週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

　天性の強運というべきか、昨年9月の初優勝が就学先（東北高校）の宮城県内なら、今回のプロ初優勝は出身地の沖縄。ともに様々な記録を塗り替える歴史的な快挙に、ギャラリーやゴルフ関係者の興奮は否が応にも高まる。そのため、今会場には3日間で2万2309人ものギャラリーが来場。昨年の1万6492人を約35パーセントも上回る賑わいを見せた。

　そして、最終日のTV中継は裏番組に当たるプロ野球の巨人戦も、F1の豪州グランプリもぶっち切る高視聴率を記録した。平均9.1パーセント、瞬間最高14.6パーセント（ビデオリサーチ調べ、関東地区）。この9.1パーセントという数字は、昨年の4.7パーセントのほぼ倍というだけでなく、昨年のゴルフ中継の最高視聴率8.7パーセント（男子の日本シリーズ最終日）をも上回るものだった。

　ティオフ前からホールアウト後まで宮里を追い続ける専用カメラを用意したTBSでは、「望んだ展開？　いいえ、それ以上の展開でしたね。欲を言えば、2ケタの視聴率に乗せたかった（笑）。開幕戦の、このいいムードで、今年はゴルフ界全体の注目度が増し、ツアーの人気が盛り上がるようバックアップしていきたい」（河野大輔プロデューサー）と充実度満点のコメント。

　しかし、視聴者側として欲を言わせてもらえば、その前日、宮里が66の好スコアを出し、一気に首位に立った土曜日のプレーも見たかった。この大会、昨年から土曜日の地上波全国中継がなくなったのだ（BS放送で中継）。

　これについては、以前から悔しい思いを抱くファンも多いだろうが、女子ツアーでは土曜日の地上波全国中継を中止した大会が実に多いのだ。昨年は、なんと全30試合中、12試合がそうだった（うち、2試合は最終日の全国中継もなし）。

　そして、次の女子ツアー戦「再春館レディース」（4月16～18日）も、土曜日は地元、熊本県民TVのみのローカル中継の予定だ。

「今のところ、全国ネットで中継される予定はありません」（同局編成・小笠原長昭氏）

　全国的な注目度からして、何とももったいない話だ。

「今回は、宮里選手と、地元熊本の清元門下生3人（不動、大山志保、古閑美保）をクローズアップ。ファンじゃない方にも、興味深く観てもらう構成を考えています」（小笠原氏）

　地元ながら、なぜかこの大会未勝利の不動を筆頭に、後者3人は地元での優勝を心に期しているに違いない。場合によっては、「沖縄の仇を熊本で！」といった図式の対決だって期待できる。

「土曜日の中継実施については、ダイキンオーキッドの直後から、色々なメディアから問い合わせがありした。しかし、まだそういった話はこちらに届いていません」（系列局の日本テレビ広報部）

　男子ツアーで、昨年、土曜日全国中継がなかったのは、JCBクラシック仙台、NST新潟オープン、ジョージア東海クラシックの3試合だけ。ある中継番組制作の関係者は、「作る側から言えば、今は、女子ツアーのほうがはるかに楽しい。男子の上位選手には、自分のスコアさえ良ければという感じで、ファンにアピールする姿勢があまり感じられないから。その点では、いまだにジャンボが一番でしょうね」と、現場の思いを明かす。

　もちろん、土曜日の中継復活には、番組スポンサーの確保といった営業上の大きな問題があって簡単にはいかない。それでも、中継TV局の皆さん、今年の女子ツアーは数字獲りますよ。今ならまだ間に合う、何とか善処してもらえませんでしょうか。ファンを代表してのお願いです。