
アバターばりの3Dにでもなれば別だが、現在のテレビ映像では、オーガスタの起伏は残念ながら分からない。というか、現地に行ってまず驚かされるのは、そのアップダウンの激しさだ。
たとえば10番。打ち下ろしのパー4。そのフェアウェイは、雪でも降ればスキーやスノボが楽しめそうなほどご機嫌なスロープなのだが、テレビではどうしてもそこまで感じられない。
それでも、グリーン右奥にあるジョージア松に目を留めていただければ、多少イメージがわくかもしれない。というのも、最大高低差がちょうど、その100フィート(30メートル)の松と同じだからである。
アーメンコーナーの出口にあたる13番パー5。左ドッグレッグのフェアウェイは、競輪場のバンクのようといったら、さすがに大げさかもしれないけれど、現場に立つとそんな言葉が浮かぶほど強烈に湾曲している。それが、2オン狙いの選手をナーバスにさせる大きな原因のひとつになっている。
というのも、セカンドのライがつま先上がりとなるため、ターゲットをグリーンの右外に設定しなければならないからである。しかし、そのまま真っ直ぐ飛んでしまうと、間違いなくクリークに落ちる。かといって、ライに負けて左に曲がりすぎると、一筋縄では脱出できないバンカーだのブッシュだのが待ち受けている。
そんなシビアなライだからこそ、2オンに成功すると、パトロンたちはいっせいにスタンディングオベーションで選手を讃えるのである。
テレビでは地味で平凡に見える
隠れた難ホールとは……
つづく14番。一見平坦な440ヤードのパー4。しかし、そのグリーンが目に入ったとき、私は思わず息を呑んだ。

「千里の道も第三章」では、江角マチ子が10番ホール
のジョージア松について語る(単行本第20巻に収録)
三本指の巨大な恐竜が、デンと足を踏みしめている――そんな印象を受けるほど、どでかい瘤(こぶ)が三つ連なったグリーンが、そこにあったからである。
そのため、セカンドショットがグリーンの前半分に落ちれば、ボールはことごとく瘤(こぶ)に跳ね返されて、フェアウェイに戻されてしまう。かといって奥に乗せると、そのまま下り傾斜を滑ってグリーンの外まで転がり出てしまうのである。
14番はバンカーがひとつもなく、一見印象の薄いホールだが、実はアーメンコーナー+1とでもいうべき、難所なのである。しかし、これも残念ながらテレビ映像では、地味で平凡なホールにしか見えないのである。
18番。最終ホール。一日の取材を終えて、クラブハウスへと続く坂を上がる時など、ほとんど青息吐息。足がパンパンに張って、文字通り心臓破りの丘という感じだが、これまたテレビではさほどの急坂に映らない。
近い将来、ハイビジョンや3Dがごく当たり前になれば、テレビ画面でも十分オーガスタを実感できるようになるかもしれない。でも、そんな時代が来ても、テレビで絶対映らないのはプレーヤーの内側――彼らの葛藤やカタルシス――つまり、心の起伏。
というわけで、テレビでは分からない臨場感や醍醐味は、是非とも漫画「千里の道も」で、ご堪能ください!

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