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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/23号
2004年更新
「今年はオーガスタで抗議活動はしない」
女性運動家は男子試合での女子活躍に期待
 昨年、あれほど揉めたオーガスタナショナルGCの女性メンバー入会問題。今年のマスターズでは、デモもストライキもなく、平穏無事に試合が開催されそうだ。

 全米女性団体協議会(NCWO)のマーサ・バーク会長によれば、「もし私たちが去年のように一箇所に閉じ込められてしまうのなら、同じことを繰り返しても仕方ない」ということで、今年の抗議活動は見送ることを決めたとか。つまり昨年、オーガスタの入り口でのデモが認められず、離れた場所での集会しかできなかったため今年の撤退に繋がったようだ。ただ、この問題から完全に手を引いたわけではない。団体としては抗議活動を行わないことを決めたが、「去年、(オーガスタの入り口でデモをやって警察に)捕まれば良かった」などと語っていることから、組織の中の一部の過激派が、数人で大騒ぎをするなんて可能性もないではない。

 バーク会長は、先の2月には、米国ゴルフ協会(USGA)にも噛みついている。USGAのF・リッドレイ新会長が、オーガスタナショナルとやはり女子禁制の名門パインバレーGCのメンバーであることから、「ゴルフを統括する組織のトップが、差別クラブのメンバーであるなどとんでもない」(実際、USGAのD・フェイ専務理事は女性差別問題からパインバレーを退会している)ということで、ことあるごとに鼻息も荒く、バーク会長は、まさにバーク(吠え)しまくっているのだ。

 もっとも、バーク会長の気をよくさせている話もないではない。昨年のコロニアルでのA・ソレンスタム以来、続く女子選手による男子ツアー参戦がそれだ。予選落ちが続いてはいるものの、「男子選手に比べてさほどひけを取らないことを証明している」とし、女性の入会を拒むプライベートクラブに対しての圧力になればと願っているのだ。

 しかし、そんな中、今度は欧州ツアーで、女子選手のスポンサー招待を禁止する可能性が出てきている。 「出場枠が限られているため、たくさん素晴らしい男子選手がいるのに出られないでいる。それなのに女子選手が出場することで、彼らの出場枠が削られるのだから、男子選手の大多数は(女性が参戦することに)賛成していないはず」(J・スペンス、欧州ツアー競技委員会会長)ということで、この問題が論議されているようだ。欧州男子ツアーでは、今年、L・デービーズが豪州で開催されたANZ選手権に参戦、予選通過ラインに遠く及ばず、ブービー賞で予選落ちした。そんなこともあって、出場しても無駄だという意見が強くなっているのだ。

 となれば、とにかく女子選手に、男子の試合で予選を通る実績を残してもらわないことにはどうにもならないのだが、ソレンスタムが「もう男子の試合には出ない」といっている今、現時点で期待がかかるのはミッシェル・ウィ。

 今年もソニーオープン以外でも、数試合の参戦が予定されているウィだが、まだ14歳の彼女の場合、プロの世界よりも大学ゴルフ部でのほうがホットな話題になっている。T・ウッズが在籍したスタンフォード大学のJ・ミッチェルコーチによれば、「これまで、女性が大学の男子チームでプレーすることなど考えてもいなかった。こんなことが起こるのは、限られたスポーツでしかなく、ゴルフはその中のひとつだろう」と言い、将来ウィが大学に入学できるような年齢に達した場合、男子チームの一員として、彼女をリクルートするかどうかが熱い話題になっているようなのだ。

「個人的には、反対だけど、それが規則の範囲内であれば、(他校が女性をリクルートすることも)大いに可能性がある」(サウスカロライナ大学のコーチ、K・シュエット氏)ということで、後2~3年もすれば、ウィを巡って、大学のコーチたちが、リクルート合戦を繰り広げることになりそうだ。もっともその前にプロに転向してしまうかもしれないが、男子のツアープロとの比較はともかく、少なくとも同じ年齢なら男子選手とプレーしても対等以上にラウンドできることは間違いなさそうだ。

 女性の入会を認めないクラブの根にあるのは、やはり「ヘタな女性とゴルフをしても面白くない」ということなのだろうが、そうした意味では、ウィはバーク女史にとっても希望の星ということになりそうだ。

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