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ゴルフ野性塾SP

No.407 『練習場とコースとの違い』 8/2 更新


傾斜地からボールが上がりません

私は練習場では、やさしくボールを上げることができます。しかし、コースに出ると微妙な傾斜に対応できないのか、とたんにボールが上がらなくなってしまいます。傾斜別にボールを上げるためのセットアップ術、スウィングで意識すべきポイントを教えて下さい。

(東京都・28歳)


早振りしない忍耐力を!

photo 練習場とコース、同じスウィングスピードで球とらえ出来るプロは一流。同じスウィングスピードで、とゆう事は同じリズム、タイミングが発生するとゆう事でもある。

よく同じリズム、同じタイミングで13本のクラブを打って行くのが理想、と言われているが、スウィングスピードが変わって同じリズム、同じタイミングは維持しにくいものだ。同じリズム、同じタイミングを得たいのであれば13本のクラブ全部、同じスウィングスピードで打って行くのも理想となる。

出来ぬ事ではない。ただ、若い時はその理想、理想とはならぬ。飛ぶクラブは速く振り、鋭いリズムと切れのあるタイミングでの球とらえが理想となり、飛ばないクラブは緩やかなスピードで打って行けばよい。40歳過ぎると13本のクラブ全部、同じスピードで振って行けるようになる。逆説的に申せば、若い時ほどのスピードが出せぬから均一スピードで振って行かざるを得ないとの論に達する訳です。

若き体と感性はスウィングスピードの幅を持ち、老いし体と感性は幅を狭めて来る、の認識は必要。その認識がないといつまでも若き時の飛距離とスピードにこだわり続け、スウィング型へのこだわりから脱却する事が出来ず、リズム、タイミングの生む飛距離、方向性、要するに調和のスウィング、自然態スウィングに背を向ける事となろう。

若い時は各人の中の突出した個性、突出した能力で球は飛ばせるし、飛ばすものでもある。40歳過ぎた時、突出したものは丸みを帯びる。人の世、いつまでも突出した部分が残るものでもなかろう。いつかは丸くなるものだ。人の世の風が削る事もあれば己で削る突出部分もある。個性、能力は時間が削る。削られぬ個性はないと思う。それでも突出出来ているのが天才と呼ばれる個性と能力なんでしょうな。

スウィング然り。40歳過ぎて、若い時のスウィングスピード求めるは無理のような気はします。突出部分で打つのではなく、調和のスウィングを目指し行くが最善と思う。若い時に調和のスウィングで打つ必要はない。個性の力で打って行けばいい。自然態で打つのは40歳過ぎてからの事。

そして日頃の練習とラウンド。練習場でとラウンド時のスウィングスピードが極端に変わるようでは望みしスコア作りは難しかろう。練習場では、いい球打っているのに、の嘆き。それはスピードが変わっている事に気づいていない嘆きでもある。コースラウンドの時、スピードが上がり過ぎているのです。それをいい事と思ってはいけない。スコア作りの面から眺めれば悪しき事じある。

ゴルフ頭の善し悪しを問われる事がある。変え得る力、変化を抑える忍耐の2つがゴルフ頭を作るが、力任せに目一杯、振り回して行く18ホールではゴルフ頭、決して上等とは言えぬだろう。状況を変え得る力と順応性、そして何が最優先事項であるかの認識、それらを大きく変えるか、小さく変えるか、変えて行かないかを決断する力、そして決めた事を維持し続ける忍耐、これがゴルフの頭。

私は、練習場では知恵知識を前面に出し、コースでは感性で球打っていた。逆でしたな。練習場では感情で打ち、コースラウンドの時は知恵で打つべきでした。逆をやっていた。だから上手いゴルフは出来ても強いゴルファーにはなれなかった。

photo プロの世界、上手いゴルファーはナンボでもいる。強いゴルファーは3000人中30人までと思う。プロの世界、1000分の10、100分の1だ。その事に気づいたのは10年前。あまりにも愚鈍であり過ぎた。鈍感すぎていました。若い時と40歳過ぎた時では目指すものは異なる。これは大切な事である。異なり様を知る認識は必要である。

貴兄のゴルフ、傾斜地に立つと力頼りのスウィングをしているように思える。故に練習場よりも極端な早振りとなってのミス発生だ。

早振りはロフトを殺す。ロフト15度のクラブで打った時、早振り生じてロフト10度のインパクトになっていればスプーンで打っているがドライバーで打っていると同じ事となる。クラブフェースの向きが10度20度と横向きにもなろう。当然どスライスどひっかけ、押し出し球、巻き込み球は生じる。もちろん、球は浮かない。

このミスを5度6度と続けると苦手意識が生じ、苦手意識はアドレス時の力みを生み、力配分、体重配分のバランス崩したスウィング始動となろう。貴兄は早振りするな。傾斜に対応するは早振りしない忍耐力。早振りは早く振りたいがあまり、体の一部分を止める。左肩の早過ぎる開き様、左ひざの伸び上がり、両ひざの突っ張り、右肩、右腕の前流れ、ヘッドアップ等、すべて早振りの生む悪しきスウィング型である。

心をスウィングに残せ。ゴルフは球を飛ばすゲームであって心を飛ばすゲームじゃない。貴兄は心を飛ばしている。打つ前から結果にこだわり過ぎている。だから早振りするのだ。練習の振りが出来ていない。欲を転がしちゃいけない。欲はつねに足許に置いておけばいいものであって、足許に置いておけばこその重しともなるのです。

欲が転がれば我が身は浮く。浮いた身は風次第だ。春には春の風で流され、夏には夏の風で雪崩行く。己はなくなる。欲は足許に置くが最善。転がしちゃいけないものだ。

早振りするな。




この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。

つづく
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坂田信弘

京大中退からゴルフを目指した異色プロゴルファー。主として週刊ゴルフダイジェストを根拠として漫画の原作、競技観戦記、レッスン書、レッスンビデオなど八面六臂の活躍をしているが、現在は次代のゴルファー育成のため開始したジュニア塾の塾長として脚光を浴びている。スウィング型を作るための「ショートスウィング」を提唱。
 
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