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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/10号
2002年更新
カートの後部座席から落ちた客が死亡
危険を伴う乗用カートプレーでの注意点
 夏場のゴルファーの必需品となっている乗用カート。ゴルフ場にとっても経費削減の切り札として、全国のゴルフ場で9割近くの普及率になっている。が、その乗用カートから転落死するという事故が滋賀県下のゴルフ場で起きたが、その事故を調べてみると意外な原因が浮かび上がってきた。

 事故が起きたのは、滋賀・信楽町にあるザ・カントリークラブ。8月4日の午前11時過ぎのことだった。大阪市都島区の会社員(52歳)が3人のゴルフ仲間とラウンド中、後部座席から転落。頭を強く打って意識不明の状態となり、そのまま翌日に病院で亡くなった。

 事故を調べている滋賀県警水口署では「セルフプレーではなく、運転手はコース専属のキャディでした。そのためゴルフ場に過失があるのか、それともゴルファー側になんらかの問題があったのかを捜査中です」(副署長)と言い、ゴルフ場側も「詳しい事故の原因は警察に任せています」(副支配人)と現段階では原因の究明には至っていないようだが、警察とゴルフ場の関係者の話を総合するとこうなる。

 この4人のパーティは午前8時過ぎにインコースからスタートした。同CCでは電動式のカートを導入しているが、埋め込まれた線路の上を走るオート式ではなく、カート道をハンドルを切りながら運転して走る手動式カートだった。

 運転はキャディに限られ、前部座席に2人、後部座席に3人が座る5人乗り。亡くなった会社員は後部座席の左端に座っていた。同CCでは原則的にハーフを終えた時点で、30~40分の休憩を挟むことになっているが、4人の希望でそのままアウトコースに向かった。

 そして、迎えた5番パー4。ティショットを終えた4人はカートに乗り込んで第2打地点に向かったが、やや右カーブになった緩やかな下り坂をおり切ったところで転落した。

 乗用カートを製造している三洋電機ゴルフシステムでは、「動いている時は必ず手摺を持っていただくようにお願いしています。いかにこれが大切かというのを裏付けるデータとして、転落事故が一番多いのは急なカーブではなく、最終ホールからクラブハウスに帰る途中というのがあります。ニギリの勝ち負けやスコアを計算するために両手を放すことが多いからです」と言うのだが、この亡くなった会社員の場合、ズボンの後ポケットにはスコアカードがしっかりと入っていた。

「振り落とされるような場所ではない上、不思議なのは後部座席に座っていた残りの2人が転落に気付かなかったこと。また、カーブで振り落とされた場合はカート道路横の芝生の上に落ちそうなものだが、車の幅しかないカート道路の上で倒れ込んでいた」(捜査関係者)

 不自然な状況に加え、同伴競技者が目撃していなかったことで、原因の究明が遅れているようだ。だが、こんな証言もある。「転落する3ホールほど前から亡くなった会社員は無口になっていたそうです」(ゴルフ場関係者)

 この日の滋賀南部の天候は快晴、最高気温は32度だった。つまり酷暑の中、休憩を挟まずスループレーしたことが原因で脱水症状になり、意識がもうろうとして転落したことも考えられる。あとは捜査の進展を待つしかないが、前出の三洋電機ゴルフシステムでは、「屋根があっても水分の補給は十分にしていただきたいし、手動式では時速19キロまで出るように設計されており、カートだからといって甘く見ないことです。車を運転したこともない人が運転することは避けてほしいですね」。ゴルフ場での行動はすべてが自分の責任。これを改めて認識させれるには十分すぎる事故だった。

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