ゴルフダイジェスト出版案内>ゴルフ野性塾SP

ゴルフ野性塾スペシャル
No41... 青木ゴルフについて ...(4/19)

青木プロの「カン」とは?
私は趣味で長年陶芸をしておりますが、それなりに土をいじったりロクロを回したりする時「カン所」といわれるものがあります。
ゴルフの世界でも同じだと思います。例えば、何かの折に小耳にはさんだ青木さんの「左手小指」というのもそうだと思います。
分かりそうで分からない青木選手個人の世界のものとは思いますが、塾長はどのようにお考えですか。
(青森県 H12)

真似はできても入りこめぬ

私は研修生とトランプによるオイチョカブをやります。麻雀もそうですが、確率への読みとともに「勘のささやき」に対する注意力は、勝負事には必要なるもの。麻雀は座るのが長時間になるため、腰への悪影響が強く、禁じております。花札は1時間打ち切りでやっております。

オイチョカブには勘のささやきを聞く度胸が必要。この「勘のささやき」は集中、そして日頃の緊張した生活姿勢から聞こえてくるようになるものでしょう。私は賭の出来ん人はプロに不向きな性格と思っております。金額は10円でもいいのです。勝負の世界、賭け、そして相手の挑戦に背を向けるようでは淋しすぎる。研修生の親が聞いたら呆れるかもしれません。しかし、賭の出来ん男は競争という面では線が細すぎるように思えます。ゴルフの領域において私は技術的なカン所よりは、精神的なカン所に興味があります。

肉体部分のカン所は、個人それぞれ。それを得ようとするには、スウィングの形を真似した上で、自分の能力を高めてそのカンを求めてゆかねばなりますまい。

私は青木さんのゴルフを知りたくて昭和56年頃、青木さんのスウィングを真似たことがあります。そっくりと言ってくれた人もいましたが、飛距離が出んので半年ほどで止めました。

その時に思ったことは、青木さんのゴルフはインパクトの絞りのゴルフ、そして左腕の壁のゴルフというもの。

インパクトで左肩が開かなければ、むしろ止めるような感覚で打っていると、右手でいくらち叩こうと球に癖のある曲がりは見られませんでした。ただ飛距離が出難い思いは残りました。私には振り抜くゴルフが似合っているようです。

青木さんの真似をしている時、右腰と左腕が痛かった。青木さんのスウィングは腕の力が必要です。そして右ひざの送りが、すべり込むように左ひざに向かってゆくのが感じられた時にはグッドショットでした。

私は右ききです。
握力は左右とも55キロです。しかし、私の指の強さを見る人のため、人の指を握って絞り込んだ時、10人が10人、左が強いと言います。

握力とは別の絞りの強さというものが、プロゴルファーの左手にはあるようです。三流の私でもそうですから、一流の強さは、また別格でしょう。

握力計の数字は二次的なものと思います。やはり、経験。青木さんの30年のゴルフ人生が左手小指にこもっているのでしょう。

スウィングのカン所とは、その人の真似をすればある程度までは感じることは出来ます。

その指導者たる人のカン所がわかったと確信した時、彼は指導者を越えているはずです。しかし、過去において時代の最強者を越えてゆける人の数は10年に1人出るかどうかというところでしょう。一時代を築き上げて、なお10年は一線級であろう青木さんを越えてゆける人はいないという気がします。

青木さんのゴルフはそんなに易しいゴルフではない。私は青木巨峰の入口、1合目まで行って退散。

それより、私は青木さんの頭の中にもぐり込んでみたい。震えるような一徹さがあるのではないでしょうか。