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ゴルフ野性塾スペシャル
No132...練習環境とインパクト感覚...(2/14)

土とマットは差が出るか?
よく日本のプロと海外のプロとでは、練習環境の違いが技術の差となっていると聞きますが、実際、土や芝の上の練習と、人工芝のマットとでは、どれくらいの差がでるのでしょうか。

(沖縄県 32歳)


土や芝の上が理想

私は栃木県の鹿沼CCで1年と少しばかりの研修生生活を送った後、宮本留吉プロ小針春芳プロの勧めで愛知県の貞宝CCへ移籍した。

貞宝CCに所属されていた、当時の日本プロゴルフ界、アイアンショットの切れ随一と評されていた、橘田規プロの教えを受けるためであった。

鹿沼CCに練習場は無かった。貞宝CCにはあった。キャリー270ヤードを受け入れる、立派なものだった。

コース難度は中京地区でも屈指、練習場も一流。

練習打席は土。所属するプロも超一流。他に男子プロ3名、女子プロ1名。これで上手くならなきゃ変だ。

私は土の上から球を叩いた。「ドライバーも、土の上から打て。ヘッドの換えは利く」と宮本師から言われており、打てるスウィングではあった。

貞宝CCの練習場、私は土の上からドライバーを打った。打ち下ろしなれど、2キックで270ヤード先の林の中にボールは飛び込んだ。飛距離だけが支えの研修生だった。

私はドライバーを宮本師に、ショートゲームを小針春芳師に、アイアンを橘田師に学んだ。

土の上から球を打てば、ソールは削れ行く。私は7アイアンと4アイアンの練習を好んだ。ソールの文字は3カ月で消えた。1日1000球打ち、アプローチ500球、打っていた。コースラウンドは週に3日。夕刻スタートの9ホールだけ。それでプロになった。ゴルフを始めて3年と11カ月。

24歳でクラブを握った。遅れて来た研修生にしては上出来の結果だったと思う。土の上での練習なければ、プロテストに通ってはいなかった筈。

です。貞宝の練習場が土である事は知らず、橘田師を求めて行った先が土の練習場を持っていただけの事。

確かにマットの上よりは土の上で打つ方が上手くなり易い。ミスの結果は瞬間に出る。土で打てばインパクトが分かる。マットではインパクト過ぎた後、フォロー途中で当たりの悪さが分かる。時間にしてコンマの秒の差なれど、この差は大きい。

顔の向き、眼鏡方向、そして左肩、左脇、左腰、左ひざのインパクトに対する備えの強さが異なりゆく。

土の上で叩いた方が強くなる。マットで叩けば、左脇の締まりは強くならぬ。プロの世界、これは致命的欠陥。

左脇の甘さは避けたい。左脇の甘さをフォローする唯一の方法はフックグリップ。それも極端なフックグリップだ。フックグリップだと、左脇が甘くても同じフィーリングで打てる。

しかし、余程にスウィング弧がしっかりしてないと、フックグリップ打ちは難しい。左腕の筋肉が左から右に流れているのならば、その筋肉を受け支えるはフックグリップのみ。だが、日本人はストレートの筋肉のつき方をしている。ならば、あえてフックグリップにする必要はない。スクェアグリップが最適。

右にも左にもコントロール打ちのできる有利さが日本民族には宿る。白人、黄色人種はストレートの筋肉のつき方を体質として持つ。黒人の体質は左から右へのねじりづき。

これ迄黒人のプロは多くいたが、グリップはフックグリップばかりだった。腕の筋肉のつき方がフックグリップを求めたのです。

彼等はフック球に悩んだ。タイガー・ウッズは違う。黒人の中で唯一のスクェアに近い握りをしている。タイ人である母の体質を貰った結果だと思う。瞬発力の強い黒人筋肉に、ストレート向きにつく黄色人種の体質を受け継いでいる。天才の誕生に誕生の理由はあるものだ。

芸術、学問、文学、スポーツ等、総ての領域に理由は存在する。私は三流プロ。三流の才能。三流の浅き知恵でも分かる。土の打席が私をプロにした。マットと土との差はそれだけ。

欧米のゴルフ場の練習場は芝。土よりもミスを知る時間がコンマ何秒、早いのです。

マットはミスに鈍感な感覚を宿す。土や芝は鋭敏な感覚を生む。それが練習姿勢に現れる。スウィングにも出て来る。

マット打ちは「適当」とゆう姿勢を作る。適当がまかり通る。土と芝は適当を許さぬ。この違いは時が経つ程に、大きな差となって行く。

日本の練習環境で土や芝を求めるのは無理。日本と欧米の差はそこから始まっているのだから、仕方ない。無理は無理。

台湾から強いプロが出て来ない様になった。15年程前、淡水の練習場は土からマットに変わった。他のコースも淡水に倣った。それだけが理由とは思わぬが、大きな理由のひとつに間違いなさそうだ。

機会あれば土か芝の上で打つのが理想。インパクトの瞬間のミスを知ることが出来る。マットでは遅れる。

以上----。


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