか6m/sとか開きがあります。これはリストターンを使っているか使っていないかの違いです」(横浜ゴム スポーツマーケティング部/松浦芳久氏)

 つまり、インパクト直前に手首を返して止める動きをするリストターン派はグリップスピードが相対的に遅くなり、ボディターン主体であまり手首の動きを使わないゴルファーはグリップスピードが速くなる。このことがフィッティングにどう影響するのか。

「リストターン派とボディターン派では、同じヘッドスピードでもシャフトやヘッドの動き方がまったく違うので、それに応じてクラブを作り分けていく必要があります。リストターン派はクラブの挙動が激しいので、シャフトをあまり大きくしならせないよう中間と手元側を硬くします。
 またヘッドが返りすぎたりするのを防ぐため重心は浅めの方が適しています。反対にボディターン派には、しなりを大きく使えるように手元側を柔らかくしたシャフトが合います。重心は深めの方がいいでしょう」(松浦氏)

 この理論は、すでに同社のクラブ開発にも生かされている。

「たくさんのゴルファーの計測を行った結果、アマチュアの場合、ヘッドスピードが速い人ほどリストターンを上手に使っているのでグリップスピードの遅い人が多く、標準的なヘッドスピードの人はグリップスピードの速い人が多いことが分かりました」

 新製品のT3ドライバーは、この理論に基づいて、ヘッドスピードの速いゴルファーを対象にしたT3ブラックと平均的なゴルファーを対象にしたT3ブルーとでヘッド、シャフトとも専用設計したという。

 また同社はこれまで、流行の特注シャフトを手がけてこなかったが、今後グリップスピードテスターを利用したフィッティングを行う計画があるという。

「特注シャフトを手がけなかったのは、それが合う人もいれば合わない人もいるし、流行に左右されるのもどうか。モノ作りの基本はトータルで完成されたクラブを作ることです。ただし標準品が合わない2割程度のお客様をどうするかですが、これからはスウィングタイプを調べることで、その方々にも合うクラブをおすすめできます」

 テスター本体は、ショップの店頭に設置できるよう弁当箱大のコンパクトな大きさで、測定もスウィングタイプの判別も簡単に行える。

 ただ問題は、大掛かりな測定システムに比べてあまりにシンプルなため、ユーザーを納得させられるかどうかだ。普及させるにはプロの誰それが使っているというような説得力も必要だろう。

「システム的には完成しているのですが、そこにどう面白さを出していけるか。ショップからお客様へ説明するノウハウを作り込んでいる段階で、シミュレーターと組み合わせて結果を立証するような方法も検討中」(松浦氏)とのことだ。

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