古賀ゴルフ・クラブ(福岡県)

古賀ゴルフ・クラブ(福岡県・18H)

快適な空間を確保しつつ環境と機能性の両立を図る

現代のゴルフ場にとって、周辺環境と実用性を第一義とし、
他が見本とするデザイン・構造こそ、リーダーコースの矜持だろう。

キャディ棟とカート庫を離して
主要部分のスペースを広げる

 旧ハウスは昭和32年(1957年)に建てられており、耐震に問題はなかったものの、インフラ関係の老朽化により新築することになった。

「いろいろな考えもありましたが、ゴルフ場が国定公園内にあるので、ビルのような近代的な建物は不釣り合い。来場したお客様が快適に過ごすとなると、今時、華美・豪華というのも合わないだろうと。結局、旧クラブハウスの壁面色「白」を基調とし、シーサイドコースにあった木造のイメージで、そこにひと捻り工夫をするということになりました。加えて、市街化調整区域でもあるため、建築物に関する制約があり、コンパクトなものとなったわけです」(支配人・青木則明氏)

 駆体を鉄筋コンクリートで屋根を鉄骨構造に、そして内部の柱や梁にはできるだけ木材を使用した。コンクリートの打ち放しになるところも、表面を木目調に工夫して木の雰囲気を出している。

「フロントのカウンターは当初、石造りの予定でしたが、雰囲気を重視して木に変えました。地元福岡では家具で有名な大川市の業者に発注しました」(青木氏)

 また、旧ハウスではレストラン、浴室、ロッカー、コンペルームといった主要部分が狭かったが、キャディ棟とカート庫を別の場所に造ることで、全体的にスペースを広げている。特にロッカールームに関しては、ロッカー幅を30㎝から45㎝で奥行きのあるものに替えた。そして、太陽光発電や太陽熱温水器、雨水濾過システム、ガスコージェネレーション等も導入している。

 木の温もりとともに、運営コストにも配慮したハウスである。

19番ホールは
メンバーズルームで

 今回の新築に当たって新設したのが、レストラン奥にあるメンバーズルーム。コンペルームがレストランとはやや離れたところにあるのに対して、隣接している。昼食後、そしてホールアウト後のひと時をゆったりと寛ぐことができる。

「静かで落ち着いた雰囲気を第一にデザインしていただきました。利用に関しては、ソフトドリンクをセルフサービスですが、無料で提供しています。日曜、祝日はメンバーオンリーなので、よくご利用いただいています」(青木氏)

 歴史あるメンバーシップならではの空間である。

ハウス外観

フロント、ロビー

集成材の柱と梁が雰囲気を醸し出すレストラン。15卓

スタートテラス手前にある1階ラウンジ

フロント並びのショップ。実用品のみ

コンペルームは可動式のパーテーションで区切られた4室。最大150名収容

レストラン脇のティラウンジ

今回新設されたメンバーズルーム

コンペルームへ向かう途中にある2階ラウンジ

メンバーズルーム奥にはソファースペースもある

男女の浴室と脱衣室。女性脱衣室にはこの他に小振りのパウダー室が6つある(左/男性浴室、右/女性浴室)

今回、ご紹介したクラブハウスは…

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所在地
福岡県古賀市鹿部
開場
昭和28年10月
ハウス設計者
㈱日建設計
ハウス施工
大成建設㈱
延べ床面積
3520.04㎡
構造
鉄筋コンクリート、屋根鉄骨造、一部木構造

「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。

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