シャローイングの真実

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元祖ベン・ホーガンから70年。
なぜ今、シャローイングは注目の打法となったのか?

「シャローイング」とは、ヘッド軌道を“緩やか”にする技術のこと。 優れた先人たちのスウィング解析や研究が深化する中で、現代においても理想的な打撃法として浮かび上がってきた「シャローイング」。
プロコーチ・森守洋がベン・ホーガンの技術研究から、最先端の技術となった「シャローイング」の秘密を解き明かす。

なぜ、シャローイングなのか?

浅い入射角ほど、ヘッドでボールを『押し込める』

ベン・ホーガンが世界最高のボールストライカーとして評価されていたのは1950年代。1970年代にジャック・ニクラスが活躍して以降、そのスウィング技術は旧式で難しいものとされてきた。だが、解析機器の進化や有識者によるスウィング研究が深まるにつれ、改めてホーガンの技術が再評価されている。

以前はニクラスの影響で、方向性の高い強打にはヘッド軌道が飛球線に長く沿うアップライトなスウィングプレーンが有利であり、ヘッドの入射角もスティープ(鋭角)気味のほうがスピン量も増えて弾道のコントロール性も高まる、と考えられていた。ところが、アップライトスウィングは腰など体への負担が大きく、またヘッドは円軌道なので、フラットスウィングに比べてインパクトゾーンが長いという根拠もないことから適度な傾斜のプレーンを1990年代から目指す動きが活発化。

するとインパクトゾーンも、上から見た「飛球線に沿うではなく」、地面の高さに「レベル(水平)に」と立体的に捉えるほうが、エネルギー伝達効率が高まり、弾道の安定にもつながることが判明。それが「シャローイング」と提唱されるようになった。

フラット軌道にすればいい、シャフトを寝かせて振り下ろせばいい、というわけではなく「ヘッドの円軌道をなるべく直線に近づけるという観点」で考え、それにはホーガンの技術に学ぶのが近道になると考えてもらいたい。このポイントを「たぐり動作」にあると捉え、インパクトゾーンで右ひじを支点に、左手でグリップエンドをたぐり込みつつ、ヘッドをリリースすると、打球を目標方向に「押し込み」やすくなるのだ。

レジェンドのコンパクト打法

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「シャローイング」をインパクトゾーンでの「たぐり動作」から逆算して考えると、ダウンはフラット軌道のほうがやさしい。フラット軌道なら、腕をタテに振らず、右ひじが浮かないぶん、トップはコンパクトになるのが理にかなっている。

コンパクトトップで切れ味鋭いアイアンショットを放っていた名手に、全英オープンでニクラスとプレーオフを戦ったダグ・サンダースがいる。スリークオーターよりもコンパクトなトップは電話ボックス内でも振れる、と言われたほどだが、全英の風にも負けない強弾道を駆使できるショットメーカーだった。写真にあるように片膝をついた状態でもカッ飛ばせたチ・チ・ロドリゲスと同様、右肩より低い位置から振り出すヘッド軌道で「シャローイング」を実践していた。

もちろん、コンパクトトップだから「シャローイング」になるわけではなく、必須条件である「たぐり動作」とコンパクトトップは相性がいい、と捉えるのが正解だ。

シャローイングの必須動作

シャローイングに欠かせない左手を低く「たぐる」動き

「シャローイング」にトライしても、なかなかマスターできない人の共通項は、いわゆる「左のカベ」の意識が強い。なまじダウンの軌道をフラットに寄せても、左サイドを閉じたままではシャンクやプッシュアウトのミスしか出ない。ホーガンのように左腰をターンして開き、グリップエンドの通り道を作って引き込まなければいけないのだ。

両手の間隔を空けたセパレートグリップで試してみるとわかるが、右ひじを支点にして左サイドを開き、グリップエンドを左腰に引きつけると、ヘッドがボール位置に戻る。このとき、手元がボール位置より先行しているぶん、フェースは開いていて正解。大事なのは、ここからトウをかぶせるのではなく、ヒールを下げる、つまり左グリップを「たぐって」フェースを立てるのだ。

ヘッドの重心を軸にタテ回転したフェースはスクエアになりつつ「押し込む」ので、ボールとの接触時間が長くなる。エネルギー伝達効率が上がり、スピン量も増える。「シャローイング」の目的が達成されるわけだ。

シャローイングを身に付ける

右ひじに支点をイメージしてグリップエンドを一気にたぐる

現在、「シャローイング」の手本となるプロはセルヒオ・ガルシア、シニアならベルンハルト・ランガーが筆頭だ。

特に学ぶべきは、支点となる右ひじのポジショニング。右足は内側に踏み込むベタ足で右ひざを前に突き出さず、右腰を高く保つことで右ひじも下がらない。さらに左足がめくれるように左腰を開くことでグリップエンドを低く引き込んでいる。これでカット軌道にならないのは、トップで背中側に振り上げ、右肩より低いプレーンでインサイドから振り出しているからだ。

グリップもラームのようにスクエアに近いほうが、たぐりやすいと気づくはずだ。まずはショートアイアンで真似てみるのがいいだろう。

『レッスンの匠 クラブの進化とスウィングの進化【技術は道具で変わったのか?】』は、チョイス240号(2022年秋号)に詳しく掲載されています。

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