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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/22
2005/3/16更新
「最後のリゾート王」と呼ばれたコクド前会長
堤義明逮捕で揺れる西武系ゴルフ場の行方は?
 昨年10月の突然の辞任会見から半年。3月3日、証券取引法違反容疑で、西部グループの堤義明前会長が東京地検特捜部に逮捕された。グループ中核会社であるコクドが運営する約160カ所のホテルや旅館、スキー場、そしてローンスターグループ、ゴールドマンサックスに次いで、国内第三位のコース数を誇るゴルフ場はどうなるのか。

 撤退・売却を見越し、水面下では熾烈な争奪戦が起きているのかと言うと、実は全く無風状態なのだ。対外的には長らく子会社として公表していたコクドが、実は80パーセント超の株を握る親会社だったことを西武鉄道が公表した、あの衝撃 の会見から半年。年初には全国紙が「西武のリゾート事業再編、箱根・軽井沢・苗場に集中」とし、主要3地域に経営資源を集中する方針を固めた、つまり海外も含めてそれ以外の地域は撤退対象とする方針を固めた、と報じた。

 西武グループ経営改革委員会が1月28日に公表した中間報告でも、約160カ所ある施設のうち25パーセントについて、撤退や売却を検討する、海外ホテル、リゾート事業の再構築を検討し、有利子負債圧縮のため、追加の資産売却も検討する、という内容が盛り込まれている。

 年初の報道とこの中間報告によって、一般には北海道や東北の施設は売却対象、ゴルフ場についても、「軽井沢、箱根、川奈、埼玉以外は売却」はほぼ既定路線との見方がある。特にゴルフ場は大半がパブリックで、一般に売却時最大のネックと言われる会員の処遇というハードルがない。

 ところが肝心のコクド側は、「具体的にどの施設を売るとか、どこから撤退するかといったことは、現時点では何も決めていない。経営改革委員会からも、1月に中間報告を受けているだけで、最終報告は3月末に出るのか、それ以降になるのかはわからないが、最終的な提言を受けて検討することになる。第一経営改革委員会は提言をする組織であって、決定機関ではない。あくまで決めるのはコクド自身」(コクド広報担当)とコメントしている。

 しかも堤義明前会長の実弟・康弘氏らが、「コクド株は堤家の財産であって、義明氏はその管理人にすぎない」としてコクドの株式の所有権を主張。あくまで名義人を株主と見なし、康弘氏らの主張を無視した経営改革委員会に対し、「コクドは債務超過でも、経営破綻しているわけでもないのに、資産売却を強いられるのはおかしい」とし、諸井虔委員長の辞任と委員会の解散を求めている。さらに、もう一人の実弟・猶二氏に続いて兄の清二氏もコクド株の持ち分を確認する訴訟を起こした。

 西武グループの再編や、コクドの主要な資産の処分を、株主の意向を無視して進めることは困難であるのは間違いなく、経営改革委員会の描くスキームをコクドが受け入れる下地として、株主が誰で、一体誰を納得させなければならないのかは極めて重要だ。

 その複雑な背景ゆえか、「水面下で具体的に、個別の施設の売却の話が出ているという話は聞いていない」(ゴルフ場のデューデリジェンスを扱う業者)という。

 経営改革委員会の意向は、事実上西武グループのメインバンクであるみずほ銀行の意向を汲んだものであり、「1兆4000億円もの負債がある以上、資産処分なしはありえないというのが金融界の一般認識。コクドが残したいと考える資産が残せるかどうかも今後の金融機関の意向次第」(大手銀行員)。「ローン・スターやゴールドマンサックスはゴルフ場単体でなければ興味を示さないのでは」、「川奈は世界アマチュア選手権を開催したこともあるので、海外でも有名。値段次第だが川奈なら外資も食指を伸ばすはず」、「軽井沢はすでに供給過剰。買い手が付くかどうかは値段次第では」、「西武のコースはプレーフィが高く地元住民は利用しづらいが、安く買い取ることが出来ればプレーフィを下げ、地元のプレーヤーを呼び込むことも可能」、などなど潜在的な注目度は高いが、資産処分の具体的方向性が見えるまでには今しばらく時間がかかりそうだ。

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