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ゴルフ野性塾スペシャル
No91... クラブとの出会い...(4/19)

1本で開眼するだろうか?
私にはライバルがいます。(--中略--) しかし、最近私は彼に3回連続して負けました。それも回を追うごとにその差は大きくなっていくのです。(--中略--) 彼は最近、ドライバーのシャフトを替え、これが彼にぴったりマッチした。それですべてのクラブに自信が出て気持ちよく振り切れるようになったのが原因だというのです。と聞いても、私にはなぜか理解できません。アイアンすべてを替えたというならまだしも、ドライバー一本でそんなに変わるとは・・。塾長、こんなことってあるんですか。「たった一本のクラブで開眼」なんてことが。

(長野県 39歳)


練習だけが自信を満ちさせる

あります。私も経験している。パターだった。

昭和46年にクラブを握り、4年間ズーッとカマボコ型で通したが、昭和50年の夏、L型に替えた。それ迄、1本のパターでやってきたのを初めて替えた。替えた動機は覚えていない。

そのL型で琵琶湖CCのプロテストに臨み、通った。

この日のゴルフ、パッティングに比重のかかる内容ではなかったと思うが、午後のラウンドの8ホール目でパットに救われた。

午前中は34・36の70。午後、7番ホールでOBを打ってトリプルボギー。瞬間、暑い9月10日、私は鳥肌立てていた。

8番のロングホール、練習ラウンドも本番手前のラウンドも2オン出来ていたのに、この時、3オンが精一杯。ファーストパットは下りスライスライン15メートル。

ショートだけはすまい、と念じて打った。球は弾んで転がった。今でも球の弾みは覚えている。4メートルオーバーした。残りラインは上りのフック。頭の中は白くなっていた。

4メートルが遠く見えたり、近く見えたりと、揺れてゆく。「入れる、入れる」とだけ繰り返していた、とラウンド後に同伴競技者の方が教えてくれた。私は覚えていない。

打った。ギリギリの転がりで入った。球が沈んだ瞬間、又、鳥肌が立った。そして、私は通った。70・74=144のパープレー。トップ合格だった。

私の場合、L型の方がフックラインは打ち易い。多分、あの頃の私は曲がりの大きいドローボールを打っていたのだろう。そして、ファーストパットもフックラインが多くなっていたと推察。右、右と攻めていた元気のいいゴルフだったに違いない。

L型に替えたのは、元気の良さが大きな理由だったか! そんな時期って、プロを目指す者には一度は訪れよう。そこで替えたか、否かは。私は替えた。替えて、4メートルを沈めた。

15メートルを4メートルオーバーしたパッティングの是非は問わぬ方がいい。ゴルフゲームの過去とゆうのは目の前、一度っきりを問いたい。OBしたティショットを問うよりは、OBした後の打ち直しのショットを今の私は問う。

ミスの次を問えば、ミスへの悔いは薄まる。悔いを薄めなければ、攻めっ気はくじける。三流、四流の者は余程の鈍感か、余程にラウンド途中の悔い強き者だろう。

分かっていても、私は悔い強きゴルフをしていた。1勝しか出来ていない結果を振り返れば、やはりどうしてもそこに辿り着く。

今年の九州オープン、私の狂い咲きスコアは、ミスを悔いる気持ちを薄めていった答えです。この辺りの気持ちの持ち方が私にも少し分かりかけてきている。それを長男雅樹、周防灘研修生、熊本と札幌のジュニア塾生に語ってゆこうと思う。

私の経験は失敗ばかりが続く小さな山ばかり。高さを測る山は、ナイジェリアの優勝が1つしかない。

でも私には11年間の観戦記を書いた経験がある。超一流に直接問うた日々がある。得てきたものは間違いなく記憶として残っている。参考にはなると思う。

昭和50年の9月、私はL型で4メートルを沈めた。1本のクラブで開眼出来るとは考え難いが、越えられる何かはある。

私はプロテストを越えた。昭和51年、ツアーに参戦した私はL型をカマボコに替えた。

今年の冬、テストに通ったパターが19年ぶりに見つかった。応援してくれた御礼にと人差し上げたL型パターが、その方の好意で戻っていたのです。九州オープンで使いました。

1本のクラブがゴルファーの人生を作ることもあろう。クラブとの出会い、そして別れの出来事をフィクション小説として、いつの日か書くつもりでいる。

貴兄の友人は自信を持った。自信の長さが上達の息となるのは必然。1年の息か、2年の息かは分からねど、その間、貴兄は負け続けることとなる。

自信は練習量を増やす。自信とゆうのは、例えるに酒を入れるための皮袋ですな。最初は空いているものです。埋めるは練習。左様、練習は自信とゆう皮袋に入れる酒であります。

逆説的に申せば、自信が持てる迄、練習することです。そうすると、練習は満ちてくる。練習が自信とゆう皮袋を大きくし、皮袋は練習を求めてくる。この繰り返しで上達する様になってるんですな。

練習してください。貴兄のライバルは先行した。皮袋がひと回り、大きくなったのです。貴兄は皮袋を縫っている状態。これからです、勝負は!

1本の開眼は貴兄にも訪れる。今は練習の時----。


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