PGA TOUR COLUMN1

「フォーティネット チャンピオンシップ」の位置づけ PGA TOUR
COLUMN

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ホストプロとして開幕戦連覇へ
マックス・ホマの魅力に迫る

ワインで有名なカリフォルニア州北部ナパで行われる「フォーティネット チャンピオンシップ」。シルバラードリゾート&スパが熱い戦いの舞台になって10年目。地元のゴルフファンはもちろん、ナパバレーなど観光スポットを訪れる客にも根強い人気の大会となっている。

PGAツアーでもっともファンフレンドリーな大会(大会提供)​

PGAツアー変革の年

本年度の米男子PGAツアーは大きな改革の年になっていて、これまで9月にシーズン開幕戦を迎えていたスケジュールは変更、2024年1月から新シーズンが開幕すると発表されている。過去をさかのぼれば、1月開幕は2013年が最後なので11年ぶりに暦通りのシーズンに戻るという形になる。

そんななか、フォーティネット チャンピオンシップの位置付けはというと、PGAツアーの「フェデックスカップ フォール」の第1戦。7試合で構成される"秋の陣"は、2022-23年シーズンの選手それぞれのランキングポジションで参加するかどうかが決まってくる。

シーズン末のプレーオフに参戦できる枠がこれまでフェデックスカップポイントランキング125位までだったが、70位までと大幅に縮小していることや、高額の昇格試合への参戦優先順位はシーズン最終ランク50位までというシステム改革が実施されるようになった。

ランキング51位以下の選手は秋の7試合終了時の総合ランキング上位10人が翌年の高額賞金の昇格試合の出場権を得る。また、ランキング71位以下の選手は秋の7試合終了時に総合ランキング125位に入ることができれば、オープン競技の出場権を獲得する。

翌年の職場確保や賞金総額2000万ドル(約28億円)の高額昇格試合への参戦をかけた真剣勝負がこの秋の大会で観られることは間違いないだろう。

プレー観戦後のライブコンサートは大勢のファンで埋め尽くす

フレンドリーかつユニークな大会

さて、サイバーセキュリティーやネットワークのソリューションを提供する「フォーティネット」が冠スポンサーになってことしが3年目。ゴルフイベントが行われる週にはセキュリティーサミット・テックの会合が予定されている。業界リーダーや顧客が集まり、情報やアイデアを交換するユニークなイベントは好評だという。

また、金曜日と土曜日のプレー終了後にはライブコンサートが行われる。金曜日は人気カントリーミュージックバンド「ブラザーズ・オズボーン」の出演が決まっている。

大会を運営する大手スポーツイベント会社「スポートファイブ」のショーン・ライリー氏はフォーティネット チャンピオンシップの他に1月に南カリフォルニアで開催の「ザ・アメリカンエキスプレス」も担当している。

ゴルフだけでなく、音楽や食事、グルメでも会場を訪れる人々に楽しんでもらえるように毎年、新しいアイデアを出し合って新鮮な場を提供するようにしているという。

私は取材者として、あるいはゴルフファンとして合計50以上のPGAツアー競技やメジャー大会に足を運んだことがあるが、開催コースや地域・場所で雰囲気は大きく異なる。それぞれ独特な個性、アイデンティティがある。

たとえば、1日で20万人、1週間で80万人以上がコースを訪れる「WMフェニックスオープン」や、世界ランク上位が参戦する「ザ・プレーヤーズ選手権」、「ザ・メモリアルトーナメント」などはその規模の大きさに圧倒され、練習日から緊張感をひしひしと感じる。

エンジョイするファンが見守るなか、熱戦が期待される(大会提供)

一方、都会から少し離れた地方で行われる地域密着型の試合は、普段着でエンジョイできる、いわば、お祭り感覚が楽しい。フォーティネット チャンピオンシップには今年も延べ1200人超の地元ボランティアが参加、大会の裏方として支えている。

今年の"秋の陣"を制するのは果たして誰か。有望な若手選手がブレイクするのか、それとも今ひとつ結果を出しきれなかったベテラン選手が復活することになるのか? 北カリフォルニアでの熱戦に期待したい。

アンディー和田

アンディー和田

1968年生まれ。米国在住のゴルフジャーナリスト。米アリゾナ大卒業後、プロゴルファーとして世界を転戦。
米ツアーで青木功や中嶋常幸らのキャディ経験がある。ジャンルを問わず、幅広くゴルフに精通し、トーナメント解説やアナリストとして活躍。近年はジュニアゴルファーの指導や育成にも力を注ぐ。