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ゴルフ野性塾スペシャル
No64... 追想のエッセイ...(10/5)

13年目にして散る

九州オープンを予選落ちした。77・76=153 ---。2ストローク足りなかった。

初日、2日と応援に来てくれていた周防灘の研修生らが、「打ってくださいよ、お願いします!」と悲鳴を上げてきた。初日の13ホール目のことであった。彼らの表情は血走っていた。応援する方もされる私もイライラ・・・。

私は「任せておけ!」と言い、5メートルを打った。これが3メートルオーバー。返しはショート。定石どおりの坂田流3パット。次も同じ。

こりゃ駄目だ、何をやっても下手は下手! 次のホールからまた、刻みパットの連続。打ちたくても手が動かなかった。動いちゃいけない体は動いていた。上体、特に右肩が突っ込んでいた。自分で分かっていたが、止まらなかった。要するに体はスウェイ、手許は緩み、クラブヘッドは開きっ放しの、球はヨタヨタ転び。

それでも私は必死に打っていた。でも球は進まなかった。--- やっぱり、刻み上手なのだ・・。折り紙付きのパット下手なんだな、私は・・。

2日目、予選落ちの心配が走った。気持ちは結果へと走り、球だけは初日同様、カップの手前で止まった。最終ホール --- 下りの3メートルのバーディパット。私はフックと読んだ。球は右に切れた。

スコア提出所に向かう途中、すでにゲームを終え、私のプレーを見ていた川上典一が「さすが坂田さんと思いましたヨ。あれは難しいけどスライスなんですよネ。スライス構えでアドレスされた時、さすがと思いました」と言ってきた。私は黙ったまま、スットボけた。アホ抜かせ! 私はフックと思って右へ打ったんだ ---。

九州オープン13年目にして、予選に落ちた。誰も私の予選落ちは信じなかった。信じていたのは私ひとり。根アカの女房は「エーッ、本当! 冗談でしょ」と電話口で叫んだ。面倒だから「ワッハッハッ!」と笑って、私は受話器をガチャンと置いた。


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