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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/11号
2003年更新
木更津GCを経営する日経新聞系列の会社が
ゴルフ場所有会社の破産を申立て会員動揺
 日本経済新聞社系列の経営するゴルフ場、木更津ゴルフクラブ(千葉)で、預託金償還問題が遂に破産騒ぎにまで発展する事態が起きている。

 同GCの運営会社・(株)木更津ゴルフ倶楽部(以下、(株)木更津)は、日経グループが70パーセント、地主の内房産業(株)が30パーセントという株主構成だが、社長も支配人も元日経新聞の記者で、地元の会員権業者も「完全に日経のゴルフ場だと思っていた」と言う。

 話を複雑にしているのは、総額77億円の預託金を預かっていたのが(株)木更津ではなく、地主の内房産業だという点。内房産業が会員から預かった預託金でクラブハウスの建設やコース造成など、建設工事を行っているので、ハウスも内房産業の所有。さらに、内房産業は自らコース内の他の地主たちから土地を借り、自社所有の土地、クラブハウスと合わせて(株)木更津に賃貸するという形になっている。

 つまり、(株)木更津はプレーフィや年会費などの収入から、施設の賃料を内房産業に支払う店子の立場なのである。

 今回の騒動は、内房産業が昨年10月末支払いの預託金返還を見送ったことに始まる。(株)木更津側は10月31日付で会員向けに送付した経緯説明の手紙の中で、「((株)木更津の)取締役会もクラブ理事会も一切無視したルール違反の行為」であると批判。

「預託金償還の資金調達で苦境に陥った内房産業に対し、資金確保のために精一杯の経営努力をするとともに、(内房産業の)山口(直彦)社長の求めに応じ、預託金債務の継承を中心に支援策を呈示」していたのに、「今回、なぜ内房産業がこういう措置をとるに至ったのか、非常に理解に苦しむところ」だと主張していたのだ。

 さらに(株)木更津は「会員への影響や日常のゴルフ場運営に支障を来すと判断し」、12月9日付で債権者の立場で内房産業の破産申立に踏み切った。破産の場合、債権者からの申立てだと、裁判所は債務者側の言い分を聞いた上で、破産宣告を下すかどうか判断する。

 それにしても、内房産業はなぜ、預託金を肩代わってくれるという(株)木更津側の申し出を断ったのか? また、(株)木更津は内房産業から施設を賃借している身。内房産業に債務はあっても、債権はないはずだ。しかもなぜ民事再生ではなく破産なのか? 民事再生なら預託金カットはあっても、プレー権は法律上会員の手元に残るが、破産では会員は全てを失ってしまう。コースの買い手が現れ、プレーを認めたとしても、「それはあくまで温情であって、法的には会員には何の権利もない」(ゴルフ場問題に詳しい弁護士)。

(株)木更津では、「裁判所に委ねたことなので、裁判所以外の場所でコメントすべきではないと考えている。すぐに結論が出るから、その段階で話す」(一前悦郎支配人)とし、破産宣告はすぐに下ると見ている。

 これに対し、内房産業の代理人・米津陵威雄弁護士は「これまで内房産業は山口社長が資産の処分などで12億円まで自力で預託金を返してきたが、遂にそれも限界に来た。1年ほど前から日経側と交渉してきたが、日経が呈示してきた条件は、他の地主の土地を全て内房で買い取った上で、クラブハウスも含めて施設全体を4億円で買う、というもの。譲渡所得税だけでも10億円はかかるのだからこの条件では無理。コースからの収入はすべて(株)木更津に入るのに、固定資産税も施設の修繕費も、そして他の地主への賃料支払いも内房はすべて(株)木更津からの賃料収入でまかなわなければならないのに、賃料の引き上げにも応じず、もうカネはないと言ってるのに、会員に預託金を返せの一点張り」と憤慨。

 また、「当方では(株)木更津がウチの債権者だという認識はないが、日経のグループ会社の名義になっている会員権を買い取ったのかもしれない。民事再生は債権者、つまり会員の同意が必要だけど破産は不要。破産にして安く買い取り預託金債務もチャラにするつもりでは。ウチは預託金以外に債務はないのだから、自主再建も十分可能。民事再生で対抗する。破産宣告なんて絶対に下ろさせない」と断言していた。ところがその米津弁護士は本誌のインタビューから1週間後に急逝。後任の代理人は決まっていない。

 65億円の預託金債務を引き継いで4億円で買う、という当初の条件は、実質上69億円でコースを買う、ということを意味するから、あながちナンセンスだったとも言えないのだが、「預託金債務以外に債務がないのに破産を申し立てとは、会員に対する配慮に欠けるのでは」(前出・ゴルフ場問題に詳しい弁護士)との声も聞かれ、今後の展開が注目される。

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