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ゴルフ野性塾スペシャル
No123...うつろいの開眼...(12/6)

あの悟りはどこへ
 ゴルフを始めてはや10年。ようやく80台前半も出せるようになった昨今ですが、どうしてもたまの大崩れという悪いクセが抜けなくて困っています。大体2カ月ごとに「よし、コレだ!」と、いわゆる開眼があるのですが、その効果があるのはせいぜい1カ月。いつのまにか開眼ポイントを忘れてしまい、それを思う出そうとして逆にフォームを崩して大叩きというゴルフが繰り返し続いているのです。「ああ、あの開眼はどこへいったんだ」と、いつもがっかりしています。( --後略-- )

(埼玉県・33歳)


足を停めことなく・・

眼が開いて、又閉じて、ある日突然にポッと目が開き、又閉じてゆく、の繰り返しなんでしょうか!

周防灘の研修生に高橋とゆう名の悟り男がいる。「昨日の夜の練習で悟りました! もう大丈夫です」と、確信に満ちた表情で朝、言ってくる。

夕刻、高橋の悟りはブッ潰れ。1年中、その繰り返しをやる高橋は、朝の悟りゴルフ、夕の煩悩ゴルフ、と呼ばれている。

本人は己の滑稽さに気付いてはいない。必死なだけに気の毒を通り過ぎて、哀れとゆう気にもなるが、これは本人の性格ゆえ、直し様もないし、直す必要もないと思っている。

一つの開眼が始まった時から、次なる悩みは始まってるんです。終着駅のない各駅停車の汽車に乗るのがゴルフではないでしょうか。

気持ちが1カ所に留まっていれば、開眼に拘ること出来ようが、進歩や変化の中で人間ってのは揺れてくもんでしょう。揺れりゃ、開眼の眼もズレますよ。そして次なる開眼へ向けての平坦なゴルフが始まってゆく。

開眼は特急列車の停まる駅ですね。そこの華やかさを求めてゴルファーは悩みを背負って走ってゆく。

それよりも、九州オープンでは1ホールのドカ叩きに参りました。2日間終えて4アンダー。首位と3打差の3位タイ。

3日目も暑かった。徹夜に近い原稿書きで、いささかのヘバリは来てきました。足の裏には豆。観戦記取材の足の裏、練習ラウンドの足の裏、試合出場の足の裏は違うものです。体重が試合の時程、グッと乗るものでしてネ。同じ歩数でも試合時が一番、足の裏は疲れる。

金曜日の夜、豆の中の水を針で穴あけて抜きました。左、右、両方の足の裏に500円玉の大きさの豆が出来ていたもので・・・。

土曜日、水抜いた豆が破れなきゃいいと、それだけを思って臨んだ。豆は大丈夫だった。頭の中が破れちまった

2番のショートホール、6アイアンのティショットはピン左奥の浅いラフ。簡単なアプローチだった。上げてもよし、転がしてもよしの易しいライです。上げるだけ、転がすだけ、とゆう手段1つだけの状況は難しいんですが、2つの手段がある時は簡単なんです。

ま、2つあるから悩んで失敗するとゆうこともあるが、それは四流以下の感覚。結果を理屈で考えるレベルですな。

私は球を上げた。アゴの動きが早かった。アプローチでのヘッドアップとは、アゴの早動きを抑えれば防げるものです。アゴが早動きしなければ、ひざも流れない。アゴとひざは一体のもの、それがアプローチのコツ。

この開眼はズーッと前に幾度も経験済みだったのに、忘れてた。簡単とゆう油断がアゴの早動きを生んだのかも知れぬ。

ピン迄3メートルのパーパットが残った。50センチ ショートさせた。これを外した。2オン3パットのダブルボギー。

そして8番のショートホール、7アイアンのティショットをグリーン手前の谷にブチ込んだ。2発! 7ですよ、7!!  ショートホール2つで6オーバー。

10番でも5メートルを3パット。16番でチップインバーディ。78。通算2オーバーとなり、11位に急降下。

あのドカ叩きは痛恨。1球の球が谷に落ちて行った時、夢の中の自分とゆう気がした。今は優勝を狙っていった今年の九州オープンそのものが夢、とゆう気になってますけどネ。

大崩れはスウィングへの油断と思う。アゴへの油断がドカ叩きを生んだ。臆病でなきゃ、勝利への道は歩き通せません。それがよく分かった。

これも開眼とゆうものでしょうか! そして、ポロッと忘れる。

23年間、私は開眼をどの位、重ねてきたのかなー。高橋程じゃないが、そこそこの厚さにはなってる様な気もする。

でも忘れました、開眼とゆうモロい砂岩の層を! 今は楽しくプレーしているだけ。何かを感じても、開眼とゆう名のアンタはすぐにどっかに行っちまうお方でしょ、と思うだけ。

然り気なく、然り気なく、私の自然体のゴルフを目指すのみ。開眼に足を停めることはない。今、47歳の私の素直なる気持ちです。


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