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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/6号
2004年更新
USGA会長が、女性の入会を禁じている
オーガスタの会員であることに批判の声
 ひょっとしてオーガスタナショナルの問題が、USGA(米国ゴルフ協会)にも、大きな影を落としているのかもしれない。今年の全米オープンでは、USGAの体質が変わってしまったかのような印象を、世界中から集まった多くのマスコミに与えたのだ。

 オーガスタの問題というのは、もちろん、例の女性メンバー入会問題のこと。これがなぜUSGAに影響を及ぼしているのかというと、USGAのフレッド・リドレイ会長や同副会長で、競技委員長でもあるウォルター・ドライバーが、オーガスタのメンバーであるからだ。過去にも、この問題が何度か浮上したが、全米オープンの前週のビジネス・ウィーク誌でも、「ゴルフ界のトップが、女性の入会できないコースのメンバーであるのは問題がある」ということで、再度注目を集めることになったのだ。

 全米オープンの会場で、リドレイ会長は「この問題については、すでに何度も説明しており、付け加えることはない。USGAは、すべてのゴルファーをサポートしており、この中には、女性も女の子ももちろん含まれている。とくに若者たちに対してのプログラムは、USGAの会長として重要だと考えている。そのほかについては、いまさら語るつもりはない」と完璧に逃げの発言を繰り返していた。

 ちなみに、これまで、リドレイ会長が語っていたのは、「自分がどこのメンバーであるかはプライベートなことで、USGAの会長職とは関係がない」ということで、パインバレーやオーガスタのメンバーであり続けていたのだ。一方、USGAの職員のトップであるデビット・フェイが、こうした女性問題が表面化したためにパインバレーを退会しているだけに、フェイの雇い主に当たるリドレイに対する批判の声もなかなか消えずにいるようだ。

 毎年、全米オープンは、もちろんUSGAの最大のイベントで、世界のメディアが、この大会の取材のために集まってくる。そのためUSGAは、その場を借りて、施政演説ではないが、今後1年間の方針などを語る場として利用していたのだ。しかし、今年のインタビューは、例年のような所信表明のような話もなく、すでに知られていた2010年の全米オープンをぺブルビーチで開催することを発表するにとどまり、すぐに質疑応答に移ってしまった。しかも、その質疑応答の中でも、例年話題になるゴルフ用品問題に関しては、「とくに決まった予定はない」(W・ドライバー副会長)を繰り返すのみ。

 ゴルフボールに関しては、最近、R&A(ロイヤル&エンシェント)が、ヘッドスピードをアップさせた形でのテストを開始したことが伝えられているが(かつてUSGAは、試打マシーンの使用をやめることを発表したが、結局使用を続けている)、「2002年に発表した基本方針があり、それに沿って研究が続けられているが、ボールのパフォーマンスに対する規制の変更については、とくに決まったことや予定があるわけではない」(W・ドライバー)と語る一方、アーニー・エルスらが批判して話題となっている、ロングパター、ベリーパター(中尺)についても、「話し合いは続いているが、何も決まったわけではないし、何かのアクションをとるという予定もない」(リドレイ会長)とか。

 これまで、用品の制限を熱心に進めてきた、USGAとは思えない、後退したかのような発言に驚かされたのだ。

 穿った見方をすれば、オーガスタのメンバー問題で叩かれているUSGAの首脳陣にすれば、これ以上つつかれたくない、といった意識が働き、カンファレンスも手短に収めて、用品の問題にしても、ことを荒げないようにしようという意向が働いているようだ。当のオーガスタでは、女性入会問題は過去のものになりつつあるが、とんだ飛び火で、USGAも戸惑い気味。これでゴルフ用品に対する制限が、緩和されるのなら、メーカーにとっては、悪い話ではないのだが……。

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