テーラーメイド「Qi10」シリーズ カーボンウッドだから実現できたやさしさと飛びとフィーリングの三重奏

テーラーメイドからカーボンウッド第3世代となる「Qi10」シリーズが発売された。最大の特徴は「Qi10 MAX ドライバー」が達成した上下、左右方向の合計で10,000g・cm2(10K)を超える高慣性モーメント。
やさしさと飛びを両立させた「Qi10」シリーズの実力をゴルフライターの鶴原弘高が検証する。

鶴原 弘高(つるはら・ひろたか)

ゴルフ専門のフリーランスとして活躍。雑誌やウェブを中心に試打レポート、ゴルフ場紹介やゴルフ界のトレンド情報など幅広く発信する。

鶴原 弘高

高慣性モーメントの
デメリットを
解決した
ヘッド構造

高慣性モーメントの「Qi10 MAX ドライバー」は、インパクトで芯を外しても当たり負けせず、ボール初速を損なわない利点があります。ヘッドが重く感じづらく、振り抜きがしやすいのは、テーラーメイド独自の「60層カーボンツイストフェース」によるもの。
チタンフェースに比べ、45%も軽量化できたことで、その重量をヘッドのほかの位置へ適切に配置した結果だと思います。

投影面積が大きいヘッドでありながら、非常に構えやすいのも特徴です。フェース上部の「レーザーアライメント」が効いていて、ヘッドの座りも良い。
高慣性モーメントで曲がらないクラブというだけでなく、打感を含めたフィーリング面もよく意識されたクラブです。

3モデルのラインアップ
バックスピン量に差

前作の「ステルス2」シリーズと同様に「Qi10」シリーズも3モデルがラインアップされてます。前述した通り、10 Kを超える高慣性モーメントで、最大の寛容性を搭載したモデルが「Qi10 MAX ドライバー」です。
アマチュアにとっては、このクラブが最も扱いやすく、直進性の高さを感じていただけるでしょう。

中間に位置する「Qi10 ドライバー」は、ニュートラルな性能ですが、実はこれが合うゴルファーも多いと思います。これまでの「ステルス」「ステルス2」では、上からの見た目が洋ナシ形状で、見た目で「ハードルが高い」と感じるアマチュアも多かったと思います。

「Qi10」は、クラウンが後方に4mm広がったことで、グッと見た目の安心感が増しました。スイングタイプによって数字はまったく異なると思いますが、私が打った限りだと、スピン量でおよそ2500rpm。
「Qi10 MAX」に比べて500rpmほど少なくなりました。高弾道と適切なスピン量で飛ばしていけるドライバーだと思います。

「Qi10 LS ドライバー」は使える人はある程度限られてくるでしょう。私の場合、2000rpm前後と本当にロースピンです。
前作の「ステルス2 PLUS ドライバー」に比べて、シャープな形状、さらにウェイトをより前方の低い位置に配置したことで、ロースピンのアスリート好みに仕上がっています。

これまでにない弾道!
まずは「Qi10 MAX」から

「Qi10」シリーズを試打する際は、これまでどのモデルを使っていた人でも固定概念を捨てて「Qi10 MAX ドライバー」から試してほしいです。
これまでにない高慣性モーメントヘッドなので、初体験してみてほしいです。コリン・モリカワ選手がツアーで使用するほどなので、上級者ゴルファーでも物足りないということはないはず。
スピン量が多過ぎる方はロフト9度を選び、さらに調整機能でロフトを立てて、使うといいと思います。そのうえで、もう少し操作性が欲しい、シャープな見た目がいいという方は「Qi10 ドライバー」が選択肢になります。
また、シャープな「Qi10 LS ドライバー」は、どうしてもスピンが多く入ってしまう場合の、最後の手段と考えてよいでしょう。

FWやUTも3モデルがラインアップされています。それぞれに特徴がありますが、ドライバーが「MAX」だから、FWやUTも「MAX」を選べば良いというわけではありません。しっかり試打をして、いろいろな組み合わせを試してみることをおすすめします。

中空構造の「Qi アイアン」は、テーラーメイドの別シリーズ「P770 アイアン」「P790 アイアン」で培った技術を投入したモデル。飛んで曲がらない性能で、特に今作では番手別設計も採用し、どの番手でも最高到達点が揃うように進化しています。今まで「飛び系アイアン」を避けていたような人も、一度試してみてほしいです。