府中カントリークラブは昭和34年の開場。すでに40年以上の歴史がある。クラブハウスは、30年を経て、平成2年に新築された。「当初は1000坪程度のハウスの予定でした。しかし、メンバー主体の運営を維持するという考えから、メンバーズロッカーの充実を図ったところ、1500坪になってしまいました」(支配人・宇川裕氏)
男性ロッカーの面積は、約350坪程度になる。これだけ大きく占有されると、設計自由度も自ずと低くなるはずだ。しかし、同CCの場合、男性のメンバーズロッカーを2分する形で通路をつくり、浴室への距離を短縮している。しかも、通路にある階段からはレストランに上がれる。朝、ロッカーでの着替えを済ませてからの動線、ホールアウト後にロッカーに戻ってからの動線が、この通路と階段でかなり短縮されているのだ。また、自分のロッカーにキャディバッグを置いている会員も、当然多い。朝は、会員自らがロッカーからマスター室前のスタートテラスにバッグを運び、帰りは、キャディが玄関脇のキャディバッグ置場か、メンバーズロッカー中央の階段脇通路まで運ぶ。
さらにこのハウスは、ロッカー部分を除くと、非常にシンプルでムダがない。玄関横の待合室は、デッドスペースになりがちだが、全面ガラス張りにし、車寄せや駐車場からの出入りを見やすくしている。この部屋の隅にはソファベッドが置かれ、そこはカーテンで囲めるようになっている。緊急時の医務室になるわけだ。会員の高齢化に伴っての配慮だろう。逆コの字型のフロントは、玄関やホールにも、スタートテラス側にも目が届く。シンプルな造りだけに、機能性も高いといえる。