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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/11号
2003年更新
チタン一色の時代に幕? 素材を組み合わせた
ヘッドがプロギア、ミズノと続々登場
 ひょっとして今年は、ドライバーにおけるエポックメーキングな年になるのかもしれない。それは、フルチタンボディ一色の時代が終った年として……。

 90年3月、ミズノが世界初のチタンヘッドとして「ミズノプロTi」を世に出して以来、今日まで、「ドライバーといえばチタン」という時代が13年にもわたった。もちろんその間にも、軽量化、大型化など様々な開発競争が繰り広げられ、最後には高反発という新たな飛びの要素を生み出すまで、日々革新が競われていた。

 しかし、業界では高反発に対するCOR規制を機に、チタンヘッドによる「飛び」に限界がささやかれるようになった。また、「差別化」の面でも限界が言われ、今や大型化、打ち易さ、あるいは価格といったユーザーにとって新鮮味の薄いポイントでの「差別化」争いに終始。それがマーケットを冷やす結果になったとの見方がある。

 そうした市場の活性化を求める声に応えるかのように相次いで発表されたのが、チタンと別の素材を組み合わせてヘッドを作るコンセプトのクラブだ。異素材を使用すること自体は強度を高めたり、重量配分などを目的にこれまでにもあったが、今回プロギア、そしてミズノが相次いで出したのはヘッド上部、いわゆるクラウン部分をそっくり別素材に置き換えた作りだ。

 プロギアが2月1日から発売する「TR DUO(デュオ)」(1本8万2000円)は、チタンと、チタンより柔らかいカーボン素材とを接着させている。クラウン部が柔らかいためインパクト時に上部がたわみ、ロフト角が瞬間的に増える。それにより、ボールの打ち出し角が上がると同時に、縦方向のギア効果でバックスピン回転とは逆方向の回転が生まれ、バックスピン量を減らすことで飛距離を伸ばすという設計である。

「3年前からプロジェクトを立ち上げ、COR規制でフルチタンの限界が見えたことを機に本格的開発に乗り出しました。試打会では、従来のチタンとは飛びが違うと、いい反応を得ています。市販用のCOR値は0.85ですが、0.83以下に抑えたプロ用も作ります」(スポーツ事業部・谷哲夫氏)

 一方のミズノは、チタンと、チタンより軽いマグネシウム合金を接合させた構造で、「インテージ」という新ブランドで3月14日発売の予定(ドライバーは1本7万円)。こちらはクラウン部の比重を軽くすることで、同体積・同形状のフルチタンに比べてヘッドの重心位置が4ミリ低くなる。つまり、より低重心になったことで、こちらも高い飛び出し角とバックスピン量の軽減がもたらされ、飛距離アップを実現したという。ちなみにこちらもCOR値は0.85だが、プロへの供給は基本的に考えていないそうだ。

「複合素材は以前から研究してきたテーマですが、COR規制により高反発以外の要素で飛距離を伸ばすにはこれだということで商品化に弾みがつきました。ディーラーさんを中心に、待ち焦がれていたという声を頂いてます」(広報課・西田維作氏)

 では、両社が先んじたこのチタンとのコンボ型ドライバーが、すぐにも“ポストフルチタン”の主流となるのだろうか。

 業界の動向に詳しい片山哲郎氏は「今後のトレンドを占うには、先行するプロギアの売行きがカギを握るでしょう。それが売れれば、各社同じようなコンセプトで商品化を急ぐのではないでしょうか」と話す。

 さらに同氏の予想では、プロギアが爆発的に売れればカーボン成型の技術力のあるヨネックスやダイワなどは時を置かず参入する可能性があると見ている。また、キャロウェイも昨年発売した「C4」でカーボン成型の高い技術は実証済みで、新たなカーボンとのコンボ型をいつ、どんな形で生み出すか分からないと分析する。

 こうして役者が4社、5社と揃えば、他も黙ってはいられないはず。まずは先行2社の市場動向に注目だ。

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