吉本 巧よしもと・たくみ
1980年生まれ、兵庫県出身。14歳で単身渡米し、フロリダ州のゴルフアカデミーに入門。州代表に選抜され、各世界大会に出場。プロ転向後は米ミニツアーで通算3勝。帰国後はスクールを設立し、現在は「品川ゴルフアカデミー」でレッスンを行う。
吉本 巧 インプレッション
先端側と手元側がしっかりしていて、相対的に中間部の軟らかさを感じられるモデルです。「手元側がしっかり」と聞くとハードなイメージを受けるかもしれませんが、「GT」にその常識は当てはまりません。
中元から中間部にかけて剛性が急に落ちることで硬さにメリハリがあり、剛性分布図では急降下する“滑り台”の曲線を描いています。この落差があるため、切り返しで間(ま)が生まれやすく、あらゆるゴルファーがタイミングの取りやすさを感じられるはず。
しなり方は「ZF」と似ていますが、より“まろやか”な動きといえます。
心地よいしなりを感じて切り返したあとは、インパクト前後でシャフト全体が大きくしなり戻る印象です。先端側だけが走るのではなく、シャフト全体でボールを押せる感覚。この点も「ZF」と似ていますが、よりしなやかに動くのでマッチする人は多そうです。
また、先端側の剛性感があるため、叩きにいってもつかまり過ぎないこともポイント。中元から中心部の“滑り台”の影響でオートマチックさもあるので、スインガーからヒッタータイプまでハマるシャフトといえるでしょう。
幅広い重量帯(40~80g)とスペックが用意されていることも、多くの人が手にできる要素です。
続いて、同世代の「TB」「PD」との比較です。
まず、クセがなくスムーズなしなりの「TB」と比べると、「GT」は手元側の剛性が強め。しかし、「GT」は前述のように剛性差によるシャフトの動きを感じやすいため、実際に振ると「TB」の方がしっかりした印象を受けます。シャフトにもっと仕事をして欲しい人は、「GT」の方が相性は良いでしょう。
一方の「PD」は、先端剛性の高さと安定感が特徴のモデル。「GT」とは先端剛性に大きな違いはありませんが、手元側から中間部のしなり方は対照的です。
「PD」は手元側がしなり、中元から中間部がしっかりしたタイプ。「GT」は手元側がしっかりしており、中元から中間部がしなるタイプです。
切り返しで手元側に負荷をかけたい人に合う「PD」がややハードに感じたら、中元から中間部のしなりを感じられる「GT」がマッチするはずです。
※トラックマンによる5球の平均結果
アマチュア インプレッション
小澤 裕介さん
●ゴルフ歴:20年 ●年間ラウンド回数:20回
●平均スコア:88 ●ヘッドスピード:43m/s
●ドライバー平均飛距離:240yard
誉田 佑子さん
●ゴルフ歴:10年 ●年間ラウンド回数:100回
●平均スコア:85 ●ヘッドスピード:37m/s
●ドライバー平均飛距離:210yard
誉田 佑子さんの試打
悩みは、タイミングがズレると右に弱々しい球が出ること。それを嫌がって左にミスすることもありますが、「GT」はとても振りやすく、インパクトのタイミングがズレることは、ほとんどありませんでした。自分のクラブより20ydも飛距離が伸びていたんです。インパクトで「ミスした!」と思っても、ほとんど曲がらずに真っすぐ飛んだことにもビックリ。
ミスしたのに「ナイスショット!」って言ってもらえる不思議なシャフトです。
女性ゴルファーは先調子が合うイメージですが、ある程度振れるようになると、手元側や中間がしなる方が適用するケースがあります。誉田さんはズバリそのタイプで、「50SR」が最もフィットしていましたね。
シャフトのしなりを感じられる「GT」に替えることで無理に振りにいかなくなり、スイングがより安定しました。打点がブレても真っすぐ飛んだのは、シャフト全体がしなり戻って球をつかまえてくれるからだと考えられます。
※トラックマンによる5球の平均結果
総括
「GT」をひと言で表現すると、「シャフトにはある程度、オートマチックに動いてほしいけど、適度にクラブをコントロールしたい」というゴルファーに合うモデルです。ほどよいつかまりの良さがあるためドローを打ちたい人にも合いますし、シャフト全体で球をとらえられることでフェースが返り過ぎないため、フェードヒッターにもお勧めできます。
つまり、スイングタイプや持ち球に関わらず、多くの中上級者にドンピシャのシャフトといえるでしょう。
注意点は、中元から中間部の心地よいしなりが感じられるスペックを選ぶこと。自分にとって重すぎる、硬すぎるシャフトだとしなりを感じることができず、シャフトのポテンシャルを十分に発揮できません。重量帯とフレックスは20種類の組み合わせから選べるので、ぜひ自分に合うスペックを見つけてください。