PGA TOUR COLUMN4

今大会の注目選手は PGA TOUR
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弾みをつけたいジャスティン・トーマス(David Cannon/Getty Images)
(David Cannon/Getty Images)
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今大会の注目選手は​

今年もいよいよ「フォーティネットチャンピオンシップ」が開幕を迎える。先日、地元ローカルメディアをはじめとした報道関係者向けの「メディアデー」が、開催コースのシルバラードリゾートで開かれ、「是非コースをプレーしてみてください」との誘いを受けて現地でプレーしつつ、現場を取材。大会関係者にも話を聞いた。

大会委員長を務めるアンディー・マクドウェル氏は、「PGAツアーのスケジュール変更で今年の大会は新しいシーズンの開幕戦ではないが、欧米対抗の『ライダーカップ』(9月29日~10月1日/イタリア・ローマ)を2週間後に控え、実戦感覚を失わないためにも代表選手が数人は出場するのでは」と期待していた。今回は私が注目している選手を紹介したい。

「ライダーカップ」へ弾み ジャスティン・トーマス 30歳

2023年のメジャーは「全米プロ」65位が最高だったトーマス(Michael Reaves/Getty Images)

早々にフォーティネットチャンピオンシップに出場表明したのがメジャー2度優勝、元世界ランキング1位のジャスティン・トーマス(JT)だ。2022-23年シーズンは未勝利どころか、ポイントランク70位までの選手に限られたフェデックスカッププレーオフの出場を逃すなど、屈辱的なシーズンとなった。

中でもメジャー大会は、「マスターズ」2日目に「78」、「全米オープン」2日目に「81」、そして「全英オープン」では初日に「82」とJTらしくない大たたきで、いずれも予選落ち。トーマスはインスタグラムで「納得できるシーズンではなかったけど、多くのことを学び、良い収穫はたくさんあった。また秋から試合で良い争いができるのが待ち遠しい」とつづっている。

開催コースとなるシルバラードでは下部ツアーから昇格してツアーメンバーとして初戦となった2014年こそ予選落ちだったが、その後3回の出場では優勝争いに絡んでいる。9月29日にイタリアで開幕する欧米チームの対抗戦「ライダーカップ」米国選抜のメンバー入りが決定。今大会は弾みをつけたい一戦となる。

<トーマスのシルバラードリゾートでの過去戦績>
2014年 ー 予選落ち
2015年 ー 3位
2016年 ー 8位
2017年 ー 4位

契約プロとして雪辱へ デービッド・リプスキー 35歳

前年大会予選落ちだったリプスキー。フォーティネット契約プロとして雪辱を晴らせるか(Orlando Ramirez/Getty Images)

3人目の注目選手は米国籍のデービッド・リプスキーを挙げたい。かなりのPGAツアー通でもリプスキーを知っている方は多くはないかもしれない。ユダヤ系の父と韓国出身の母の間にロサンゼルスで生まれたリプスキーは、プロ転向してすでに12年目。PGAツアーは2シーズンを終えたばかりだが、今後が期待される選手の一人だ。過去にはアジアンツアーの賞金王を獲得、欧州ツアーで2勝を挙げている。

アカデミック的に評価が高いシカゴのノースウエスタン大学を卒業したリプスキーは、大会2勝のマックス・ホマとともに「フォーティネット」のアンバサダー契約を交わしており、その将来性が期待されている。

2023年は6月の「メモリアルトーナメント」で最終日トップタイからスタート。最終順位は12位で終えたが、優勝争いで得た経験は今後につながると予感させた。プレースタイルは堅実でフェアウェイーキープ率はツアーで20位以内。グリーン周りは名手ルーク・ドナルドを指導するノースウエスタン大のパット・ゴメス総合監督の指導で技を磨いている。現在はラスベガス在住でツアー会場では、高校の後輩にあたる友人のコリン・モリカワらと練習ラウンドをするケースが多い。契約先の大会で結果を出し一気にブレイクすることを期待したい。

2枠の特別推薦枠

今年の大会では2つの特別推薦枠が用意されていると大会委員長から発表があった。大会ギリギリにならないと決定しないので名前を挙げることはできないが、いずれも枠を勝ち取った選手になるという。

1つは「サハリープレーヤーズチャンピオンシップ」という大学試合の優勝者。過去に「全米プロ」が開催されたワシントン州シアトル郊外にある名門サハリーCCで9月9日~10日に行われる54ホール競技で個人優勝した選手に出場枠が与えられる。

そして、PGAツアーの3部ツアーの扱いとなるPGAツアーカナダでシーズンポイント制の「フォーティネットカップ」のトップランク選手に出場権が用意されている。カナダでの最終戦はフォーティネットチャンピオンシップの前週。調子の良い選手がそのまま勢いで優勝争いに絡む可能性も十分あるような気がする。

アンディー和田

アンディー和田

1968年生まれ。米国在住のゴルフジャーナリスト。米アリゾナ大卒業後、プロゴルファーとして世界を転戦。
米ツアーで青木功や中嶋常幸らのキャディ経験がある。ジャンルを問わず、幅広くゴルフに精通し、トーナメント解説やアナリストとして活躍。近年はジュニアゴルファーの指導や育成にも力を注ぐ。