きばもと・ともあき●1976年2月7日生まれ。東京都出身。
アメリカ留学中に大学院でMBAを取得するとともに、『ゴルフィングマシーン』のインストラクター資格を取得。
スイング理論からコースマネジメントまでの豊富な知識を持つ理論派。現在は、横田基地内の練習場でコーチング活動中。


ゴルフにおいてターゲットまでの「打つべき距離」を明確にしておくことは、とても大切なことです。初心者のうちは、とにかくボールを前に遠くへ飛ばすことを優先しがちですが、ゴルフはスコアメイクのゲームであることを忘れてはいけません。自分が思ったところにボールを運ぶことが最優先すべき事項であって、それがスコア向上につながります。
レーザー距離計は「打つべき距離」を知るうえで、とても役に立つアイテムです。この『COOLSHOT 40i』は、目標物までの高低差を加味した「打つべき距離」を計測できるので、打ち上げの状況では直線距離に何ヤードを加えて打つべきか、打ち下ろしでは何ヤードをマイナスすべきかを瞬時に知ることができます。それだけでも十分とも言えますが、スコア向上を目指す中上級者のゴルファーの方々には、もっと踏み込んだレーザー距離計の使い方を知っていただければと思います。
高根カントリー俱楽部は、松に囲まれた美しいコースです。ホールによっては大きな高低差があり、それが特徴のひとつにもなっています。西コースの2番パー5は、ティショットは打ち下ろし、セカンドからは急な打ち上げになるホール。ドライバーでナイスショットを打てば2オンが簡単ですが、セカンド地点からはピンを見上げるような状況になります。
セカンド地点から『COOLSHOT 40i』でピンまでの距離を測ると、直線距離で133ヤード、打ち上げを加減算した距離は147.4ヤードでした。そしてピンポジションを確認すると、この日はかなりグリーン手前になっていました。
ティショットを打つときに、すでに私はホール全体を見て、グリーン手前にバンカーがあることを確認しています。そしてグリーン左手前には松の木が何本かあって、セカンドショットをショートして引っ掛けると、サードショットが難しくなるだろうという予測もしています。
以上のようなコース状況を踏まえたうえで、ピンまでは打ち上げを加味して147.4ヤードです。右手前のバンカーはNG。左手前の松もNG。そしてピンポジションはグリーンのフロントエッジから近い。これらを総合して判断すると、このセカンドショットでは150ヤードのキャリーを出すことが安全な攻め方で、リスクマネージメントを考えたショットになります。たとえ157ヤード飛んでしまっても、グリーンにはオンできるはず。トラブルを回避したイーグルトライが可能になります。


西コースの8番パー3は、かなりの打ち下ろしのホール。『COOLSHOT 40i』でピンまでの距離を測ると、直線距離で170ヤードですが、打ち下ろしを加減算した距離は152.6ヤードでした。
ショットが安定している中上級者ならば、ミスしても次打で挽回のチャンスがあるパー5はバーディーを取りやすいホールですが、打数の少ないパー3は「パーでいい」と考えるべきホールになります。直線的にピンを狙ってティショットを打った結果、ハザードにつかまってボギーやダボになってしまうことは、絶対に避けなければなりません。
まず打ってはいけないエリアと距離を考えてから番手を選び、ティショットを打たなければいけません。このホール状況でもっとも避けたいのは、グリーン奥のバンカーとラフです。奥から下り傾斜のグリーンに向けてのアプローチを残すと、パーで上がるのが難しくなるからです。そして次に避けたいのが、手前のバンカーになります
ピンまでの距離を測った後、手前のバンカーのエッジまでの距離を測ります。アゴまでは打ち下ろしを加減算して125ヤード。ここでの最優先事項は、絶対に奥のバンカーには入らないような番手選びです。
そこでティショットは、140ヤードのキャリーを出せるクラブを選択します。これなら手前のバンカーとラフを越えてグリーンには乗りますし、多少トップ目の当たりでも奥のバンカーに入ってしまうことはないでしょう。レーザー距離計を使い、こういったジャッジを打つ前にしておくと、パーで上がる確率を格段に高められます。これがスコアを向上させるためのリスクマネージメントです。
昔はレーザー距離計というと、本体が双眼鏡のように大きくて重く、プロユースのとても高価なものでした。それが今やこんなにコンパクトになり、使いやすく進化していて、なおかつ価格も手頃になっています。どんなゴルファーでもその恩恵を得られるようになったのは、とても喜ばしいことだと思います。 プロゴルファーの練習ラウンドでは、コース戦略を考えるうえで、以前からレーザー距離計はすでに必須のアイテムになっています。アマチュアゴルファーが普段のプライベートのラウンドで使用するにも、もはや必携のアイテムと言ってもいいでしょう。スコアを向上するうえで、レーザー距離計には価格以上の価値があると私は思っています。
最近では、直線距離のみを計測するタイプのレーザー距離計であれば、競技でも使用可能となっている場合があります。その際には、高低差の計測機能を省いたモデルを使用するといいでしょう。ニコンにも『COOLSHOT 40i』と『COOLSHOT 40』という2モデルが用意されています。競技ゴルファーであれば、両方のモデルを所有しておくことをお勧めしたいですね。