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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/1
2005/1/29更新
ゴルフ場の「突然死」からゴルファーを守る
最新救命機器と救急看護補助員システム
 昨年暮れまでの暖冬がウソのように、先週は強い寒波が日本列島を襲い、全国的に気温がぐんと下がった。外気温が下がると室内との温度差が大きくなって心臓に負担がかかり、心臓発作の発症が増える。もともとゴルフ場ではプレーヤーの高齢化、前夜の不摂生、寝不足、準備運動不足などから心臓発作で倒れる例が少なくない。その万が一の事態に、積極的に備えようとするゴルフ場が現れ始めた。

 神奈川県の磯子CCでは、心臓発作による突然死からゴルファーを積極的に守ろうと、昨年10月、けいれん状態になった心臓に電気ショックを与えて正常な鼓動に戻す救命機器「自動体外式除細動器(AED)」を備えた。

 このAEDは縦横30×25センチ程度、重さ2~3キロのポータブル装置。心臓発作を起こしたと思われる患者に簡単なマニュアルに沿って装着すれば、自動的に心電図を計測。そこで心臓発作特有の波形を探知すると、音声ガイダンスと表示で指示が出され、それに従ってスイッチを押すと電気ショックが作動する。鼓動が正常に戻るまで同様の指示が出されるが、心臓発作の波動が計測されなければ、ボタンを押しても作動しない。また、その間の心臓の動きは内部にデータ蓄積され、その後、病院での手当てに活用される。

 簡単な講習を受けると、誰にでも誤作動なく操作できる装置で、心臓発作からの蘇生にはきわめて有効な手だてになる。

 以前は、医師や救急救命士などに操作は限られていたが、昨年7月から一般に解禁され、最近は公共施設などで設置するところが増えている。

「あるお医者さんからAEDのことを教えていただき、しかもとても有効な装置と聞きまして、さっそく導入しました。現在、うちでは7人が講習を受け、操作するようになっています。講習は1日、5時間程度です」(小笠原寿支配人)

 一般に心臓発作(心室細動)は治療が1分遅れれば蘇生率が10パーセント下がるといわれる。そして、救急車による平均治療開始時間、9分後での治療では、社会復帰できる例はわずか3パーセントという。

「5分以内に正しく手当てすれば75パーセントは助かるそうです。うちの場合、救急車は5~6分で到着しますが、コース内へはさらにかかりますからね」(小笠原支配人)

 それだけこのAEDは、いざというときに心強い存在なのだ。一般人が見ても、まだこのありがたみは分からないが、同CC会員には医者が多く、彼らはこれを目にすると「これで安心だ」と喜んでいるそうだ。

 また、同CCでの設置をきっかけに、AEDの有効性が県内の他のゴルフ場にも伝わり、次々と導入が進められているようだ。ちなみにAEDの価格は1台40万円~70万円。

 一方、太平洋クラブでは、昨年9月までにグループの全18コースに「救急看護補助員」を配置。救急車や医者が到着するまでの間、けが人や急病人に適切な応急手当が施せる体制を整えた。

 同グループの「緊急看護補助員」は、地元の日本赤十字、あるいは欧米において同補助員育成で長い歴史と実績を誇るNPO団体「セント・ジョン・アンビュランス」による講習を受けた者で、各コースの副支配人やマネジャークラスが受講し、資格を取得した。今では、各コースに1~4人の同補助員が配置されている。

「会員の高齢化にあわせ、より安全で、かつ楽しくプレーできる場を提供したいとの考えから配置を進めることにしました。会員の皆様は、高齢化社会に備えて当然なすべき措置ととらえ、特別大きな反響はありません」(広報部)ということだが、もちろんこうした同社の姿勢は評価されているようだ。

 だが、こうした救命装置、救急体勢にお世話にならないのが一番。特に、寒さの厳しいこの季節は、万全の体調で十分な準備運動をしたうえでスタートティに上がることだ。

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