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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/29号
2002年更新
入会せずゴルフ場に預託金返還を請求する
“償還ビジネス”を違法とする判決相次ぐ
 会員権を取得しながら、入会手続きを取らずに預託金の返還を求めて提訴してお金を儲けようという、いわゆる「預託金返還訴訟ビジネス」にノーを突きつける判決がこのところ相次ぎ、ゴルフ場経営会社の間に安堵の声が広がっている。

 まず今年1月に、最高裁が下した判決を「預託金返還訴訟ビジネスを容認した判決」と受け止めた全国のゴルフ場経営会社に動揺が広がったことは小誌5月7日・14日号でも紹介したばかりだ。ところが、ここに来て秋山CC(山梨)、オリムピックGC(兵庫)、三日月CC(兵庫)の3コースにおいて、預託金返還ビジネスを違法とし、ゴルフ場側が勝訴判決を次々と勝ち取っている。これらは一見、1月の最高裁判決に逆行する動きに見えるが「実際にはまさに最高裁判決に沿った流れ」(ゴルフ場問題に詳しい熊谷信太郎弁護士)だと言う。

 預託金返還を求めて会員が訴訟を起こすこと自体はもはや珍しくない。実際に取り返せるかどうかは別として、訴訟をすればたいていは会員が勝てる。しかし、通常の返還訴訟ではなく、この返還訴訟ビジネスは弁護士法違反の問題を孕むため訴えればスンナリ勝てるわけではない。弁護士法72条、73条は、弁護士以外の人や会社が債権の回収を代行することや、その抜け道として回収目的で債権を取得することも禁止している。これはアングラ勢力が債権の取り立てを代行することで一般国民の平穏な社会生活が脅かされることを阻止する目的で定められたもの。かといって、何でもかんでも回収目的での債権譲渡はダメというわけではない。

「社会経済的に正当な業務の範囲内なら弁護士法違反にはならない、と判断したのがまさに最高裁判決。最近出た3つの判例はいずれもケースバイケースで正当な業務の範囲内かどうかを検証した結果、出されているもの」(熊谷弁護士)だから、1月の最高裁判決に逆行するものではないというのだ。

 しかも「何が正当な業務の範囲で何が違うのかということは判例を積み上げていくことで決まっていくが、今回の各判決は事例を積み上げることに貢献しているといえる」(熊谷弁護士)と言う。

 今回の3コースは、いずれも事情が異なる。まず、秋山CCは原告(預託金の返還を求めている会員権の取得者)が個人で、4人の会員から買い取って提訴しており、請求総額は1360万円。コース側の主張によれば、原告の代理人弁護士はもともとコースの顧問で、内部事情に明るくマッチポンプも同然、とまで主張しているのだが、判決はまったく異なる観点からコースに軍配を上げた。

 原告が会員権を持っていても、それは盗んだり人からだまし取ったりしたものではなく、自分が正当に取得したものだということを説明する義務がある。ところが、その説明をきちんとしないから正当に取得したものかどうかわからない、故にコースの勝ち、という判断なのだ。従って、誰からいつ、いくらで取得したのか、入手経路の説明が裁判上必要であることを示したといえる。

 オリムピックGCのケースはかなり悪質で、原告は生活保護を受ける76歳の無職の男性。預託金の返還請求でサヤ抜きをやらないかともちかけられ、黒幕の会員権業者に訴訟上の名義貸しをしていた、というもの。取得経過も取得金額も明らかにしていたが、コース側の調査で名義貸しを指摘されて本当のことを白状せざるを得なくなり、弁護士法違反に問われた。

 また、三日月CCのケースは会員権を担保に融資をする金融業者のケース。融資が回収できないから担保を実行する、という意味での償還請求は権利として認められるべきもの、という点は裁判所は認めているが、この業者、ホームページで積極的に預託金返還問題をの解決をアピールしていたため、通常の担保権行使とは違う、との判断で弁護士法違反に問われた。ただし、原告が控訴しているので、結論は高裁に持ち越されている。

 関西では東京以上に悪質な返還訴訟が頻発しているが、ゴルフ場問題に詳しい西村國彦弁護士は「そんな中、支配人会が結束して情報交換を密にしていることも悪質さを立証する上で貢献しているのでは」と見る。

 ただでさえ、プレー目的ではない会員の預託金返還訴訟はプレー目的の会員の利害と対立する。そこへ悪質な手口でサヤとりだけを狙う勢力まで参入すれば、混乱は増す一方だ。

 今後、返還訴訟ビジネスに一定の歯止めがかかることは間違いなく、コースの経営の安定という点では会員にとっても喜ぶべき流れといえるだろう。

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