Vol.02Diamana TB

同じフィーリングで振れる!
当たり前のようで当たり前でない課題

Date:2020.08.31

三菱ケミカルから新発売される『TB』。フラッグシップブランドの『Diamana』の次世代シャフトの1機種ということで注目が集まっているが、今回はその進化したフィーリング面に関して掘り下げたいと思う。
『TB』は伝統・王道の『Diamana BLUE』のいわばアップデート版となるわけだが、“ディアマナの青”と言えば、アベレージゴルファーではなかなか手にしにくいアスリートモデルという印象がある。実際、手元の剛性が高く、しっかり叩けるシャフトとして高い評価を得ているわけだが、今回の『TB』はちょっと違うようだ。気になったのはスペック表に40g台がラインナップされている点だ。

一般的には同じブランドのシャフトなのだから、重さやフレックスが変わっても振り心地は統一されているのが当たり前のことだと思っている人は少なくないだろうが、実はそうではない。 そこには業界が抱える永遠の悩みと言える難題が存在してきた。例えば青マナのように剛性が高く、叩けるシャフトにとっては軽量帯で同じフィーリングを出すことはかなり難しいことで、そこをクリアすることができれば、もっと幅広い層のゴルファーが憧れの青マナを手にすることができるわけだ。
その難題を『TB』はどのようにクリアしたのだろうか?

要因その1はシャフト形状の骨格を決めるマンドレル(芯金)に関して。マンドレル?と頭をかしげる人もいるかもしれないが、シャフトはご存知の通り筒状で中が空洞になっている。この空洞の形状(大きさ)を決めるのがマンドレルで、シャフト製造の工程の一つにカーボンのシートをマンドレルに巻きつけるという作業がある。このマンドレルを『TB』では従来モデルの2倍以上、用意したと言うのだ。
革靴を作る際にラストと呼ばれる木型が使用されるが、マンドレルはそれに似た存在。革靴のバリエーションを増やそうとすれば当然ラストのバリエーションも増えてコストがかかる。シャフトのマンドレルにも同じことが言えるわけで、コストはかかるがこれまでの常識を覆した。
さらに要因その2となるのが「パターン」の多さで、これもまた通常の3倍以上を用いている。パターンとはカーボンシートを様々な形状に切り出して最適な位置に配置し、より緻密にスペックバリエーションを構築することだが、これに関してもコストはかかる。

物づくりにおいてコストは必ずついてまわる問題だが、『TB』はそこを無視しているかのように感じる。ただ、この2つの要因によって、重量帯違いやフレックス違いで生じていた性能・フィーリングの違和感という課題を解消できたわけだ。

「どのスペックや重量帯を選んでも同じフィーリングで振れる」という永遠の課題をクリアしたことで、青マナのブランド力はさらに強固なものになる予感がする。
ユーザーにとっては本当の意味で選択肢が増えたという表現を使えるようになったわけで、いい意味でクセがない青マナのDNAを進化させつつ継承している『TB』は、多くのゴルファーに選ぶ楽しさを教えてくれる。

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