カメラの最新技術で「ゴルフ」はどう変わるのか?
ソニーα9の革新的な進化に迫る

日本人選手が世界最高峰へと迫るメジャーの舞台を撮影するため、GDOニュースのトーナメント撮影で活躍する内田眞樹カメラマンは、発売間もないソニーα9を撮影機材に選んだ。最新の技術をフル活用すれば、今まで読者に伝えきれなかった選手の息遣いや会場の美しさを表現できるはず。選手だけに研鑽や進化を求めていては、世界のトップへと迫る真実を今後もきっと伝えられない。そう考えたからだ。ゴルフの深さや面白さに魅了された撮影者の“知られざる挑戦”を記録のために振り返る。

ゴルフ界ではタブーだったインパクト前 無音シャッターなら撮れる

ゴルフの試合では選手の集中を妨げるため、アドレスからインパクトまでシャッター音をさせて撮影することは禁止されている。一般的にカメラマン達はインパクト後の瞬間を狙ってゴルファーにカメラを向け続け、インパクトと同時にパシャパシャパシャと音を立ててシャッターを切る。その常識を打ち破ったのが無音・無振動シャッターの革命だ。今まで成し得なかったこと、今まで見えなかった世界が見えるようになったのがこの一枚だ。

秒間20コマの高速連写 捉えにくかった瞬間や撮影者の意図をたやすく切り撮る

ゴルフスイング中のインパクトゾーンというのは、スイングの中でも最も加速している瞬間。そんな中、広角で被写体に寄り、小さなフレームに打ち出されたボールまで一緒に写し込んでやろうと思うと失敗することが少なくなかった。秒間20コマはスペック表の上で見ると、従来のカメラと数コマ差だが、実際に使ってみると雲泥の差だ。狙った通りの瞬間を確実に記録してくれる。今までのように「ボールが入ってなかった」なんて嘆くことはほとんどなくなった。ひとつ付け加えるなら、この写真は無音シャッターと選手との信頼関係も大きく貢献している一枚ということだ。

693点フォーカスエリアによる構図の自由度と正確性

従来の一眼レフではAFのフォーカスエリアが中央部に集中している。そのため、画角の隅にある被写体にピントを合わせるには、レンズ中央で1度ピントを固定させた後、カメラを狙いの構図へと少し振らなくてはならない。当然、ピン浅で撮影している場合は合焦率も下がるし、写真のように一瞬陽が差した時などには機敏性も重要だ。領域のほぼ全面カバーしてくれるAFなら瞬時に正確に瞬間を切りとることが可能になる。

選手の生きた表情をしっかりと捉え続けた瞳AF

人物を撮影する際、瞳にピントを合わせるのは基本だ。これが少しでもズレていたらシャープな印象の写真は撮れない。ゴルフのように被写体が動き続ける場合、一瞬の表情を捉えて正確に瞳にピントを合わせるのはなかなか難しい。そこで僕が多用した便利な機能が『瞳AF』だった。動き続ける選手の瞳をしっかりと捉え続け、寄り、引き、ともに正確にピントを合わせてくれる。ゴルフ以外のポートレート撮影でも、僕には欠かせない機能になってしまった。

おざなりになりがちな曇天下の撮影 微妙なリンクスの地形をしっかり捉える描写力

バンカーからの脱出を捉えた一枚。この日は気温も低く、撮影した時間帯に太陽が出ることはなかった。だが、曇り空の中でも背景のグリーンの発色は見事だった。ただ鮮やかなだけではない。イギリスのリンクス特有の起伏が少ないコースでも、しっかりとしたコントラストで表現している。通常なら人物の顔が暗くなりがちなシチュエーションだ。それなりに明るく写しても、これだけの立体感と奥行きを残して鮮やかに写してくれるのは心強い。

鮮やかで透明感のあるビビッドな描写は画力に臨場感を増してくれる

見たまま美しい緑と青のコントラスト。それ以外の色もそれぞれがしっかりと発色し、他の色の影響を受けることなく描写されている。写真用の処理ソフト等も全く使用していない撮ったままの画像だ。単純に彩度を上げて、「とにかく青く、とにかく緑に」と安易に撮ると、青空などの透明感と立体感は崩れてしまい、絵のような写りになってしまう。だが、このカメラにあるクリエイティブスタイルの『ビビッドモード』はそんな心配がいらない。鮮やかさを増しながら、必要な部分のコントラストもつぶさず、透明感をもったまま写し出してくれる。僕のお気に入りのモードのひとつである。

表情、感情はシルエットだけでも伝わる瞬間がある

他のスポーツに比べてゴルフは大きな動きが少ない。他の競技のように大きな声援の中でプレーすることもほとんどない。はっきり言って地味だ。けれど、完全な静寂の中、選手の吐息まで伝わってきそうな緊張感は、ほかのスポーツにない特別な空気と断言できる。僕らカメラマンやギャラリーはその真っ只中にいて、静かに視線を送り続けるのだ。そんな中の一打。きっとこれを入れれば流れが変わる意味のある一打だったのだろう。そんな想いが伝わり、僕はあえてシルエットだけで勝負に挑んだ。結局、選手としては悔しい結果に終わったのだけれど、僕としてはシルエットだけで十二分に想いが伝わる一枚を残すことができた。

問い合わせ先

α9について詳細はソニー製品ページへ:
http://www.sony.jp/ichigan/

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