フォーティネット
チャンピオンシップの軌跡

秋開幕だったPGAツアーは2024年から暦年スケジュールに戻る。これに伴い、2014年からツアー開幕戦(2019-20年を除く)として行われてきた「フォーティネット チャンピオンシップ」はことし、「フェデックスカップ・フォール」として、ランキング浮上をかけた2023年秋季シリーズの初戦として行われる。フォーティネットがタイトルスポンサーについた2021年から過去2大会を詳しく振り返る。

2021年大会 優勝マックス・ホマ

地元カリフォルニア州出身のマックス・ホマが、同年2月の「ジェネシス招待」以来となる、ツアー通算3勝目を挙げた。最終日に首位と2打差の3位から出て、その日のベストスコアとなる「65」をマークし、通算19アンダーで制した。

6番でバーディを奪うなど3つスコアを伸ばして前半から快進撃。後半10番をボギーとするも、12番、ウェッジで放った2打目がカップに吸い込まれてイーグルを奪うと、続く13番もバーディ、終盤16番(パー5)から2連続とした。

2022年大会で連覇を達成したマックス・ホマ
(Mike Mulholland/Getty Images)

単独首位に立って迎えた18番(パー5)で、2オンを狙ってグリーン奥に大きく外したが、冷静にパーセーブ。1イーグル6バーディ、1ボギーでプレーして、首位から出てツアー初優勝を狙ったマーベリック・マクネリを逆転してタイトルをつかんだ。

日本からは前年に続いて松山英樹が出場。32位から出た最終日は「66」をマークして、通算13アンダーと伸ばして6位に食い込んだ。

2022年大会 優勝マックス・ホマ

マックス・ホマが2016、17年大会を制したブレンダン・スティールに続く大会史上2人目の連覇を達成、ツアー通算5勝目を挙げた。だが、ゴルフファンにはむしろ、ダニー・ウィレット(イングランド)が敗れた大会として記憶に残っているかもしれない。

この時期としては10年ぶりともされる強い雨が降り注いだナパでの最終日。最終18番(パー5)で、1打リードのウィレットは確実にフェアウェイにレイアップした一方、2オンを狙ったホマのボールは左サイドのバンカーへ。

ウィレットが3打目できっちり1m強のバーディチャンスにつける中、ホマは3打目をミスして手前にこぼした。まさに絶体絶命の状況だったが、なんとチップインバーディを奪う。

並ばれてもバーディパットを決めていれば優勝のウィレットだったが、カップに蹴られて1.5mほどオーバー。外れてもプレーオフだったが、まさかの3パット。残酷な幕切れとなった。

ダニー・ウィレットと握手をかわすマックス・ホマ
(Orlando Ramirez/Getty Images)

タイトルが転がり込んだホマはニコリともせず、ウィレットに歩み寄った。「ダニーは素晴らしいプレーをした」と健闘をたたえた。そして、こんなコメントも残した。「ゴルフって不思議なゲームだよ。最終ホールでとんでもないことが起こるんだ」

PGAツアーに参戦して節目の10年目となった松山英樹は、初日「69」でスタートも2日目「72」、3日目を「75」と調子を落としていたが、70位で出た最終日に7バーディ、ボギーなしの「65」と挽回し、通算7アンダーの25位で締めくくった。