週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　さくらは、初日の16日前にハワイ入りして、本番に備えた。当初は、「大会コースを初めて回った日は3オーバー。グリーンの芝目がキツいし、ラフからも正確にショットできない。本番ではイーブンパーで回れればいいですね」と話し、トレーニングも兼ねている長期合宿でもあったため、予選は結果として通ればいいくらいに思っていた。父・良郎氏も「男子の大会で、イーブンパーで回れれば合格。予選通過は期待しているが、結果はどちらでもいい。それより、大会コースで長期間準備をして、男子選手に失礼がないようにしたい」というほどだった。

プロ根性は誰にも負けない!?

　ところが初日、いきなり5バーディ1ボギーの4アンダーで回り、日本ツアーで2年前に賞金ランキング2位になった平塚哲二(1アンダー)や室田淳(1オーバー)ら男子選手を上回る、7位タイのフィニッシュ。大会関係者、報道陣、出場選手らの予想をはるかに上回る成績で周囲の様相が一変した。地元新聞はさくらを一面に大きく取り上げるほど。

　早速、翌日に大きなオファーが舞い込んできた。日本女子ツアーの前週に行われる米女子ツアーの「SBRオープン」(2月25～27日)。今大会と同じく地元ハワイで行われるため、推薦枠を持つ大会関係者が良郎氏に直談判した。しかし、女子開幕戦で優勝を狙う横峯父娘にとって、「米ツアー出場はたいへんありがたいお話で残念だが……」と丁重に断りを入れる。

　さらに、予選通過が決まった3日目のラウンド中に、日本の新規トーナメント関係者からオファーを受ける。「G-ONEトーナメント」(4月5～6日・協賛ゲージデザイン、伊藤園ほか)だ。優勝賞金1000万円、川岸良兼などツアー上位選手が多数出場するこの大会。父は、「パールオープンは本戦から出場したが、基本的にマンデーから出るのが女子選手としての筋。本戦の推薦を頂けるのは嬉しいが……」とこれも断る模様。

　そして、日本男子ツアーに今季から加わるサミーカップ(7月20～24日)にいたっては「マンデーがないならマンデーを作ってでも出場してもらいたい」(大会関係者)と言われているほどだ。たまたま、この週は女子ツアーが休みに当たるので、これについては検討するそうだ。

　帰国しても、さくらフィーバーはヒートアップするばかり。スリクソン、レイバン(サングラス)と用具契約、マリクレールとウェア契約、全日空とスポンサー契約、コカコーラとCM契約はすでに決まっているが、「サニーヘルス」(本社・長野)への所属が破格の契約で結ばれた。「マイクロダイエット」と聞けばご存知の方も多いこの会社と2年1億3000万円で契約。宮里藍がサントリーと交わした3年1億5000万円(推定)を越えるものだ。しかもパールオープンの予選通過という成績で、当初の予定額の1億円に3000万円がプラスされて、跳ね上がった数字だという。契約を結んだ理由は、「『健康・美容・安全』という企業テーマが私の持論に近いこと。私は『命より健康が大事』と常日頃から言っている。さくらもプロゴルファーとして体が資本。美しさも見せなきゃいけない女子選手としても健康食品のほかに化粧品も扱うこの会社がピッタリだっただからです」と父。

　まさにハワイでつかんだ横峯父娘のアメリカンドリーム。昨年8月末のプロデビュー戦で全財産4万円しかなかった(?)ことを考えると、想像もつかない大金をつかむことになった。「イチかバチかの大勝負」に勝って喜ぶ父。一方、さくらはまた別の喜びに浸っていた。

　実は大会初日(4日)が両親の結婚25周年、最終日(6日)が母・絹子さんの誕生日だったのだ。「お父さんはまあ置いといて……」と照れながらも、父以上に家族で最も苦労かけ続けて来た母・絹子さんに最高のプレゼントができたことが嬉しかったようだ。