フェアウェイウッドにも「リバウンドフレーム」という新構造が搭載されています。
3Wにはカーボンクラウンが採用されていて、構えてみるとロフトがよく見えるし、自分のヘッドスピード(ドライバーで43m/s)で打っても、高弾道かつ低スピンでよく飛ばせます。番手ごとにヘッドが最適化設計されていることを実感できるクラブです。
「リバウンドフレーム」構造の効果だと思いますが、フェースの弾き感が強く、打ち出しから最高到達点まで一気にボールが上がるように飛んでくれます。驚いたのは、打点がズレたときでも球の上がりやすさと飛距離が変わらないところ。寛容性も高いクラブです。また、色々な傾斜やライで構えても、自分が打ちたい球筋のイメージを持てるヘッド形状も魅力。コースでの実戦力が高く、200ヤード前後の距離が残っても自信を持って打っていけます。
アイアン型ユーティリティは、アイアンからの流れで使いたいクラブです。その観点からいうと、シリーズのアイアンと同じ構えやすさが備わっており、何の違和感もなくターゲットを狙える性能に仕上げられています。ドローやフェードといった弾道の打ち分けもしやすく、直進性も確保されているのでシビア過ぎる印象は受けません。このあたりの性能の良さも「ZX アイアン」に通じる部分です。
「ZX5 アイアン」には大きな進化を感じました。アスリートが好むアイアンらしいシャープ感とカッコ良さを備えながら、飛びと寛容性のバランスがとてもいい。フェース周辺に配置した「スピードグルーブ」と、打点分布に合わせた「最適フェース肉厚分布設計」で、初速が出るし、ミスヒットにも強い。スピンもきちんと入るので、キャリーでピンを狙えるのが好印象です。打感もいいし、ソールが地面に当たる感触も向上していて、フィーリング面でも進化していますね。
ハーフキャビティの形状ですが、打点部分の裏側が肉厚になっている「ツアーキャビティデザイン」で、打感はまさにマッスルバック。打っていて、とても心地がいいです。しっかりとした操作性を備えながらも、シビアさを感じさせません。直進性とやさしさがあるのが長所だと思います。現代的な性能に進化したアスリート向けアイアンという印象です。決してプロにしか打ちこなせないようなモデルではありません。
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関 浩太郎
せき・こうたろう●1974年、茨城県生まれ。
「SEKI GOLF CLUB 目黒」を主催するプロコーチ。仕事で年間に試打するクラブは400本以上。クラブフィッティングとクラフトにも従事している。 -
鹿又 芳典
かのまた・よしのり●1968年、東京都生まれ。
ゴルフスタジオ「Magic」のクラブフィッター兼クラフトマン。試打レビュワーとして、多くのメディアでクラブ選びのご意見番としても活躍中。
前回は、アマチュア3名に「ZXシリーズ」のドライバーを試打してもらい、モデル選びを行った。今回はクラブフィッターの鹿又さんナビゲートで、アマチュア個々のスイングや持ち球を考慮した、スコア向上のためのセッティングを検証した。
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肥野 竜也さん
ゴルフ歴:15年 平均スコア:70台
持ち球:フェード H/S:44m/s -
南宮 光行さん
ゴルフ歴:20年 平均スコア:90台
持ち球:フェード H/S:42m/s -
村山 智輝さん
ゴルフ歴:20年 平均スコア:80台
持ち球:フェード H/S:48m/s
僕は持ち球の弾道が低いので、地面から打つフェアウェイウッドやユーティリティ選びにはいつも悩まされます。ですが、「ZXシリーズ」のフェアウェイウッドは3番でも高打ち出しで、ハイブリッドもよく球が上がってくれました。
このセッティングなら、長い距離が残っても果敢にグリーンを狙っていけそうです。
「ZX5 アイアン」は、球が上がってくれるし、飛距離も出るので大満足。普段のセッティングでは、飛び系アイアンの6番からしか使っていませんが、キャリーを出せる「ZX5 アイアン」なら、5番からチャレンジしたいです。「ZXシリーズ」に装着されている純正カーボンシャフトは、ドライバーからの流れで振りやすく、好印象でした。
南宮さんのヘッドスピードと持ち球だと、フェアウェイウッドはボールを高く打ち出せる5番からにしておくのが得策かと思います。
「ZX ハイブリッド」は、ロフト角が5番で25度、「ZX5 アイアン」は5番で24度となっています。どちらを選ぶかは、キャリーの飛距離や、弾道の高さに差が出るので、ライやピン位置など、コース状況によって使い分けるといいですね。
ヘッドの動きや球筋を自分でコントロールできるクラブのほうが、やさしく感じられて好みです。その点では、ドライバーもアイアンも「ZX7」が使いやすかったです。フェアウェイウッドは、ヘッド形状がすっきりしていて構えやすく、飛距離もよく出ていました。今からでもすぐに、このセッティングで自分のゴルフができそうです。気に入りました!
村山さんは、ボールのさばき方がとても上手なゴルファーです。基本的にどんなクラブでも打ちこなせますが、ヘッドの操作性がいい「ZX7」との相性はバツグンでした。
打ち出しの高さを自分で出せるスイングなので、アイアン型の「ZX ユーティリティ」を問題なく打つことができますし、村山さん自身もラインを出して打ちやすいアイアン型が気に入ったようです。結果的には、典型的なアスリート型セッティングになりました。
ヘッドスピードの速い上級者には、アイアン型ユーティリティが適していると思われがちですが、あくまでも個々のゴルファーの持ち球や好みによります。
弾道の高さを確保するには、ウッド型が適しているし、肥野さんの場合は「ZX ハイブリッド」なら、ロフト角19度でも高弾道で打つことができました。5番ウッドをバッグに入れる選択肢もありますが、方向性を出しやすい方を選ぶといいでしょう。