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「風に強い」は本当か?『クロム ツアー』徹底インプレッション

キャロウェイゴルフのツアーボール『クロムソフト』が進化を遂げて
『クロム ツアー』『クロム ツアー X』へとリニューアルされた。

「GOLD STANDARD」とアメリカで表現されるツアーボールの条件は
「ボールスピードが出る」「スピンコントロールがしやすい」「打感がいい」の3つ。
「THE NEW GOLD STANDARD」をうたう新作はこの3条件を満たしているのか。

ツアープロコーチでもある横田英治プロが、強風吹きすさぶ沖縄とグアムでテストを敢行。
そこで得た感触に加えデータ測定に基づいたインプレッションを紹介する。

横田 英治 (よこた・えいじ)

1971年生まれ。広島県出身。プロゴルファー&コーチ。プロアマ問わずさまざまなゴルファーの技術力向上を目指し、ゴルフスクールの域を超えた会員制ゴルフサロン「クラブハウス」(千葉市)を主宰。「チーム クラブハウス」所属の女子プロに岸部桃子、吉野茜、大西葵らがいる。

Section 01

ボール契約はしていないから
忖度なし

「ボールの使用契約はしていないので忖度はしない」という横田プロが、最初に関心を示したのが飛ぶボールなのかどうか。「ユーザーが一番知りたいのはそこだから」というのが理由だ。

沖縄とグアムの合宿で「クロム ツアー」と「クロム ツアー X」をテストしてもらいましたが、2種類のボールについて感想を。
横田:風速10メートル近い強風だったけど、どちらのボールも無駄なスピンが入らず、アゲンストの時でも“棒球”が打てて、着弾後のランもしっかり出ていたと思う。風に強いという感じはした。
ドライバーショットでボールに求める最優先事項は?
横田:まずは飛距離。それもランを含めた飛距離が大事なので、できるだけ、なだらかな角度で着弾してほしいと思っている。このボールはいいランドアングル(着地角度)になっていた。
「無駄なスピンが入らなかった」ということですが、曲がり幅は?
横田:僕は持ち球がフェードなので、状況によってはフェアウェイ左サイドのラフやバンカーの右サイドを狙う。でも、思ったほど曲がらなかった時にラフやバンカーにつかまってしまうかもしれない、というのがある。それがこのボールは狙いをフェアウェイから外さなくて大丈夫だった。思ったほど曲がらなくてもラフやバンカーに行かないというのは気持ち的に大きい。
弾道の感じは?
横田:ドライバーショットはボールが飛んでいる時間が長く、頂点から落下し始めてからが風の影響を受けやすいが、ちゃんと前に向かって落ちている感じだった。

Section 02

飛距離のカギを握る
ランドアングルに注目

その性能を確かめるため、横田プロが主宰する施設でデータを測定してもらった。ドライバーショットの着地角度は『クロム ツアー』『クロム ツアー X』ともに40°前後。なかには36°となだらかで25ヤードのランを記録したケースも。「数字を見ても前に向かって落ちて転がる、ということがわかる」と横田プロ。

  • クロム ツアー:ドライバー

    ヘッドスピード

    45.2m/s

    ボール初速

    67.6m/s

    ミート率

    1.49

    打ち出し角

    12.1°

    バックスピン量

    2600rpm

    キャリー

    245.2yd

    総飛距離

    266.4yd

    着地角

    38.1°

  • クロム ツアー X:ドライバー

    ヘッドスピード

    45.0m/s

    ボール初速

    67.0m/s

    ミート率

    1.49

    打ち出し角

    12.3°

    バックスピン量

    2360rpm

    キャリー

    243.7yd

    総飛距離

    267.2yd

    着地角

    36.1°

打ち出し時のスピン量は『クロム ツアー』で2600rpm。『クロム ツアー X』で2500rpm前後を記録。「最も飛距離の出る数字になっている。アマチュアの方が打つと2700rpm前後になると思う。それもまた理想の数字」

  • クロム ツアー:7番アイアン

    ヘッドスピード

    34.7m/s

    ボール初速

    47.8m/s

    ミート率

    1.37

    打ち出し角

    22.5°

    バックスピン量

    5930rpm

    キャリー

    142.0yd

    総飛距離

    147.5yd

    着地角

    50.9°

  • クロム ツアー X:7番アイアン

    ヘッドスピード

    34.4m/s

    ボール初速

    47.0m/s

    ミート率

    1.37

    打ち出し角

    22.6°

    バックスピン量

    5930rpm

    キャリー

    139.2yd

    総飛距離

    144.9yd

    着地角

    50.4°

7番アイアンでの試打では「6000rpm前後にしたい」と話していたが、測定値は2つのボールともに5900台で「思った通りのスピン量」と満足そう。飛距離の誤差も少なく、プロの技術とボール性能が相まって正確なスピンコントロールを示した格好だ。

Section 03

ボールがカギ?
ショートアイアンやウェッジで
打つパー3が実は難しい

アマチュアにとってはありがたい短いパー3。だが、プロにとってはプレッシャーがかかる難しいホールなのだという。「ショートアイアンやウェッジで打つパー3は『バーディを取らなくてはならない』というプレッシャーがある。弾道が高くなる上にティアップしてスピン量も増えるから」というのが理由だ。

そこに風が加わるとさらに難しくなる。「9番アイアンの距離をアゲンストだから7番で打たなければならない、となると気持ち的にも難しくなるが、そこで1番手変えるだけでいいボールとなれば安心感につながり、ミスの確率も減る」

実際にラウンドした際には横風も受けたが「流される幅は少ない」というのが率直な感想で、「ディンプルの効果ですかね」と横田プロ。

『クロム ツアー』『クロム ツアー X』の「シームレス・ツアーエアロ」ディンプルは、数多く並んでいる6角形のパターンの中に複数の円形も含めることで、風に影響されやすい落ち際でも風に負けないという。その特徴を実感してきたともいえそう。

「ディンプルの効果で曲がらないなら、曲げたくないのに曲がってしまうアマチュアは使った方がいい。嫌なスライスが減るのは間違いない」

Section 04

スイングスピードが落ちる
ショートゲームで
性能がよくわかる

屋外の天然芝を完備した施設ではショートゲームのテストも行った。「ボールは、一番長いドライバーと短いクラブでの性能が大事」というのが持論だ。

まずは50ヤードの距離から実践すると、「『クロム ツアー』はより柔らかくてコントロールしやすい。『クロム ツアー X』は球離れが早いからボールが上がる。両方ともこのヘッドスピードでもスピンがしっかり入る」と好感触だ。

  • クロム ツアー:50yd

    ヘッドスピード

    21.6m/s

    ボール初速

    25.1m/s

    ミート率

    1.16

    打ち出し角

    22.1°

    バックスピン量

    5848rpm

    キャリー

    51.1yd

    総飛距離

    63.0yd

    着地角

    30.6°

  • クロム ツアー X:50yd

    ヘッドスピード

    21.7m/s

    ボール初速

    22.2m/s

    ミート率

    1.02

    打ち出し角

    30.3°

    バックスピン量

    6844rpm

    キャリー

    44.2yd

    総飛距離

    50.3yd

    着地角

    38.6°

ほぼ同じヘッドスピードで打って、それぞれのボールの「打ち出し角」「スピン量」「着地角度」をみても、『クロム ツアー』はやや低スピンモデル、『クロム ツアー X』は、よりスピンコントロールに優れている、というイメージが合っているといえそうだ。

  • クロム ツアー:10yd

    ヘッドスピード

    11.2m/s

    ボール初速

    11.0m/s

    ミート率

    0.98

    打ち出し角

    36.0°

    バックスピン量

    3419rpm

    キャリー

    12.6yd

    総飛距離

    16.4yd

    着地角

    38.7°

  • クロム ツアー X:10yd

    ヘッドスピード

    11.8m/s

    ボール初速

    10.9m/s

    ミート率

    0.93

    打ち出し角

    36.2°

    バックスピン量

    4184rpm

    キャリー

    12.5yd

    総飛距離

    15.4yd

    着地角

    39.0°

グリーン周りの10ヤードほどの距離になるとスピン量の差は明らか。『クロム ツアー』が2500~3500回転だったのに対して『クロム ツアー X』は4000回転を超えるシーンも。それでもスピンがしっかり入るのは共通で、「緩むことなくしっかり打っていける。ショートゲームは打ち出しが自分の思った目線の角度に出ることが大事。それに合ったボールを選ぶのがいい」と話した。

総 括

違いがわかる
ゴルファーに使ってほしい

横田:ホームコースでドライバーショットがいつもの場所まで飛んでいなかったら絶対に使わないが、今年はこれでいってみようかな、という気持ちになっている。実感として、シンプルに打ちたい、ストレートに打っていくイメージなら『クロム ツアー』、自分の持ち球がはっきりしている人は『クロム ツアー X』がいい。実際に打ってみれば特徴の違いが体感できる。その違いがわかるゴルファーに使ってみてほしい。

データ計測:トラックマン
撮影協力:「CLUB HOUSE

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