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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/2号
2002年更新
男女の飛距離考慮した女子HC制度開始で
来年から女性のシングルさんが増える!?
 他のスポーツと違い、ハンディキャップ(以下HC)システムがあるお陰で、ゴルフはいろんなレベルのプレーヤーが対等に争える。そこが良いところなのだが、現在、日本ゴルフ協会(JGA)では、そのメリットをさらに活かすべく、来年からの施行をメドに“女子HCシステム”の導入を進めている。

 簡単に言うと、この新HCシステム、男女の身体的能力差からくる飛距離の差を反映したコースレートに基づき女性ゴルファーのHCを制定しようというもの。

 現在、ゴルフ場のコースレートは、各ティグランドごとに設定されているが、今後は、さらにその各々のコースレートについて、男女間でレート差を設け、男女別々のコースレートを設定するのだ。

 ちなみにそのレート差は、過去の競技でのデータを参考に男女間の飛距離差を18ホール当たり約1000ヤードが妥当と考え、そこから算出する。

 その新HCを採用すると、男女間のHCはつぎのように調整される。たとえば、あるコースのレギュラーティからのコースレートが70.3だとして、そこから試算した同じティからの女子レートが76.7だったとする(この場合レート差は6.4)。そのコースで男女混合のアンダーハンディ競技を行う際、仮にHC10の男性とHC12の女性が同じティからプレーしたとすると、その女性は12プラス6.4、すなわちHC18(小数点以下は四捨五入)でプレーできることになる。

 このシステム導入の理由について、JGAではこう説明する。「身体的能力からすると、本来女性ゴルファーの適正な距離は18ホールで5700ヤード以内です。しかし、とくに競技などでは、もっと長い距離でのプレーを強いられているのが現実です。そこで、女性にもっとゴルフを楽しんでもらおうという趣旨で、まずその男女差を意識してもうらう啓蒙の意味も含め、このシステムを導入しました。もともと海外では、以前から男女間の身体的能力の差を反映したコースレートに基づき女性のハンディが決められていましたが、日本では男女同一のコースレートがベースになっていました。国際化が進む中、平成2年から当委員会でも議論を繰り返し、今回のシステム導入となりました」(ハンディキャップ委員会)

 遅きに失した感は否めないが、たしかに、海外でコンペに出る場合、日本女性は、国内で男性と同じコースレート基準で算出したHCが甘くなりがち。そのため、どうしても日本人女性が勝つケースが多く、評判が悪かったなどという話も耳にする。一応、JGAでは国際HCの申請があった際は国内のHCからいくつか(たとえばHC20の人なら3~4程度)下げて暫定的に認定しているが、申請する人も少ないうえ、その決め方はあくまで“机上の修正”にすぎず不自然なので早急に改正する必要があったというのだ。

 また、今回の新システム下では、レディスティからのコースレートも設定されることになるため、コースによっては、今後はレディスティからプレーしたスコアも公式HC取得のための対象となる。

 さらに、各ティグラウンドにおける男女間のコースレート差がはっきりすることで、今までは基本的には男女は同じティからプレーしなければならなかったり、あるいは女性だけ前のティからのプレーを認め、アバウトに男女差を調整するケースが多かったが、新システム導入で、男女が違うティからプレーしても、男女間のHCを客観的に調整して男性と対等に競えることになる。

「男女混合の月例競技などで男性と同じティマーカーからでは上級者以外は距離的にきつくなるため、なかなか女性が参加しづらいのが現状です。しかし、今回の新システムだと、正式に男性と違うティマーカーからプレーできるようになる、競技に出やすくなるはず。そもそも日本にゴルフが入ってきた頃は、女性がゴルフをするという前提がなかったのですが、今は女性の比率も増えています。このシステム導入で、女性がゴルフをより楽しめる環境が整ったと思います」(JGA女子委員会副委員長)

 JGAでは現在、来年1月導入に向け、加盟約1600コースに同システムの導入をすすめており、従来のコースレートをベースに、各地区連盟の査定委員の裁量において難易度等を加味した女子のレートを暫定的に算定している最中だが、必ずしも、加盟全コースが年内に“女子レート”を設定するとは限らず、当面は、新旧両システムがダブって存在することになり、女性のHCはどちらのシステムの下でのHCなのかによって違いが出てくることになるので注意が必要だ。

 最近では倶楽部によっては女性とシニア限定の混合競技も増えつつあつが、今回の女子HCシステム導入に際し、一部では「それなら、シニア向けのハンディも作ってもらわないと不公平」といった男性ゴルファーの声もあるそうだ。日本男児たるもの何を情けないことを------とも思えなくないが、ともあれ、今回の制度導入に関しては、世の男性ゴルファー諸氏が、いかに女性ゴルファーに対する理解があるかが問われそうだ。

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