今回、私が試打をするフォーティーン『H-030』ウェッジには、ロフト50°の『AW』、56°の『SW』、そして38°の『RW』の3種類がラインナップされています。『AW』は基本のピッチ&ラン、『SW』はバンカーショットや球を高く上げたいとき、『RW』はランニングアプローチといった具合に、打ちたいショットや状況に最適なクラブを、シンプルにチョイスできるように専用設計されています。
プレーヤーのレベルを問わず、状況に応じたアプローチがやさしく打てるということなので、アベレージと上級者それぞれの視点から、コースで徹底的に試打してみました。
まず、3タイプそれぞれを構えてみた印象ですが、特に目を引くのが、フェアウェイウッドを彷彿とさせる、
“ウッドシェイプ”のヘッドデザインです。構えたときに違和感を覚えるかと思ったのですが、幅の広いトップブレードがかえって“やさしさ”をイメージさせてくれて、とても安心感があります。また、シャフトの軸線より目標方向に突き出た“出っ刃”のリーディングエッジは、どんなライからでもボールを拾ってくれるイメージが沸きますね。従来のウェッジとはまったく異なる、斬新なヘッド形状はまさに革新的で“近未来型”といえますが、見た目の印象からはプレーヤーにやさしさと安心感をもたらしてくれます。
グリーン手前の花道はライが良すぎるあまりに、「寄って当たり前」、「ボールをクリーンに打たなきゃ」という意識から、ザックリやトップのミスが意外に起きやすいんです。
ロフト50度の『AW』で打つと、“出っ刃”のリーディングエッジがボールをクリーンに拾った後、丸みの強い“プラネットソール”が地面をスッと滑ってくれるので、ヘッドが刺さらずに抜けてくれますね。ややダフリ気味に入っても大丈夫なので、ザックリの心配もないし、それを嫌がったときに出やすいトップのミスも同時に防いでくれる。ミスを怖がらずに、距離感だけをイメージして打てるから、アベレージでもベタピンに寄る確率が間違いなくアップします。
バンカー越えでもピンまである程度距離があれば、ピッチ&ランで対応できるし、上級者であれば、ワンパット圏内にピタッと寄せたい状況でしょう。そんなイメージで何球か打ってみましたが、球の高さが一定に揃うので、自分が打ちたいと思った距離を、正確に打っていくことができました。浅めのラフから打ったときなど、スピン量が不安定になりやすいのですが、フォーティーンならではのシャープなスコアラインが、ボールにしっかりスピンをかけてくれるので、よりアグレッシブにピンを攻めていける。中空構造が生み出す広いスイートエリアによって、距離感やスピン量のバラつきが少ないので、上級者が求める、より精度の高いアプローチショットを可能にしてくれます。
多くのアベレージゴルファーがバンカーショットを苦手としているのは、「フェースを開いて、上からヘッドを打ち込む」など、通常のショットとは違う打ち方が必要とされるため。その点、この『SW』はスタンスもフェースもクラブなりに、目標に対してスクェアに構えてOK。
あとはボールの少し手前にヘッドを入れるだけで、いとも簡単にボールが上がってくれて、バンカーから脱出することができます。ワイドで丸みの強い“プラネットソール”が、必要以上に打ち込まなくても砂を弾き飛ばしてくれるし、ヘッドが砂に深く潜らずに振り抜いていける。これが1本あれば、もうバンカーなんか怖くなくなりますよ。
上級者の場合、フェースの開き具合で出球の高さや距離を調節したり、スピンをコントロールするなど、バンカーからでも寄せワンを狙える技術を持っています。
試しに、同じ状況からフェースを開いて打ってみましたが、開いた分だけボールが高く上がり、まるでプロや上級者が使うウェッジのように、キュキュッとスピンが効いて止まりました。いわゆる、“お助け系”ウェッジは、こういうショットの細工がしにくかったんですが、この『SW』は高さもスピンも自在にコントロールできて、距離のバラつきもない。ただやさしいだけじゃなく、上級者の多彩な技術を引き出してくれる、高いパフォーマンスを秘めていますね。
エッジから近くてピンまで距離がある状況は、転がし寄せるのがいちばん安全確実な方法。
ところが、ウェッジやショートアイアンでランニングアプローチをしようとして手前をザックリ、という経験がアベレージには多いはず。“ウッドシェイプ”のヘッド形状は、自然とボールを横から払うイメージが沸くので、パッティングに近い感覚で打っていけます。もちろん、“プラネットソール”はヘッドが突っかからずに抜けてくれるので、嫌なザックリのミスも起きません。また、打感がしっかり手に伝わってくるので、距離感がとても合わせやすいですね。
深いラフにボールがすっぽり沈んでいるとき、プロはウェッジのフェースを思いきり開いて、バンカーショットの要領で打ったりします。ただ、これは難易度が高く、プロでも失敗することがあります。
こんなときも丸みの強い“プラネットソール”が絶大な効果を発揮するんです。ヘッドが芝の抵抗に負けず、ソールが低く長く地面を滑ってくれることで、どんなライからでもフェースでボールを拾うことができる。
芝の薄い場所やベアグラウンド、グリーン奥の逆目のラフからも打ってみましたが、どんなに厳しい状況でも、やさしくピンに寄せることができました。これは上級者にとっても頼れる武器になりますね。
新しいフォーティーン『H-030』の3タイプのウェッジにはスチールシャフトだけでなく、フォーティーンがウェッジ専用に開発した『FTカーボンシャフト』装着モデルも用意されています。
実際に打ってみると、カーボン特有の適度なしなり感があるので、ヘッドのコントロールがとてもしやすく、気持ちよくスウィングできます。アイアンにカーボンシャフトを使っているゴルファーなら、この『FTカーボンシャフト』装着モデルを選ぶことで、クラブセッティングの繋がりも良くなるでしょう。
今回、様々な状況からフォーティーンの『H-030』ウェッジを試しましたが、打ちたいアプローチに合わせて、3タイプからクラブを選択するだけで、思いどおりのショットをやさしく、高い精度で打つことができました。
とにかく、アプローチ全般に安定を求めるなら、3タイプをすべて揃えれば、確実にスコアメークに役立ちます。
また、バンカーが苦手な人は『SW』、ランニングが安定しない人は『RW』を入れるなど、サッカーの“スーパーサブ”や、野球の“ワンポイントリリーフ”のようなセッティングも効果的です。
まさに、従来のウェッジのイメージをガラリと変える、新たな時代の到来を感じさせるクラブが誕生しましたね。
■ヘッド: | 中空構造/鋳造ニッケルクロムモリブデン鋼(鏡面ミーリングフェース) |
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■仕上げ: | ニッケルクロムメッキ・パールサテン仕上げ |
■シャフト: | ①N.S.PRO 950GH HTスチールシャフト(WEDGE/98g) ②FT-61wカーボンシャフト(65g)〔*受注生産:FT-71w(70g)、FT-51w(50g)〕 ③FT-51wカーボンシャフト(50g)レディース仕様 |
モデル | Rw | Aw | Sw | |
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ロフト | 38° | 50° | 56° | |
ライ | 62° | 63° | 64° | |
バンス角 | 4° | 8° | 10° | |
N.S.PRO 950GH HT スチールシャフト |
クラブ長さ(inch) | 36.5 | 35.5 | 34.5 |
クラブ重さ(バランス) | 425g(D0) | 438g(D0.5) | 456g(D1.5) | |
FT-61w カーボンシャフト |
クラブ長さ(inch) | 36.5 | 35.5 | 34.5 |
クラブ重さ(バランス) | 390g(C9) | 405g(D0) | 421g(D1.5) | |
FT-51w レディース仕様 |
クラブ長さ(inch) | 36.25 | 35.25 | 34.25 |
クラブ重さ(バランス) | 367g(C8) | 383g(C9) | 400g(D0.5) |
*11月29日発売
撮影協力:久邇カントリークラブ